ボバーは近年人気が高まっているスタイルです。
その起源に関しては諸説色々あります。ボバーが人気になった第二次世界大戦後という説もあれば、1920年代に生まれたフェンダーを外して車体をコンパクトにするボブジョブ(bobは短くするという意味)がボバーのルーツだという説もあります。

ボバーは元々レーサーレプリカだった!?


明確な起源はわかりませんが、ボブジョブが戦後のボバー人気に影響している可能性が高いので、ここではボブジョブから話を始めることにしましょう。
ボブジョブは当初カスタムというよりも、マシンのパフォーマンスを引き上げる為、車体を軽くするチューニング的な意味合いを持っていました。

この手法が広まったのは1930年代、市販車をベースにしたクラスCというレースが始まった時です。
インディアン・スカウトやハーレーのWRなど、クラスCに出場するマシンは大きくて重い鉄製の前後フェンダーなどを外して軽量化されていました。

このレーサーのスタイルが、ストリートを走る一部のライダー達のトレンドとなりました。つまりボブジョブは、性能を追求したレーサーのレプリカ的な意味合いが強かったのです。

大戦後に盛り上がったボバー人気


第二次世界大戦が終了した後は、バックヤードで部品を取り外してペイントを施すカスタムが人気になりました。
独自のスタイルやデザインを生み出す流れも生まれ、クロームメッキを施されたパーツなどが装着されたマシンも登場するようになります。
これがボバーと呼ばれるようになりました。

同じアメリカのカスタムスタイルとしてはチョッパーも有名ですが、こちらが誕生したのは1960年代。ボブジョブよりは30年も後のことでした。

ボバーの人気はその後低下し、80年代以降はほとんど姿を見なくなりました。

ところが2000年以降のカスタムバイク人気が盛り上がり、レトロなスタイルを取り入れることがトレンドになったことで再びボバーのスタイルが注目されるようになります。

メーカーからもボバーモデルが登場するほどの人気に


メーカーからもボバースタイルのマシンが登場するようになったのも近年の傾向の1つです。

ボバーの歴史に深く関わりのあるハーレーやインディアンからはボバーモデルがラインナップされました。


トライアンフからもボンネビル・ボバーが登場しています。
50年代、60年代はトライアンフが北米でも人気だった為、ボバーにカスタムされていた歴史があります。

その当時のイメージを取り入れつつ、現代的に仕上げられています。

ボバーカスタムはこうやって作る

最近増えてきたボバーのカスタムマシンはどのような考えで作られているのでしょう?
これは国産モデルを中心に様々なボバーを発表してきたWedge Motorcycleの製作したSRカスタムです。

このショップの特徴は自社で金属加工から塗装まで行ってしまう技術があること。
その為に多くのワンオフパーツが使用されています。
ボバーに明確な定義はありませんが、基本的には当時の流れを受け継いで不要なパーツを極力剥ぎ取るところからマシン製作はスタートしています。

タンクも小型化されて車高も低くおさえられています。
ボブ・ジョブが始まった当初も車体を低く、コンパクトにするケースが多かったようです。
マシンがスマートかつスタイリッシュになり、足つき性も向上します。

フロントフェンダーは短くカットされるか、取り外してしまうことも。
このマシンは取り外していました。

ビンテージ風の太いフロントタイヤを組み合わせるとスリムになった車体との対比でフロントビューの迫力が増します。
リアフェンダーも変更されて短くカット。
テールランプやウインカー類もコンパクトにしてスッキリまとめています。

薄いスタイリッシュなシートが装着されていることで、マシン全体の雰囲気が大きく変わっています。


低くて幅の広いハンドルに変更。
メーターは小型のスピードのみとし、ライト類も小ぶりなメッキメーターです。

このSRは、ボバーカスタムのお手本のような作りですが、様々なビルダーが独自の考えでオリジナリティーを演出する為、ボバーにも色々なスタイルが生まれているようです。

しかしその根底にあるのは、走りを追求する為に贅肉を削ぎ落とすという考え。
鍛え上げたボクサーのような美しさが漂うマシンこそがボバーなのです。

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