バイクのエンジンを停止させるためのキルスイッチ。
普段はキー操作のみで一度も使ったことがないという方もいるかもしれません。

今回はそんなキルスイッチについて、ついている理由や使う場面など詳しく解説していきます。

キルスイッチとは?


キルスイッチは基本的に125cc以上のMT車に必ず装備されているスイッチです。
一部例外を除き、ATスクーターや50ccクラスのバイクには付いていません。

キルスイッチの仕組み


キルスイッチの仕組みについてですがキルスイッチ自体は一般的で使う電気のスイッチなどと構造は一緒です。
ですがフライホイールから点火の電源を取っているか、バッテリーから点火の電源を取っているかでキルスイッチのやっていることが変わります。

フライホイールから電源を取っているバイクは主に旧車ですが、この場合はキルスイッチがエンジン始動中ははスイッチが繋がっていない切れている状態で、キルスイッチを操作することで繋がり、エンジンが停止します。

最近のバイクのほとんどがバッテリー点火となっており、この場合はエンジン始動中はスイッチが繋がっており、キルスイッチを操作して切断することでエンジンが停止します。

同じキルスイッチでもバイクの中身によって仕組みは多少異なりますが、キルスイッチを操作することで点火系統のイグニッションコイルへの回路を強制的に遮断することでエンジンが停止します。
キャブレター車は回路によるエンジン停止ですが、インジェクション車は点火回路だけでなく燃料噴射装置への回路も遮断して燃料の供給を強制的に停止させます。
※インジェクション車はバイクによって切断される回路が異なる場合があります。

キルスイッチの場所は?

基本的に多くのバイクのハンドル右側についているスイッチボックスにキルスイッチがあります。
種類は大きく分けて3種類ですが、キルスイッチの役目はどれも大きく変わりません。

一般的タイプのキルスイッチ


上に上がっているときがキルスイッチが効いている状態、下に降りている時が走行できる状態です。

少し古いバイクで見られる回転タイプ


OFFが両側の2箇所にあるのが特徴で、真ん中のRUNにスイッチがあるときのみエンジンが始動できる状態です。

セルボタンと一体になっているキルスイッチ


最近のバイクでよく見られるエンジンを始動するためのセルボタンと一体になっているキルスイッチ。
本来別々のスイッチのことが多いですが、一体化されているためキルスイッチが効いた状態でセルを回してしまうなどの誤動作が起こりにくくなっています。

キルスイッチを使うときはどんな時?

キルスイッチはエンジンを強制的にストップさせるためのスイッチですが、普通にバイクに乗っているだけなら使う機会は少ないスイッチです。
基本的にはトラブルが起きた緊急事態に使用するため、ここからはどういった場合に使用するのかを見ていきましょう。

転倒してしまったとき


キルスイッチの使用シチュエーションとして一番考えられるのは転倒してしまった時。
状況にもよりますが転倒の仕方によってはメインスイッチが簡単に操作できず、バイクが倒れたままエンジンが止まらず、もっと最悪なパターンは右側に転倒してアクセルが開いたままの状態になってしまった時。

転倒すると後輪が浮いた状態になることが多く、アイドリングの回転数でもタイヤとチェーンが回転し続ける状態になってしまい、少しでもアクセルが開いてしまうと超高速回転してしまうため非常に危険です。

また漏れたガソリンに引火してしまう可能性もあるため、転倒した際はキルスイッチを使ってできるだけ早くエンジンを停止させましょう。

スロットルが故障した場合


転倒以外でもスロットル(アクセル)が故障により戻らなくなってしまった場合などでもキルスイッチで強制的にエンジンを停止させることで、追突事故のリスクを軽減することができます。

一般的なバイクのスロットルワイヤーは2本あり、引くワイヤーと戻すワイヤーがありますが、キャブレター本体のスロットルバルブに何らかの異常が生じ、スロットルバルブを閉じられなくなってしまうことが稀にあります。

走行中でも緊急時にはキルスイッチを使うことでプラグの点火も止まるため、スロットルが戻らなくても強制的にエンジンを停止させることができます。
走行中ギアが入った状態でキルスイッチを使用するとエンジンブレーキが効きながら徐々に減速していきます。
本来走行中に使用するのは危険ですが、非常時にはやむを得ないため落ちついて操作するようにしましょう。

キルスイッチの注意点

バッテリー上がりのトラブルに発展しやすい


バイクによって変わる部分ですが、一部のバイクはキルスイッチが効いた状態でもセルボタンを押すとモーターが回ってしまうバイクもあります。
キルスイッチが効いた状態では点火回路も切断されているためエンジンはかかりませんが、セルは回ってしまうため、キルスイッチに気づかず回し続けてバッテリーが上がってしまうなどトラブルに繋がる可能性があります。

またそれとは別にキルスイッチではエンジン周りの回路は切断できますが、ヘッドライトやテールランプなどの回路は別のため、点きっぱなしになります。
この状態でもバッテリー上がりの原因になってしまうため、キルスイッチ使用後はスイッチを戻して次エンジン始動する際はすぐにかかるようにしておきましょう。

キルスイッチは緊急時に正しく使おう

基本大きなバイクにはどんなバイクにも付いているキルスイッチですが、役目は緊急時の二次被害を防ぐため、というのが大きなポイントです。

普段使わないスイッチでも非常時には必要なものなので、どういう役目があるのかしっかり知っておくことで非常時に備えた対策をしておきましょう。

筆者プロフィール

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