バイクを新車で購入した時やオーバーホールした時は慣らし運転が必要だと言われています。

慣らしとはいったいどんなことをするのでしょう?

正しい慣らし運転が本来の性能を発揮させる


エンジンをはじめとする機械は新品の状態では部分的に強く擦れる部分があります。
この状態で高い負荷を与えたり、高速回転をさせてしまうと強く当たっている部分の摩耗が進んでしまったり、極端にひどい場合は油膜が切れて傷がついたり焼き付いてしまう可能性があるのです。

そこで慣らし運転が必要になります。
最初に低い回転で運転し、各部品を馴染ませてクラアランスなどを適正な数値に落ち着けるのです。

現在のバイクでも慣らし運転は必要なのか?


現在の車両は高い精度で組み立てられている為、昔の車両ほど気を使う必要はなくなっています。

しかし調子の良い状態で長く乗りたいのであれば慣らし運転をした方が良いとされています。

慣らし運転では、最初に回転を抑えて走りながら、エンジンやサスペンションなど動く部品すべてを優しく擦り合せ、正規のクリアランスが確保された状態を作り上げます。

エンジンの部品は適正水温になった時のことを想定して設計されているので、短い走行を繰り返すのではなく、長い距離を走り続けることを推奨しているメーカーもあります。

慣らし運転を終えたら、オイル交換をします。
強く擦れている部分があるので最初はオイルも汚れ気味になっているはずです。


エンジンだけでなくフロントフォークのオイルも交換します。
また後述するように新品のチェーンには伸びやすくなっていますから、チェーンの伸びを調整し、ボルト類の緩みなどを確認します。

慣らし運転後のこういった作業を終え、初めて愛車は完璧な状態へと近づいていくのです。

慣らし運転は1000kmを目安にすることが多いようですが、慣らし中にキープする回転数や距離はメーカーや車両によって異なります。

マニュアルにやり方が記載されていますので参考にするようにしてください。

中古車や旧車買ったら慣らし運転は必要なのか?


旧車や中古車を購入した場合でも慣らし運転は行った方が良いでしょう。
ただし、新車で行う慣らし運転とは少し意味合いが違います。

中古車は部品同士の擦り合せは終わっていますが、しばらく走っていなかったバイクは可動部分の動きが渋くなっている場合もありますし、旧車の場合は予想外のトラブルが発生する可能性もあります。

最初にマシンの状態を確認する意味も含め、いたわって走りながらライダー自身もマシンの操作や挙動にも慣れていくのです。

専門店で購入した中古車であれば基本的な整備が行われていますが、個人売買で購入した場合は、どんな状態になっているか検討がつきません。

そんな時はガソリン、油脂類、タイヤなどの状態やブレーキなど重要部品を必ず確認し、最初特に慎重に走った方が良いでしょう。

交換毎に必要なタイヤとパットの慣らし


部品を交換したら慣らし運転をした方が良い場合もあります。
タイヤ、ブレーキ、チェーンなどです。

タイヤは保管されている間にタイヤ表面のゴムが若干硬化している可能性がありますが、少し走ることで表面が削れて柔らかいゴムが出てきてタイヤ外周部も削れることで微妙な変形がなくなります。
(極端に古いタイヤは慣らしをしても本来の性能を取り戻すことはできません)

チェーンは初期伸びといって、最初だけ伸びやすい特性があります。
その為に最初はあまり荷重をかけないように走り、チェーン調整をする必要があります。

ブレーキパットやディスクローターを交換した場合は、当たり面が馴染んでいないので、アタリが出るまではゆっくり走る必要があります。
しばらく走るとブレーキの効き方が安定して本来の制動力を発揮するようになってきます。

2ストマシンの特殊な慣らし方法とは?


2ストロークエンジンはシリンダーにポートの穴がたくさん開いています。
エンジンの熱でポートとポートの間の柱部分がせり出してきてピストンと強くあたり、ここが焼き付きやすくなります。


その為、オーバーホールをしたりして新品のピストンを組み付けた時は、入念な慣らし運転が必要になります。


ただ、逆に言えば強くあたる部分は分かっているので、レースなどで頻繁にエンジンを分解している人は回転を抑え気味にして少し走ったらエンジンを分解し、ピストンとシリンダーの強く当たっている部分(擦れて光っている)をペーパーで削る「アタリ取り」という作業をすることもあります。
2ストを自分で整備しながら乗り続けようと考えている人は参考にしても良いかもしれません。

慣らし運転にもバイクや部位によって様々なやり方があることはお分かりいただけたかと思います。
構造と動き方を理解して、本来の性能を余すことなく発揮させるためにも正しく慣らし運転をしたいものです。

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