特定小型原付とは?特徴や交通ルールについて解説!
公開日:2025.01.19 / 最終更新日:2025.01.19
2023年7月1日に道路交通法改正が適用されて新しく創設された特定小型原付をご存知でしょうか?
正式名称を「特定小型原動機付自転車」というこの乗り物の区分は手軽で利便性が高く、新しい移動手段として注目されています。
16歳から乗れることに加えて免許も不要なのですが、交通ルールを知らなかったりマナーを無視するような運転をしてしまうと違反や事故を起こしてしまう可能性があります。
また、既存の50cc原付バイク(原動機付自転車)と異なる点も多いため、免許を持っている方でもこの特定小型原付について予め知っておいたほうが良い事が多いです。
本記事では特定小型原付について詳しく解説しますので、購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
※本記事の内容は2025年1月時点の内容となり、最新の情報と異なる場合があります。
※本記事ではバイク王が取り扱っている特例特定小型原付「e-FREE 01」をイメージ画像として使用しています。
特定小型原付の特徴
特定小型原付は誕生してからまだ日が浅いのでどんな乗り物なのか詳しくご存じない方も多いのではないのでしょうか?
そこで、特定小型原付はどのような乗り物で、どのような特徴があるのかを見ていくことにしましょう。
免許が不要
特定小型原付に乗るのに免許は必要ありません。
ですが、公道を走る上でのルールは必ず理解しておく必要があります。
年齢制限がある
特定小型原付は16歳以上であれば誰でも運転することが可能です。
逆に言うと16歳未満の人は運転することができません。
定格出力
特定小型原付は電動モーターを動力にしています。
モーターの定格最大出力(安定して発揮しつづけることができる最大の出力)は0.6KW以下に定められています。
『特例』特定小型原付も存在する
令和5年7月1日から原動機付自転車の中の一つとして創設されたのが特例特定小型原付です。
特定小型原付に6km/h以上の速度を出すことができない歩道走行モードを備えていることが最大の特徴です。
歩道走行モードに設定し、最高速度表示灯を点滅させることで例外的に標識で定められた歩道の走行が可能になっています。
歩道走行モードを備えていない特定小型原付では歩道の走行は認められていないため、走行バリエーションが増えてシーンに合わせた走行が可能となります。
歩道を走ることができるのは、自転車が通行できる歩道のみ。
自転専用レーンを走ります。
歩行者のみの歩道を通行することは認められていません。
歩道にはみ出すこともできません。
路側帯を走る場合、左側通行になります。
右側の路側帯を走ることはできません。
路側帯が歩行者専用の場合、特定小型原付は走ることができません。
この場合、車道の左側を走ります。
最高速度が20km/h
特定小型原付はモードの切り替えによって最高速度が変わります。
車道走行モードにした場合の最高速度は20km/h。歩道走行モードの場合は時速6km/hと定められています。
AT(オートマチック・トランスミッション)を採用している
モーターを使用していることもあり、変速機はありません。
そのためにクラッチやシフトペタルがなく、走るときに使うのはスロットルとブレーキのみのため操作はとても簡単です。
車体の大きさ
特定小型原付で定められている車体の大きさは全長1.9m以下、 全幅0.6m以下です。
写真はバイク王が取り扱っているe-FREE 01ですが、一緒に立っている人と比べたらそのコンパクトさがお分かりかと思います。
全長が1250mmで全幅が570mm、重量は22kgしかないため、女性や年配の方でも扱いやすいサイズ感です。
二人乗りの禁止
特定小型原付は一人乗り専用のため二人乗りをすることはできません。
最高速度表示灯の装備
特定小型原付の特徴的な装備が最高速度表示灯です。
車道走行モード、歩道走行モードで最高速度が変わるため、外から見てどのモードで走っているか分かるようになっています。
走行中の最高速度設定変更ができない
走行中に車道走行モード、歩道走行モードの切り替えをすることはできないため、走行モードを切り替える場合は一度停止してから切り替え操作を行う必要があります。
ナンバープレートを取り付けている
特定小型原付のナンバーは10cm×10cmの正方形です。
ナンバープレート無しで走行すると交通違反および、反則金や罰金などが科せられることになります。
自賠責保険の加入が必須
原付バイク同様に自賠責保険の加入が義務付けられています。
金額は2025年1月現在で12ヶ月で6650円。24ヶ月で8560円となっており、原付バイクよりも若干安くなっています。
道路運送車両法上の保安基準に適合している
特定小型原付は一般公道を走行するので道路運送車両法の保安基準に適合していなければなりません。
保安基準の詳細については次項で解説します。
特定小型原付の保安基準項目
ここからはe-FREE 01を見ながら、特定小型原付がどのような保安基準に基づいて作られているかを具体的に説明していくことにしましょう。
内容に関しては国土交通省の資料をもとにしていますが、すべてを記載することができないので抜粋であることをご了承ください。
詳細が知りたい場合は国土交通省のリンクをご参照ください。
前照灯(ヘッドライト)
二輪の特定小型原付の場合、ヘッドライトの取り付け位置は地上から0.5m以上、1.3m以内の場所に取り付ける必要があり、ライトの色は白色と定められています。
夜間でも15m先の障害物が見えるものでなくてはなりません。
ヘッドライト、もしくは昼間用のライトが常時点灯している必要があります。
最小光度、最大光度、形状なども細かく設定されています。
警音器(クラクション・ホーン)
警音器の装着も義務付けられています。
音色や音量に関しても規定が設けられていますがここでは割愛します。
警音器に関しては空気式、電動空気式でなくても適当な音量と音質が確保されていれば問題ありません。
方向指示器(ウインカー)
ウインカーは後方30mから見える場所に取り付けられていて、点灯時は100m離れた場所からでも確認できるものでなければなりません。
1分間に60回から120回の間で点灯することなどが規定されています。
尾灯・制動灯
尾灯(テールランプ)は夜間に後方300mから視認できる必要があります。
制動灯(ブレーキランプ)に関しては昼間に100m後方から確認できることが定められています。
リフレクター
リフレクターとは光を受けて反射する反射器のこと。写真ではテールランプの下に設置されていることがお分かりかと思います。
特定小型原付では100mの距離から走行用のヘッドライトで照らされた場合にその反射光が光を照らした位置から確認できるものでなければなりません。
ブレーキ
前後に有効な制動力を持ち、様々な状態でも安定して作動するブレーキを備えている必要があります。
e-FREE 01の場合、制動力の高い機械式ディスクブレーキが採用されています。
最高速度表示灯
最高速度表示灯はモードによって光り方が異ります。
車道走行モード(時速20km/h以下)の場合は点灯(つきっぱなし)、歩道走行モード(時速6km/h以下)の場合は点滅になり、周囲からどのモードで走っているかを判別できるようになっています。
色は緑で前方、後方のどちらも25m離れた場所から視認できる必要があります。
バッテリーの安全性
特定小型原付の多くのモデルにはリチウムイオンバッテリーが搭載されていますが、PSEマーク等の基準へ適合している必要があります。
e-FREE 01に採用されているのも基準に適合したリチウムイオン電池。
コンパクトで長寿命であることに加え、バッテリーの残量を気にすることなく充電を行うことができます。
走行安定性
車体や足回りは、車道や歩道を走行中に段差などを通過した場合でも安全に走れることが規定されています。
スピードリミッター
特定小型原付は走行モードによって最高速度のリミッターが作動します。
車道走行モードでは20km/h、歩道走行モードでは6km/hがリミッターの設定速度となっており、設定速度以上のスピードは出ないようになっています。
特定小型原付の交通ルール
免許が必要ない特定小型原付ですが、公道や歩道を走行するにあたっては道路交通法を遵守する必要があります。
車道走行モードで走っているときは基本的に原付バイクと同じですが、歩道走行モードにした場合はルールが異なる点に注意が必要です。
信号・道路標識に従う
車道走行モード、歩道走行モードに関わらず、公道を走行する上では信号や道路標識に従うのが大前提になります。
ただし、後述するように自転車と同様にみなされる点もあります。
この点が原付バイクと異なる点です。
車道通行の原則
原則的に車道の左端を走行します。
ただし、自転車道、自転車専用通行帯、自転車通行可となっている歩道、路側帯などを通行することができます。
歩道を走る場合は歩道走行モードにして歩道の車道側を通ります。
どんな場合においても歩行者が優先であることはお忘れなく。
二段階右折が必要
右折する場合は二段階右折となります。
これは写真上側から走ってきて、右折する方向の信号を待っているところ。
原付バイクと違って、右折はすべて二段階右折という点に注意が必要です。
二段階右折のやり方に関しては下記記事を参考にしてください。
一方通行
原則的に一方通行も従わなければなりませんが、「自転車を除く」「軽車両を除く」と補助標識に記載がある場合はどちらの方向へ通行しても大丈夫です。
一方通行の標識に自転車や軽車両を除外する補助標識がなかったり、特定小型原付や自転車の一方通行が指示されていたら標識に従う必要があります。
特定小型原付の禁止事項
とても便利に使うことができる特定小型原付ですが、禁止されている事項もあります。
気軽に乗れるからと言って油断せず、ルールを守るようにしてください。
16歳未満の運転禁止
特定小型原付を運転することができるのは16歳以上の人。
16歳未満の人は運転することができません。
飲酒運転の禁止
飲酒運転は特定小型原付でもかたく禁止されています。
酒気帯び運転した場合は3年以下の懲役または50万円以下の罰金。
酒酔い運転の場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
二人乗りの禁止
特定小型原付はどれも一人乗りです。
二人乗り、あるいはそれ以上が乗車して運転することはできません。
ながら運転の禁止
スマホなどを操作しながら走ることも禁じられています。
手を離すことから安定性が損なわれ、前方への注意がおろそかになるので大変危険です。
違反すると6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金。
反則金が12000円になっています。
周囲の音が聞こえない状態での運転禁止
イヤホンなどを使い、周囲の音が聞こえない状態で運転することはできません。
5万円以下の罰金。
反則金5000円が科せられます。
ちなみに軽微な違反に関しては反則金となりますが、重大な交通違反となった場合は罰金、もしくは懲役が科せられることになります。
ナンバープレートを隠すことの禁止
ナンバープレートを隠すことは禁止されています。
荷物などを積んでもナンバーがハッキリと見える状態であることを確認するようにしてください。
特定小型原付と原付バイクの違い
原付の中の一つの分類として生まれた特定小型原付ですが、原付一種の50cc原付バイクと比較してみると色々違いがあることがわかります。
免許
原付バイクは免許が必要ですが、特定小型原付では免許は必要ありません。
16歳以上であれば運転することができます。
ナンバープレート
原付バイクと特定小型原付、どちらもナンバープレートが必要です。
ただし大きさが違っていて、特定小型原付はナンバープレートも10cm✕10cmと小さいものになっています。
ヘルメット
原付バイクはヘルメットの着用が必要ですが、特定小型原付は努力義務。
ただし安全のためにヘルメットの着用は強く推奨されるところです。
ミラー
原付バイクはバックミラーの装着が必須。
対して特定小型原付は不要です。
ミラーは運転しているときに後方の確認が容易になるのであった方が便利。
e-FREE 01はバックミラーをオプションで用意しています。
最高速度
原付バイクの最高速度は30km/hですが特定小型原付は20km/h。
また特例特定小型原付で歩道走行モードにした場合、最高速度が6km/hになります。
走行場所
原付バイクが走ることができるのは車道です。
対して特定小型原付は車道に加え、自転車用レーンや自転車が通行可能な歩道も走ることができます。
燃料
原付バイクはガソリン、もしくは電気を燃料にしています。
これに対して特定小型原付では電気のみです。
特定小型原付のメリット
特定小型原付には色々なメリットがあります。
今までの二輪車とは違った長所があるので、様々な方面から新しい乗り物として注目されています。
環境に優しく経済性に優れている
電気で走る特定小型原付は環境に優しく、とても経済的です。
e-FREE 01をはじめとする特定小型原付の多くが家庭のコンセントから充電できるのでガソリンスタンドに給油しに行く手間もかかりません。
軽量・コンパクト
原付バイクと比較して車体が軽量でコンパクトなのは特定小型原付の大きなメリット。
女性や年配の方、体力に自信がない方でも扱いやすい車体サイズになっています。
音が静か
エンジンがなく電動なので音が静かなのも魅力。
住宅街で深夜、早朝に走るときも周囲に気兼ねする必要がありません。
また、鳥のさえずりなど周囲の音もよく聞こえます。
特定小型原付のデメリット
非常に手軽で便利な特定小型原付ですが、デメリットもあります。
ただしメリット、デメリットは使い方によって変わってきます。
制限速度が20km/h
50cc原付バイクの制限速度は30km/h。
特定小型原付はそれよりさらに遅い20km/hです。
自転車専用レーンが無い幹線道路を走行する場合、道路状況によっては周囲の交通との速度差が大きいことから走りにくいことがあるかもしれません。
航続距離が短い
原付バイクと比較して航続距離が短いため、移動範囲はガソリンエンジンの原付バイクよりも狭くなります。
近所の買い物や足として使う分には困らないのですが遠出することは難しくなります。
ただ、e-FREE 01など特定小型原付の多くは充電器が小さいので、出かけるときに携帯すれば出先で充電することができます。(電動の原付バイクの場合は充電器が大きく、持ち運べないことが多い)
出先での充電を上手に行えば移動範囲はもっと広くすることができますし、電欠になったときも対処しやすいのはありがたい点です。
特定小型原付は新しい可能性を持ったモビリティ
特定小型原付のこと、お分かりいただけたでしょうか?
お住まいの場所や使いかたによっては、これまでにない可能性が広がるのではないかと思います。
都市部はもちろんのこと、地方でも色々な使い方が考えられることでしょう。
手軽で便利な特定小型原付は、新しいライフスタイルを作ってくれる乗り物であることは間違いありません。
BikeLifeLabでは今後、特定小型原付をはじめとする電動モビリティのの魅力をお伝えしていく記事の配信を予定していますので楽しみにしていてください!
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