今回は250cc以下の軽二輪や251cc以上の小型二輪(以下自動二輪車と呼びます)をボアアップして改造申請するやり方について紹介したいと思います。

原付き場合は、地方自治体の役所への申請でしたが、今回は陸運支局や自動車検査登録事務所で手続きを行うことになり、元の排気量や拡大される排気量によって手続きの方法が異なります。

ちなみにボアアップなどの改造は、してはいけないというわけではありません。
定められた範囲内で正しく作業し、必要な登録を行えば問題なく登録することが可能です。

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原付二種をボアアップして軽二輪登録


原付二種、つまり125cc以下のバイクを125cc以上にボアアップした場合は、軽二輪として登録することになります。
高速道路が使いたいという人にはメリットがある方法です。


これはKN企画(https://www.kn926.net/)から発売されているGSX-R125用ボアアップキットで排気量は150ccになります。
国産車では、この排気量帯のボアアップキットはあまり目にしませんが、海外では175ccクラスが人気なので、125ccを150ccや175ccくらいにボアアップするキットなどが販売されているのです。
手続きは比較的簡単。
確認書と総排気量計算書を記入(どちらも自動車検査登録事務所の窓口でもらうことができます)。


これが確認書で、誰がどんなマシンを、どのように変更して登録したいのかを記載します。


そしてこちらが排気量計算書です。
計算式が出ているので、そこに数値を当てはめていきます。
確認書、排気量計算書に加え、原付二種の廃車証明、車両の外観(前後左右)が分かる写真、車体番号、原動機番号の石ずり、書類を提出します。
バイクの検査などはありません。
また、251cc以上のバイクの排気量を下げて、軽二輪登録するときも手続きは同様です。

自動二輪をボアアップしたときの改造申請


手続きが複雑になるのは、251cc以上の自動二輪を改造申請する場合です。
やらなければならないことが一気に増えます。


こういった登録をする場合、最も重要なのはボアアップなどを行う前に、運輸支局や自動車検査登録事務所へ相談に行くこと。

改造車や特殊な車両などの登録に関して、必要なアドバイスを受けることができます。
手間はかかりますが、逆に言えば検査官の方から受けた指摘を正してく実行し、一つ一つ確認してもらうようにすれば、改造申請をパスすることが可能です。

相談でお話を聞くのは検査部。
担当する検査官の方々は、車検ラインの検査を受け持っているので、窓口に戻ってくるのは車検が終わってから。
相談ができるのは16時くらい以降(混み具合などで変化します)、窓口が閉まるまでになります。
十分な時間がとれない可能性もあるので、可能な限り資料などを用意して、効率的に相談をすることをオススメします。
自動車技術総合機構のホームページには、改造自動車に関する審査要項が掲載されているので、相談に行く前、こちらで予習しておくのが良いと思います。
https://www.naltec.go.jp/publication/regulation/fkoifn0000000ljx-att/fkoifn0000000oax.pdf
排気量を上げて改造申請する場合、ボアアップキットを装着するケースだけでなく、エンジンの載せ替えなどもあり(四輪などではそちらの方が多い)、やり方によって検討する項目が異なる可能性があります。
排気量に対し、駆動系(チェーンなど)の強度が十分であるかなど、検討しなければならない項目はバイクや改造内容によって変わります。
だから実際に検査を担当する検査官の人達に話を聞いておき、アドバイスに従って作業と手続きすることが非常に重要になるのです。

ボアアップ部品の寸法が分かる写真が重要


今回の相談で最初に言われたのが「まだボアアップはしていないですよね?」ということでした。
自動車技術総合機構のホームページでは、改造したバイクの申請に関して、下記のように説明されています。
「改造自動車の改造内容が、安全上重要な部分又は目視等で容易に確認できない部分にわたっている自動車は、事前に届出書面を審査することにより適合性審査を行います」
つまり、エンジン内部など、後から目視で確認できない改造をして申請を行う場合は、どんな部品を使用して、どんなふうに改造するのか、事前に書類の審査を行わなければならないのです。
そのためには、実際に使用するパーツの写真が必要になります。


※上記写真はイメージであり、実際の申請に必要とされる写真ではありません。

写真の撮り方にも注意が必要です。
単なる製品の写真ではなく、ボアやストローク(ストロークが変わる場合)が分かるものでなければなりません。
そうでないと排気量が、どれくらいになったかを証明できないからです。
ピストンなどであれば、スケールなどと一緒に写真を撮り、ピストンの大きさを写真で証明できるようにしておく必要があります。
「もしも先にピストンを組み付けていたら、分解して写真を取らなければならないですか?」と聞いたところ
「原則としてそうなるでしょうね」ということでした。

最大の難関は書類の作成


やることが明確になったらいよいよ改造申請の書類を作成します。
自動車技術総合機構のホームページに届け出様式のダウンロードがあり、改造自動車関係のところから必要書類のダウンロードが可能です。
https://www.naltec.go.jp/fkoifn00000011hj.html

基本となる届出書類は第1号様式と第2号様式、そして第3号様式です。

これが第1号様式で表面は改造自動車届出書になっています。

第1号様式の裏面は改造内容によって必要な書類が記載されています。
原動機を変更した場合、添付資料として「自動車を特定する資料」「技術基準等への適合性を証明する書面」「保安基準適合証明書」「外観図」「改造部分詳細図」「動力伝達装置」が必要であることが示されています。

こちらは第2号様式の表面。
主要諸元が改造前と改造後でどのように変更されたのかを記載します。

第2号様式の裏面は改造内容の概要を説明します。

第3号様式は保安基準適合検討書。

書類を順番に見ていくと「確かにこれは改造申請に必要な書類だな」と思います。
難関は強度計算や保安基準に適合しているかを検討することでしょう。
ただ、これも計算式が決まっているものもあったりしますし、他の書類でカバーできることがあるかもしれません。
窓口で車検官の方と書類を見ながら、必要な書類や検討内容を確認し、不明点があったら教えてもらうのが確実。
ちなみに相談した時にメモは必須です。
本気で改造申請するのであれば、検査官の方が伝えることは一言一句、すべてを書き取るくらいでないと、後々で大変な苦労をすることになりかねません。

書類ができたら提出して審査


改造の内容を説明する資料としてパーツの写真や改造箇所の写真に加え、上の写真のような車体の四面図(車両の4方向からの写真)、車体番号と原動機番号の写真、車検証のコピーなども必要になります。
提出した書類は運輸局の検査部に回されて審査され、これがパスすると後日「改造自動車審査結果通知書」が発行されます。

この通知書がゲットできたら、申請の大きな山を超えたことになります。
後は書類とバイクを検査ラインに持ち込んで、確認してもらうだけ。
ちなみにこの検査は車検ではなく、改造申請を行った車両であることと改造内容を確認するもの。
これが終わると記載事項が変更され、排気量が変わった車検証が発行されるのです。

軽二輪をボアアップして自動二輪登録する方法


250cc以下のバイクをボアアップして、自動二輪車として登録する場合もやり方は基本的に同じです。
ただし車両や改造内容によっては検討項目が増えることも考えられます。

RZ250のように、同じ車体で350が存在しているバイクでは、駆動系などに共通部品が使われていることを説明できれば、検討項目は比較的少なくなるかもしれませんが、必要書類等に関しては検査官の方に相談するようにしてみてください。

ボアアップの改造申請は労力を惜しまないこと


ボアアップしたバイクの改造申請の大まかな流れは以上です。
もしも興味があるのであれば、一度お近くの自動車登録検査事務所で相談してみてください。

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