独自の世界観を切り拓いた
ジャパニーズアメリカンの代表格
ホンダ・スティードを中心とする国産アメリカンブームがやや落ち着きを見せ始めた
1996年。ヤマハから満を持してドラッグスター400(DS4)が投入された。発売と同時にベストセラーモデルとなるが、その要因はこだわり抜いたフォルムにあるだろう。
徹底した“ロー&ロング”スタイルをはじめ、ミドルクラスとは思えぬ大柄なボディ、多用されたメッキパーツは、従来の和製クルーザーと一線を画す魅力を備えていた。
さらに、本格的な空冷Vツインの鼓動感とサウンドを実現しながら、アメリカンらしからぬスポーティな走行性能も評判に。新たな世界観を確立したモデルとして、多くのDSファンを生み出した。
1998年には、前後ディープフェンダーなどで、より高級感と懐古的な雰囲気を増した「クラシック」を追加。一段と人気は加速し、2000年まで4年連続で小型二輪(251cc超)販売台数のトップに輝いている。
1999年には、ビッグバイクブームを背景に大排気量版の1100がデビュー。2000年には末弟の250が登場した。いずれも迫力あるスタイルと空冷Vツインの走りは健在で、400同様ヒットモデルとなった。1100は排ガス規制により生産終了となったが、400と250は熟成を繰り返し、2015年現在も国産ミドルクルーザーの雄としてラインナップされ続けている。
型式、年式ごとの特長
-
ドラッグスター1100/
ドラッグスタークラシック11001999年3月に初代ドラッグスター1100が登場。エンジンは、XV1100ビラーゴの75度空冷V型2気筒SOHC2バルブをベースに、スポーツモデル譲りのセラミックシリンダーなどを採用。車体は、新設計フレームにΦ41mmフロントフォーク&リンク式リヤショックを組み合わせ、スムーズな出力特性と軽快なハンドリングを融合させている。
2000年には、DSC4と同様の変更を受けたドラッグスタークラシック1100を追加。DSC11は2003年、DS11は2004年に、騒音規制対応マフラーやイモビライザーを標準装備した。国内仕様は2008年モデルで生産終了となり、2010年頃まで販売された。 -
ドラッグスター400/
ドラッグスタークラシック400XV400ビラーゴの後継車として、初代は1996年2月にリリース。低く長いシャーシに、心地良い鼓動感や排気音を与えたSOHCの70度空冷Vツインを搭載。メカニズムが際立つシャフトドライブやリジッドサス風のスイングアームもワイルドな雰囲気に一役買っている。
1998年3月には、ドラッグスタークラシック400の初代がデビュー。
ファットなフロントタイヤをはじめ、サドルシート、フロントフォークカバーなどでレトロ感をアップさせている。DS4は2000年型、DSC4は2001年型で初のマイナーチェンジを実施。排ガス規制に対応したほか、燃料計付きの電気式メーターなどを採用した。 -
ドラッグスター250
2000年6月、シリーズ最後発として初代が登場。迫力のあるスタイルを踏襲し、250ccながら一目でわかる「リアルアメリカン」の造り込みと、日常での使い勝手の両立を主眼に開発した。XV250ビラーゴ譲りの60度空冷VツインSOHCは、吸排気系の最適化やシリンダー肉厚のアップなどで大幅に改良。ロー&ロングのダブルクレードルフレームも全面新設計となる。
2008年型のマイナーチェンジで、グリップ位置が従来型から約40mm手前となる新形状プルバックハンドルや、触媒付きの新型2in1マフラーなどを採用した。400や1100と違い、リヤにツインショックとチェーン駆動を採用する点が250の特徴だ。
主要諸元
()内はドラッグスタークラシック
全長(mm) | 2,340 (2,450) |
全幅(mm) | 840 (930) |
全高(mm) | 1,065 (1,110) |
シート高(mm) | 660 (710) |
軸距(mm) | 1,610 (1,625) |
車重(kg) | 234 (247) |
エンジン | 空冷4ストV型2気筒 |
排気量(cc) | 399 |
最高出力 | 30ps/7,500rpm |
最大トルク | 3.2kg-m/6,250rpm |
タイヤ | F=100/90-19 R=170/80-15 (F=130/90-16 R=170/80-15) |
※2010~2016モデル