本記事はバイク雑誌『タンデムスタイル』とのコラボ記事です!

本記事の内容はタンデムスタイル 2024年12月号 Vol.269 (2024/10/24発売)の内容の一部を再編集したものです。
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仕事で雪の降っている真冬でもバイクに乗らなきゃならない人たちがいる。
そんなプロが寒さ対策にどんな工夫をしているのか誰もが知りたいことだろう。
というわけで、今回は郵便配達員とバイク便ライダーに登場願った。

話を聞いた郵便局員・バイク便ライダー全員が、汗をかき、それによって体が冷えるのをもっとも避けようとしていた点が今回とても印象に残った。
郵便配達員は、雪の中、各家庭まで歩くため、雪が深くなって(腰くらいまで埋まる場所も)バイクで走れる場所が減れば、そのぶん歩く距離が増えて発汗しやすくなる。

バイク便は、荷物お届け時に屋内へ入るため、屋外の温度に合わせた装備だと、温かくなりすぎて発汗してしまう。
そのため、意外とみなさん薄着なのだ。
厚手の衣類を避けるのにはもう一つ理由があって、動きやすくしたいからとのこと。

高速道路を長距離走ることもある宮本さんは、1時間ごとにSAで休憩をとり、その時にトイレの温かい便座に座るようにしている。
これが体の芯から温まるんだそう。

郵便配達チームは、出る前と戻ってきたら局内に設置されているストーブで暖をとるようにしているとのこと。
また、走行中に水分で暖を取るかどうかは人それぞれで、中には利尿効果のあるものを避けて、白湯を用意する人もいた。

郵便局員の場合

お話を聞かせてくれた戸隠郵便局のバイク配達スタッフ。
左から宮沢 勲さん、徳武重穂さん、和田将太さん、小林弘幸さん。
今回取材に応じてくれた戸隠郵便局は、ソバで知られる長野市戸隠区域にある。
1、2月の平均気温は氷点下になるし、積雪もあるくらい寒いところなので、まさに今回の企画にマッチしていた。

冬場は夏のユニホームの上から羽織る防寒ジャケットがある。
このほかにもスイングトップのような薄手のジャケット、レインコートがあって、気温や天気に合わせて、それらを組み合わせている。
フリースなどの防寒着を足す人もいるが、歩いているうちに発汗するのを避けるため夏バージョンの上に防寒ジャケットだけという人もいる。
足元はゴム長靴を着用。雪の中を歩き回るのでぬれないために長めでかつ、中が起毛のモコモコしたタイプを選ぶ人が多い。
上からさらにゲートルでカバーする人もいる。
1日の走行時間は午前4時間ほど、午後2時間ほどで、配達物の量によって変わる。

  • 冬バージョン

  • 夏バージョン

首元から雪や冷気が入り込むのを防ぐためのネックウォーマーはみなさん必須。
オープンフェイスタイプのヘルメットのため、目から下をおおうのにも便利なのだ。

郵便物を取り分けることが優先で、みなさん基本厚手のグローブはしない。
また選別しやすいように、指先がゴムでおおわれているモノを使っている人も。
中には冬でも指切りの薄手グローブ+指サックなんて強者もいるのだ。

バイクはグリップヒーター付きで、その上にハンドルカバーを装着している。
手首までおおわれる大型のモノだけれど隙間風が入る構造だった。雨対策で通年で装着している人も多いそう。

冬場はスパイクタイヤを装着する。さらにチェーンを巻きつけることで、雪の坂道でも走ることができる。
ちなみにパウダースノーのほうが、水気を含んだ雪より走りやすいとのこと。

バイク便ライダーの場合

取材に応じてくれた堀井美恵さん(左)と宮本昌昭さん(右)。
堀井さんはバイク便歴2.5年ながら2回の冬を経験し、女性ならではの工夫を教えてくれた。
歴35年という宮本さんは、ベテランならではの考え尽くされた装備を披露してくれた。

堀井さんの装備
(1日の走行時間は約9時間)

パワーストレッチサーモデオ(ボディタフネス)
※一昨年の寒かった時はこの上にストレッチマイクロフリース(ワークマン)を着用


防水防寒スーツ(イージス・上下)

↓
ユニホームのジャケット

走行風が当たる胸の真ん中部分をカバーしてくれる電熱ウエアが見つからず、バッテリー式のマルチウォーマー(ワークマン)を胸のセンターにくるようにセットして使用。
3段階で温度調整できるが、最弱以外を使うと1日持たないので、予備バッテリーも持ち歩いている。

足が冷えるのはキツイため、ブーツは防寒ブーツ・ケベック(ワークマン)を履き、中は靴下に加えてオーバーソックスも着用。
加えて発熱インソールも装着しているため、普段履くサイズよりワンサイズ大きいモノを選んでいる。
対してグローブは防寒よりスマートフォンの操作性を優先して通年でエクストラガード(ワークマン)を使用。

相棒のホンダ・VTRはフレームがヒザと接する。
冬場はキンキンに冷え、防寒着を通して冷たさが伝わるため、足と接する部分に野球のバットに使うグリップテープを巻いて対処している。

宮本さんの装備
(1日の走行時間は10〜16時間)

化繊の速乾性シャツ

※綿だと汗がすぐに乾かず冷えてしまうため、化繊が絶対

↓
フリース(ユニクロ)
↓

シンサレートのジャケット(ドン・キホーテ)

↓

ユニホームのジャケット

グローブは、握力への負担を軽減を考慮すると革だと硬いため、やわらかい登山用のモノ(モンベル)を愛用している。

ブーツも登山用(モンベル)。ツマ先が冷たくならないのがチョイスのポイント。
左側ツマ先、シフトレバーが当たる部分をレザーで補強している。

靴下の上にキッチン用のビニール(サイズ26cmの足には25×35cmがちょうどいいそう。
厚みは0.01〜0.02mm)を通年で着用する。蒸れはするけれど、足がぬれることはない。
着用するようになって20年ほどだが、毎日交換しているので水虫になったことはないそう。
ちなみに靴下は右側左側各専用にて、これまた羊毛素材の登山専用品(モンベル)。
高価だけれど、10年は余裕で持つそうだ。

レインスーツはモンベルを愛用する。これまで試した中で軽さと耐久性がもっともあったそうだ。

雪が降ってきてしまった時は、3秒ほど(3〜5気圧くらい落ちるそう)空気を抜いて接地面を増やして走ったこともあるとのこと。

まとめ

防寒はじめ冬対策のポイントはいかがだっただろう?
かなり参考になったと思うのでぜひとも自身にも活かしてほしい。
今回の取材では、仕事をスムーズに進めることを防寒対策よりも優先するコメント多数で、プロってすごいなと感じたことも付け加えておこう。

また、雪でも走れるのは、チェーンを装着したり雪対策をした車両だからできること。対策していないバイクでの走行は絶対に避けよう。

筆者プロフィール

タンデムスタイル×BikeLifeLab

バイク用語で“タンデム”というと、おもに“二人乗り”を指します。
“じゃ、タンデムスタイルは二人乗り専門の媒体なんだ!”と思った方、残念ですがそれは間違いです。
もちろん二人乗りのことも取り上げていますが、それだけじゃありません。
“タンデム”という言葉には、“読者と編集部をつなぐ”“読者同士の輪が広がる”“みんなで楽しく”などという、むしろ象徴的な意味を持たせているんです。
内容は、バイク歴がまったくない人、バイクのことなんて何も知らないよというビギナーにもわかりやすく、楽しめるをこころがけています。「今までのバイク雑誌はムズカシすぎて読めなかった」という人にもご好評いただいています。
ビギナーは、何をするにせよ“やり方がわからない”という場面によく遭遇します。『タンデムスタイル』には、そんなビギナーが知りたいハウツーがギッシリ!
そして、バイクを使ったさまざまな楽しみ方を紹介しているので、自分に合った
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