TV番組でもお馴染みのBluetooth無線を使ったインカムシステム。現在はその性能を大きく伸ばし通話可能距離が1km以上の製品も目立ってきました。そこで今回は人気の「B+COM(ビーコム)SB4X Lite」をインプレッションします。

ライダーにとってのコミュニケーションが激変する驚きの性能

現在、Bluetooth無線を使ったインカム機器は国内外のメーカー数社から発売されています。価格帯は1個1万数千円~3万円ほど。2個セットのものでも4~7万円とバイク用品の中では高額です。それでも大人気アイテムとなっているのは、その性能の高さ、多機能性にあります。

遮蔽物の有無など周りの環境にもよりますが、多くの製品は数百mから1.5kmほどの通話距離を誇ります。これほどの性能があれば高速道路上でも十分実用的で、仲間を見失ったりインターチェンジで一人だけ降り忘れたりという心配もありません。ガス欠やバイクの異変などトラブル時でもすぐに仲間に伝えることができ安心感にもつながります。

また、多くの製品は多機能であり、Bluetooth無線を使ってのハンズフリー通話、ナビ・音楽プレーヤー等のリスニング、タンデムライダーとの会話などが楽しめます。Bluetoothというデジタル無線技術はライダーにとってのコミュニケーションを激変させたのです。

なお、製品購入時の注意点でもありますが、マイクはヘルメットのタイプに合ったものを選びましょう。通常は、フルフェイスタイプにはワイヤーマイクを、ジェットタイプにはアームマイクを選びます。なお、シールドのないヘルメットは走行風によるノイズが避けられないため機器の性能を発揮できない可能性があります。その場合はシールドを装着しアームマイクを選択すべきでしょう。

サインハウス「B+COM(ビーコム)SB4X Lite」の装着手順

Bluetoothインカムはヘルメットに装着する無線機器なので、事例としてサインハウスの「B+COM(ビーコム)/SB4X Lite」の装着方法を説明します。デジタル無線技術「Bluetooth3.0」を採用する高性能かつ多機能な人気モデルです。また、フルフェイスヘルメットにはアライヘルメット「アストラル-X」を、ジェットヘルメットにはアライヘルメット「SZ-Ram4」を選択しました。

装着の手順は次のようになります。
①ヘルメット内イヤースペースへのスピーカーの埋め込み設置
②マイクの取り付け
③ヘルメット帽体への機器本体装着用ベースの設置
④機器本体の取り付け

①ヘルメット内へのスピーカーの埋め込み設置

ヘルメット内のイヤースペースにスピーカーを設置します。通常はスピーカーをイヤースペースに貼りつけますが、アライ製ヘルメットの場合は上の写真のようにチークパッドにスピーカーを挟み込むポケットがついているものもあります。装着時に気を付けたいのはスピーカーの位置です。耳の中心位置にスピーカーがあるかどうか、またスピーカーが耳から遠い場合はか右の写真のように調整パッドで高さを増して、耳に近づけます。

②マイクの取り付け

フルフェイスタイプである「アストラル-X」にはワイヤーマイク(写真)を設置し、ジェットタイプである「SZ-Ram4」にはアームマイクを設置します。ワイヤーマイクの設置は特に難しい点はないのですが、アームマイクの場合は、次項で説明するベースの装着位置が重要になってくるので、先にアームマイクを機器本体に接続しベースの位置も同時に決める必要があります。

③ヘルメット帽体へのベースの設置

ベースをヘルメットの帽体に貼りつけます。最近のヘルメットは帽体に細かな曲面を持つものが多いので、ベースが装着できるのかどうかも重要なポイントです。もしベースが浮いてしまうようなら、市販の両面接着シートなどで隙間を埋めましょう。

また、「B+COM(ビーコム)/SB4X Lite」には別売りのオプション品として「ワイヤークリップ型ベース:2,000円(税別)」が用意されています。下の写真のように、これを使えば帽体に貼りつけることなく機器を装着できます

④機器本体の取り付け

機器本体をベースの溝に差し込んで装着します。ワイヤーマイクまたはアームマイクを先端部に差し込んでスピーカーケーブルを下端のコネクタにつなぎ、余ったケーブル類をヘルメット内装の隙間に埋め込めば完成です。工具などは一切使いません。

なお、機器の充電はUSBケーブルにより行います。別売りのオプション品「デュアルチャージャーセット:2,000円(税別)」を使えば2個同時に充電できます(写真)。

機器の操作もペアリングも音声ガイダンスで簡単・安心!

「B+COM(ビーコム)/SB4X Lite」には3つのボタンとボリュームダイヤルしかありません。ボタンはどれも離れており厚手のグローブをはめていても操作しやすいのが特徴です。機器同士をペアリング(初期登録)する際にも音声で状態を教えてくれるので無線機器によくある「あれ?つながってるの?」ということがありません。スマートフォンに接続する際も一般的なBluetooth機器と同じ方法なので簡単です。

2台で通話する際は、話したい時に機器上部のボタンを押せば、相手側は何もする必要がなく通話が始まります。通話の終了も同じボタンを押すだけと非常に簡単です。「B+COM(ビーコム)/SB4X Lite」同士は最大4台までペアリングできるので4人・4台でのマスツーリングも楽しめます。スマートフォンでの通話・終話やリダイヤル、音楽プレーヤーの再生・一時停止・曲の頭出し・曲のスキップなども機器本体で行えます。

また、別売りの「B+COM Media Server:22,000円(税別)」を使えば最大3人、「B+COM Station:30,000円(税別)」を使えば最大6人でBGMやナビ、レーダーの音声を聴きながら会話ができる「グループ聴きトーク」ができるようになるなど拡張性が高いのも魅力です。

高速道路で体感する通話距離の長さと高音質通話

「B+COM(ビーコム)/SB4X Lite」の性能を体感すべく一般道のほか高速道路でも実際に使用してみました。フルフェイスヘルメットの「アストラル-X」にはワイヤーマイクを装着、ジェットヘルメットの「SZ-Ram4」にはアームマイクを装着しての走行です。まず、一般道では相手の息遣いが聞こえることに驚きました。これには互いに機器のボリュームを抑えたほどです。ノイズがなくクリアな音質で、相手が耳元で話しているような感覚なのです。

場所を移した高速道路では実際に1km以上の距離を取って話してみましたが、ノイズが増えたり音声が小さくなったりすることはなく無線性能の凄さを実感できました。また、時速100km/h程度になるとヘルメット周辺の風切り音が大きくなりますが本体機器のボリュームをわずかに上げるだけで対処可能でした。大声を上げる必要は全くありません。ジェットヘルメット+アームマイクの組み合わせにありがちなシールド内への巻き込み風によるノイズも全く感じさせず、これには正直かなり驚きました。

電話: URL:http://www.bolt.co.jp/bike-intercom/bcom_bluetooth-intercom_bcom-sb4x.asp

■DATA:

品名:

B+COM(ビーコム)「SB4X Lite」

価格:

24,000円(税別)※ワイヤーマイクUNIT、アームマイクUNIT共に同じ価格

付属品:

本体機器・スピーカー・マイク各1点ずつのほか以下の付属品がセットされる。
貼り付け用ベースプレート、面ファスナー(貼り付けベース用)、スピーカー固定用調整パッド、スピーカー固定用 面ファスナー、充電用miniUSB ケーブル (アップデート時も必要)、アップデート用miniUSBアダプターケーブル、クイックマニュアル、ユーザーズマニュアル(保証書)

問合せ先:有限会社サインハウス
電話:03-5483-1711
URL:http://www.bolt.co.jp/bike-intercom/bcom_bluetooth-intercom_bcom-sb4x.asp

B+COM(ビーコム)「SB4X Lite」は人気にたがわぬ高性能でした。この性能があれば、ツーリングが一変すると言っても過言ではないでしょう。走行中のコミュニケーションを楽しくするのはもちろんのこと、情報や知識の共有、安全運転にもつながることを考えれば決して高い買い物ではないと断言できます。ぜひ一度体感してみてください。

筆者プロフィール

田中淳磨

二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。