勝手に指標

  • 秘境感
    ★★☆☆☆
  • 天空感
    ★★★★☆
  • 潮風感
    ★★★★☆
  • 爽快感
    ★★★★★
  • 根性感
    ★★☆☆☆
  • 開放感
    ★★★★☆

紺碧の海原と共に走る潮風街道
被災に屈しない記憶遺産ロード

コバルトブルーの太平洋を一望できる潮風感抜群の絶景バイクロード。
東北屈指の規模と走り応えを誇る良景ワインディングが牡鹿コバルトラインだ。

様相は牡鹿半島の山稜に沿ってトラバースしつつ半島を縦断する総延約32kmの山岳ワインディング。
昭和46年に有料道路として開通したルートながら高規格幅広2車線で整備されており、比較的タイトコーナーが少ないため、初心者でも楽しみやすいのが特徴的だ。

また、仙台市という大都市圏より気軽に訪れやすいアクセスの良さも、東北屈指の絶景ロードとして人気を誇る要因の一つだろう。

このコバルトラインの名称の由来には諸説ある。牡鹿半島基部にある女川原子力発電所をイメージさせる放射性物質コバルト60にちなむ説と、ルート上から望むコバルトブルーの太平洋にちなむ説との2つだ。

しかし、紺碧の太平洋を随所より望めるこのルートは、いずれの説が由来にせよブルーのイメージが相応しい。
とは言え、ルート北部の森林地帯では主に林間ルートのため、展望が開けず“絶景ロード”とは言い難いかもしれない。

だが、半島を南下するにつれ、金華山のダイナミックな風景と共に大海原の大展望が開けてくる。
まさに海と共に走る潮風感抜群の絶景ロードと呼ぶに相応しい。

道路線形も山岳ロードにありがちなタイトコーナーは少な目。
路面も良好で近代的な整備の行き届いた高規格道路のため、初心者でも安全リスクが比較的少ないのも高ポイントな点だろう。
また、爽快さと共にテクニカルなカーブ構成が多く、ベテランライダーにとっても走り応えのあるルートとも言えるだろう。

加えて特筆すべき点は季節を問わず楽しめる事だ。
東北地方のため、冬季は凍結リスクの印象が強いが、コバルトラインは東北地方では珍しく通年において走行可能なルートの一つ。
もちろん天候により降雪する場合もあるが、気候が比較的温暖で冬季でもバイク走行が可能な場合が多いのだ。
このため、東北屈指のライダーの聖地でもあり一年を通じ多くのライダー達が訪れる。

平成23年、東日本大震災はこの地をはじめコバルトラインにも破壊と大きな影響を及ぼした。
災害復旧工事により通行止めは段階的に解除されたが、台風や豪雨により度々被災。
しかし、その度に復旧されてきた不屈のルートでもある。
絶景ロードの名に相応しい情景と道路様相を誇るルートであると同時に、災害に屈しない象徴的なルートでもあるのだ。
近隣の女川町は津波により多大な被害を被った地域の一つ。災害の記憶を刻むルートとしても、一度は訪れて頂きたい記憶遺産としての側面も持つ特別な絶景ロードであるとも言えるだろう。

走り応えのある幅広2車線のワインディングが続くコバルトライン。全線において展望が開ける訳ではないが、随所で絶景ロードの名に相応しい風景が広がる。

全体的に標高の高い位置をトラバースする様相。山岳ワインディングながら全体的に中高速コーナーが多く、初心者でも比較的走りやすい線形が嬉しい。

沿線で絶対に立ち寄っておきたい絶景ポイントがおしか御番所公園。目前の金華山を一望できるスポット。太平洋の潮風と感激のパノラマを楽しもう。

コバルトライン序盤ながら、大六天駐車場からの展望も外せない絶景ポイント。走り始めで意外と通過しがちなスポットながら、立ち寄っておいて決して損はない。

津波により基礎ごと倒壊した、女川港の旧女川交番。コバルトライン起点付近、東日本大震災の遺構として保存されている。震災の記憶を辿る貴重な遺産だ。

コバルトライン終点の鮎川漁港は捕鯨で栄えた町。ホエールタウンおしかではクジラの骨格標本や捕鯨船も展示。また、新鮮な魚介も頂けるグルメスポットでもある。

マップ

  • 38.281205, 141.517068
  • 13
  • 18
  • 10
  • 35.239349, 138.978126

    宮城県道220号線~牡鹿コバルトライン~

大きい地図はこちら

  • in-out
  • ビューポイント
  • スポット(レストラン、道の駅、温泉、etc.)

ロードデータ

交通量

首都圏定番の観光地の上、周囲全てが絶景。休日はマイカー・ライダー含め非常に多い。渋滞は少ないがバイクの事故も頻発しており、注意深いライディングを心掛けて頂きたい。

路面

全域が完全舗装2車線路だが、旧街道ルートは道幅の狭い区間も点在しており要注意。気温変化が激しく、初春や晩秋の早朝は凍結に要注意だ。

筆者プロフィール

神田 英俊

内外出版社発行、隔月刊ツーリング雑誌“MOTOツーリング”誌のコンセプター兼編集長。“旅人による旅人の為の雑誌”を基本コンセプトに、全国のDEEPな旅ネタを更に深く掘り下げて取材・掲載している。個人的なバイク趣向はオフロード。季節を問わず、主にキャンプを基軸とした旅が中心。冬季北海道ツーリングの常連でもある。バイクと共に温泉もこよなく愛しており、温泉ソムリエの資格を持つ秘湯巡礼ライダーでもある。