アイドリングとはスロットルを閉じた状態でエンジンが回転している時のことをいいます。
車種によってアイドリングの回転数は異なりますがだいたい1,000rpm付近です。

アイドリングとはどんな状態なのか?


スロットルを閉じるとキャブレターやインジェクションの空気の流れる通路は、ほんのわずかだけ開いて空気を流し、この空気の量に合ったガソリンがキャブレター、もしくはインジェクションボディの中で混ぜ合わさり、エンジンに送られます。

空気も燃料も最低限しか送られていない状態です。

アイドリングに求められる条件はとてもシビア


エンジンが不調になり始めると最初にアイドリングへ影響が出やすくなります(必ずではありません)。

走っている時はスロットルも開いていて、空気も燃料もたくさん送られています。
この時に多少空気や燃料の量が狂ったとしてもさほど大きな影響は出ません。

けれどアイドリングの時は空気も燃料もほんの少ししか送られないので、少しでも狂うとアイドリングの状態が大きく変化してしまうのです。

アイドリングはなぜ重要なのか?


アイドリングが不調になると回転が安定しなかったり、エンジンが止まってしまったりします。
ストリートを走るバイクでこの症状が出てしまうと非常に乗りにくくなります。

バイクが止まった時に絶えずスロットルを動かしてエンジンが止まらないようにしなければならなくなってしまいます。

交差点の一時停止や赤信号からのスタートでは、必ずアイドリングからのスロットルを開け始めることになりますが、アイドリングの回転が一定でないとスタートも難しくなってしまいます。
ライダーがとてもストレスを感じるようになってしまうのです。

アイドリングが不調になる原因


アイドリング不調の原因は色々考えられます。
インジェクション、キャブレターのマシン共にエアクリーナーの汚れ、エンジン自体の不調、電気系のトラブルなどが考えられるでしょう。


キャブレターのマシンの場合はこれに加えて、マニホールドの硬化やクラックなどによる二次エアの吸い込み(古いマシンの場合)、キャブレター内部の汚れや摩耗によるセッティングのズレなども出てきます。

インジェクションのマシンでは内部の摩耗、汚れ、コンピューターのトラブルなども考えられます。

インジェクションになったばかりの車種に関しては、インジェクションの制御が現在ほど発達していなかったこともあり、アイドリング不調のトラブルで悩んでいるという声を聞くこともあります。

キャブレター車のアイドリング不調対策は?


回転が低くて止まってしまうようであればアイドリング調整のスクリューを回してアイドリングの回転数を調整することができます。

エンジンは冷えている時と温まった時で要求されるガソリンの量が変化しますので、走っているうちにアイドリングの回転数が少し変化するのは良くあること(特に古いバイクでは)。

だからキャブレターのバイクは簡単にアイドリングの調整ができるようになっているバイクが多いんです。


アイドリングが安定しない場合は、エアクリーナーの汚れ、破れ(ボロボロになっていることが良くあります)などを確認してみてください。

回転の落ちが悪い時はキャブレターのセッティングがズレてしまっているか、二次エアを吸っていることもあります。
アイドリングさせた状態でキャブレターやマニホールド周辺にパーツクリーナーなどを吹き付けてみて、回転が突然変化したら二次エアの吸い込みです。
マニホールド周辺にクラックや隙間が開いてしまっていないか確認してみてください。


アイドリング時のセッティングが狂っている場合は、エアスクリューというネジで吸い込む空気の量を調整することができます。

エンジンが完全に温まった状態でスクリユーをゆっくりと回し、エンジンの回転が最も高くなったところから1/4回転くらい締め込むというのが通常のやり方。


ただし、これは失敗してしまうと症状を酷くしてしまうので、不安な時はバイク屋さんにお願いするのが間違いありません。

古いバイクではキャブレターの内部が摩耗して色々なところから空気を吸い込んでしまっている場合もあります。こうなったらキャブレター自体を交換しないと修理はできません。


マルチのエンジンの場合、キャブレターの同調が狂っている可能性もあります。
カーボンの蓄積やバルブの密着度などが変わってきて、気筒ごとでコンディションが少しずつ変化してしまうからキャブレターもそれぞれの気筒で少しずつ調整が変わってきます。


同調を取るには専用の機械が必要になりますので、バイク屋さんにお願いするのが無難です。

インジェクションのアイドリング不調はどうする?


インジェクションでアイドリングが不調になった場合、調整はできないケースがほとんどです(バイクによってはアイドリング回転数を調整できるものもありますが)。

インジェクション本体の不調が疑われる場合は、バイク屋さんで確認してもらうしかありません。 先にも述べましたが、エンジン関係の不調でもアイドリングは不安定になります。
安定したアイドリングは、健康なバイクのバロメーター。

スロットルを戻した時、回転がすぐに落ちて、低い回転で安定しているとそれだけで気持ちの良いもの。
愛車を整備して楽しいバイクライフを送ってください。

筆者プロフィール

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