マスターシリンダーとはどんなパーツ?仕組みやメンテナンス方法を解説!
公開日:2025.03.03 / 最終更新日:2025.03.03

バイクにとってブレーキが非常に重要であることは間違いありません。
そのブレーキの性能や安全性を大きく左右するのがマスターシリンダーというパーツです。
現代のバイクの多くが採用している油圧式ブレーキでは、レバーやペダルを操作してマスターシリンダーが油圧をかけることによってブレーキが作動しますが、ブレーキは単に止まるだけの部品ではありません。
バイクを上手に走らせようとするとブレーキを微妙に操作しなければならない場合もあります。
こういう場合もマスターシリンダーの重要性がとても高くなります。
今回はそんなマスターシリンダーについて説明することにしましょう。
マスターシリンダーとはどんなパーツ?

マスターシリンダーはブレーキフルードに圧力をかけて、ブレーキを作動させるパーツです。
現代のバイクの多くは油圧式のブレーキを採用しているので、必ずマスターシリンダーがついています。
マスターシリンダーとはどんなパーツ?

フロントブレーキ用のマスターシリンダーは、フロントブレーキレバーの付け根付近にあります。
ブレーキフルードを入れるタンクがついているのですぐに分かるはずです。

リアブレーキが油圧式であれば、リアブレーキペダルの近くにマスターシリンダーがあります。
マスターシリンダーはバイクのブレーキをかけるために必要不可欠なパーツであり、ブレーキ周りのカスタムにおいても重要なパーツになっています。
マスターシリンダーの仕組み

マスターシリンダーは、文字通りシリンダー(筒)になっていて、内部にはピストンが入っています。
注射器と同じような構造だと考えればイメージしやすいでしょう。

レバーを握ったりペダルを踏むとピストンが動いてブレーキフルードに圧力をかけます。
実はこのピストンの直径がとても重要です。

このイラストは油圧式ブレーキがどのように動いているかを説明するもの。
中学校の理科で教わるパスカルの原理です。
小さい方がマスターシリンダーで、大きいほうがブレーキキャリパーというイメージです。
圧力は内側すべてに同じようにかかるので、大きい方のシリンダーには大きな力が発生します。
単純にキャリパー側のピストンの面積がマスターシリンダーの2倍あったとしたら2倍の力が発生します(動く量は1/2になります)。
テコの原理と同じだと考えていただければわかりやすいでしょう。
つまりマスターシリンダーのピストン径が小さくなるとブレーキをかける力が大きくなり、そのかわりにブレーキキャリパー側のピストンの動く量が少なくなるのです。
ラジアルマスターシリンダーとは

一部のバイクには通常のマスターシリンダーとは異なるラジアルマスターシリンダーと呼ばれるものが装着されています。
一般的なマスターシリンダーは横置きと呼ばれていて、シリンダーがハンドルと平行についています。
それに対してラジアルマスターシリンダーは、ハンドルに対して直角にシリンダーがついています。
ラジアルマスターシリンダーのメリットは2つあります。
一つは横置きに対してレバーの力をまっすぐに受けるので摩擦などの抵抗が少なくなること。
つまりレバーを握った力がダイレクトに伝わるのです。
そしてもう一つはブレーキを握っていったときの効き方が変化しないこと。

ブレーキレバーはテコの原理を使って、握った力よりも大きな力でピストンを押しています。
写真を見るとレバーが長くてマスターシリンダーを押す部分が短いことがわかりますよね?
横置きのマスターシリンダーの場合、レバーを握っていくとピストンを押す部分のテコの長さが微妙に変化してしまうんです。

普通に走っているとあまり感じないかもしれませんが、スポーツ走行などでシビアにブレーキを操作する人にはこれが気になります。
ラジアルマスターシリンダーは、こういったフィーリングの変化がないので、スポーツライディングなどでも使いやすいというわけです。

このような特徴があるので、ラジアルマスターシリンダーはスーパースポーツなどに多く採用されていますし、レースなどで使うバイクでも多く使われます。
スポーツライディングを楽しむライダーにはオススメのパーツであると言えます。
カスタムする場合、後付けでラジアルマスターシリンダーに交換することもできますが、メーカーによっては高額なパーツとなります。
また、交換する場合はピストン径に注意してください。
ピストン径が変わってしまうと、先ほど説明したパスカルの原理によってレバータッチがやわらかくなってしまったり、硬くなってしまいます。
セミラジアルマスターシリンダーとは

最近ではセミラジアルマスターシリンダーも登場しています。
ラジアルマスターシリンダーは前後に大きくなってしまうので、車両によってはカウルなどに接触してしまう可能性があります。
セミラジアルマスターシリンダーは、横置きのコンパクトさとラジアルマスターのフィーリングをバランスさせたパーツです。
マスターシリンダーのメンテナンス方法

マスターシリンダーは重要なパーツなので定期的な点検や整備をする必要があります。
整備せずに放置しておくと大きなトラブルに発展してしまうおそれもあります。
日常点検

最も簡単に行うことができる整備はブレーキフルードの確認です。
タンクがついている場合は半透明になっているので量や色がひと目でわかります。
金属製のマスターシリンダーであれば点検窓があるはず。
ここを見ればブレーキフルードの量や色を確認することができます。
ブレーキパットが減るとブレーキフルードの量が足りなくなる場合があるので、足りない場合は補充する必要があります。
マスターシリンダーの周辺やブレーキホースの取り付けボルトなどからブレーキフルードが滲んだりしていないかも確認するようにしてください。

新しいブレーキフルードは透明ですが、長く使っていると変色してきます。
紫外線やブレーキの熱、水分が混ざったことで劣化してきている証拠です。
そのまま走り続けると濃い茶色になっていきますので「変色してきたな」と思ったら交換をするのが理想的です。
フルード交換

ブレーキフルードは1万~2万kmを目安に交換することをオススメします。
乗っていなくても少しずつ水分を含んで劣化してしまうので、最低でも2年に1回程度は交換したほうが良いでしょう。
特に車検の無い250cc以下のバイクは整備をおこたりがちなので注意するようにしてください。

ブレーキフルードには水分を含みやすいという性質があります。
水分が入ってしまうと、沸点(沸騰する温度)が低くなり、ブレーキングで温度が上がったときに気泡が発生してベーパーロックという現象が発生しやすくなります。
ブレーキが効かなくなるのでとても危険です。

ブレーキフルードを交換する時は、ダイヤフラムというゴムの蓋のようなパーツも確認してください。
ダイヤフラムが切れたり、ヒビが入っているとブレーキフルードが漏れてきてしまうことがあるからです。
ブレーキフルードは塗装を痛めます。
塗装面についたまま放置してしまうと塗装が剥がれてしまうことがあるので、もしもブレーキフルードがついたら確実に拭き取るようにしてください。
オーバーホール

マスターシリンダー本体も整備が必要です。
ピストンにはカップというゴムパーツが取り付けられていて、これがブレーキフルードに圧力をかけるのですが、カップのゴム材質が劣化してきたり、変形してしまうとブレーキのタッチが変わってしまいます。
ブレーキフルードにエアが入っていないのに、レバーを握った感じが柔らかくなってきてしまうような場合は、カップを含めたインナーパーツを交換したほうがいいでしょう。
長く放置されたバイクや旧車などでブレーキの動きが悪いときは、内部が汚れて動きが鈍くなっていることがあります。
このような場合もマスターシリンダーを分解、清掃して内部パーツを新品に交換する必要があります。
気持ちよく走るためにマスターシリンダーのメンテは重要

今回の説明でブレーキの中でもマスターシリンダーが重要なパーツだということがおわかりいただけたかと思います。
気持ちよく、安全にバイクを走らせ続けるためにはブレーキがキチンと機能している必要があります。
ブレーキは最重要保安部品のため、間違えた整備を行うとブレーキが効かなくなり、事故に繋がる可能性もあります。
知識のない人は自分で整備をしたりせず、販売店や用品店などで整備の相談をするほうが安心でしょう。