冬でもどんどん走りたい! そんな方に使っていただきたいのが “電熱ウェア”です。厚着をして保温する、吸湿発熱素材を着るといった方法とは全く異なるインナーウェアで、一度着たら、もうやめられませんよ。

保温はもう古い!? 冬のライディングに革命をもたらした電熱ウェア

ここ数年、急激にラインナップを増やし、ウインターアイテムの中でも俄然注目を浴びているのが電熱ウェアです。電熱ウェアとは、インナーウェアの中に電熱線やヒーターを内蔵し、車載のバッテリーやモバイルバッテリーの電力により衣服自体が発熱するものです。
さて、冬場のライディングウェアと言えば、重ね着する(レイヤード)ということが一般的です。まずアウタージャケットで寒風を防ぎ、自身の体温をインナーウェアで保温、さらにはアンダーウェアの吸湿発熱素材により体感温度を向上するといった具合です。

しかし電熱ウェアの概念は全く異なります。自らの体温を保温するのではなく、インナーウェアそのものが電力により発熱するのです。各社の製品により差はありますが、多くの製品は熱いと感じられるほど強力です。

写真は、国内ブランド「Heatech」の「ヒートインナージャケット 3.5AMP 2015(250ccクラスでも安心な省電力モデル)」です。透湿性や通気性に優れたインビスタ社開発のナイロン“Tactel”素材を採用し、分厚い中綿のようなものはなく、パッと見や手に持った感じはウインドブレーカーに近いでしょうか。

しかし、この「Heatech」ブランドの特徴は、電熱線による線状の発熱ではなく、メタルファイバーヒーター「XCT(Xtreme Comfort Tech)」を採用したことによる面状の発熱にあります(写真の赤い部分)。電源ONにより10秒ほどで発熱し最高温度は54度、しかも血液を冷やす原因となる首回りにもヒーターを内蔵しています。これにより冬場の高速道路走行は“革命”と感じられるほどに激変するのです。

■DATA:

品名:

Heatech(ヒーテック)「ヒートインナージャケット 3.5AMP 2015」

価格:

オープンプライス

サイズ:

Women(ウエスト82cm)/S/M/L/XL/XXL/XXXL

問合せ先:

株式会社リベルタ

電話:

03-5489-7684(カスタマーセンター)

実勢価格は1.5~3万円。電熱ウェアの強みとコスパを考える

さて、電熱ウェアの実勢価格は、インナージャケットタイプで15,000円~30,000円といったところでしょうか。気軽に購入できる価格帯ではありません。しかし、電熱ウェアの多くはインナータイプであり、アウタージャケットほど破損や劣化、汚れの心配はありません。多くのメーカーは電熱ウェアの部品や装置の故障に対応しており、アフターサービスの心配もありません。
雨天時や朝晩の冷え込みを考えれば、むきだしの体で走り続けるライダーにとって、一年の半分は冬のようなものです。数万円の初期コストはすぐにペイできるのではないでしょうか。実際、筆者は秋口から使用を続けており、心なしか風邪を引かないようになりました。寒さに耐えて走ることがかっこいい、なんて時代もありましたが、月曜日はまた仕事、なんていう大人のライダーには必需品ではないでしょうか。

電熱ウェアの使い勝手とコツ、使用上の注意点とは?

電熱ウェアには、バッテリーから電源を取るタイプ、モバイルバッテリーパックを使用するタイプ、その両方に対応したタイプがあります。また、形状としては、長袖のジャケットタイプや袖のないベストタイプ、下半身を暖めるパンツタイプ、グローブやトゥーウォーマータイプなど様々な電熱ウェアが登場しています。

電源ケーブルが無く、バイクを降りてからでも暖かいモバイルタイプは便利ですが、充電した電力が数時間ほどでなくなってしまうこともあります。また、バッテリー電源タイプのものは電力がなくなる心配はありませんが、車両によってはバッテリー上がりを起こしてしまう恐れがあります。「Heatech」の場合、原付クラスでも利用可能な1アンペアモデル「ヒートインナージャケット 1.0AMP 2015」も用意されていますので、自分の車両の発電容量やバッテリー容量に見合ったものを選びましょう。

なお、「Heatech」の場合は3段階での温度調整が可能ですが、アウタージャケットに中綿があり、防風性や保温性が確保されているならば、真冬の高速道路でも「弱」レベルで十分というのが筆者の実感です。なお、発熱温度を最大限に利用するため、電熱ウェアの下はアンダーウェア1枚程度としておきます。一見寒そうですが、こうすることで「弱」レベルでも十分な暖かさが得られ、省電力かつ効率的に、バッテリーに優しい使用状態となります。

ともかく、百聞は一見に如かずです。店頭で体験できる用品販売店もありますから、ぜひ一度その暖かさに触れてみてください。冬が楽しくなるアイテムですよ。

■DATA:

品名:

Heatech(ヒーテック)「ヒートレザーグローブ Type-1 2015」

価格:

オープンプライス

サイズ:

Women/S/M/L/XL

問合せ先:

株式会社リベルタ

電話:

03-5489-7684(カスタマーセンター)

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筆者プロフィール

田中淳磨

二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。