VTR250とはどんなバイク?特徴や中古で選ぶ際のポイントを解説!
公開日:2024.09.18 / 最終更新日:2024.10.09
VTR250は、1997年にホンダから発表され、翌1998年1月から発売されたネイキッドバイク。
当時の250㏄ネイキッドバイクの中には並列4気筒エンジンを搭載したモデルもラインナップされていましたが、その中でV型2気筒エンジンと個性的なトラスフレームを組み合わせたVTR250は一定の支持を集めました。
その後、排出ガス規制の強化で2007年ごろには多くの250㏄並列4気筒エンジンを搭載するモデルは姿を消しましたが、VTRは手を加えられながら2017年まで生産され、多くのライダーから愛された人気バイクです。
本記事ではそんなVTR250の特徴や中古車を選ぶ際のポイントなどを解説していきます。
※本記事で掲載している画像にはメーカーオリジナルの状態と異なるものも含まれます。
※正式なモデル名は「VTR」ですが本記事では便宜上「VTR250」と表記します。
ホンダ250㏄水冷4ストロークV型2気筒の歴史を振り返る
VTR250の特徴に触れる前に、まずは心臓部にあたる『エンジン』の歴史を振り返っていきます。
というのもVTR250に搭載される水冷4ストロークDOHC4バルブV型2気筒エンジンは、1982年に登場したVT250Fの流れをくんでいるから。
1970年代後半から1980年代初頭において、250㏄のオンロードスポーツモデルと言えば4ストロークよりも2ストロークが主流でした。
中でも1980年に登場したヤマハのRZ250は別格。
ホンダも空冷4ストロークのCB250NやCB250T、スーパーホーク(並列2気筒)・CB250RS(単気筒)をラインナップしていましたが、水冷2ストローク並列2気筒を搭載するRZ250には出力面で劣りました。
1970年代後半から1980年代前半のレースシーンでも2ストロークが幅を利かせていました。
そんな中、ホンダは4ストロークにこだわり、500㏄エンジンで競い合う世界グランプリの最高峰クラスで、ヤマハ・スズキ・カワサキが2ストロークエンジンだったのに対し、4ストロークV型4気筒のNRを投入。
成績こそふるいませんでしたが、楕円ピストンを用いて高回転化をねらうなど、チャレンジ精神はホンダらしいと評価されました。
市販車でもホンダは4ストロークにこだわり開発を行ないました。
そして250㏄クラスにGPマシン・NR500の思想を盛り込んだ高回転型のV型2気筒エンジンを搭載したマシンを、1982年に送り出しました。
それがVT250Fです。このV型2気筒エンジンは、一時振動をゼロにするレイアウトを採用しつつ、スリム&コンパクトさも追求。
それに加えピークパワーは11,000rpmで35psを発揮し、これはRZ250に匹敵する数値でした。
当時は「出力面では4ストロークの方が不利」という認識をもっているライダーもいましたが、それを覆したのです。
ちなみに2ストロークエンジンはパワーを重視すると低回転域のトルクが不足する傾向にありエンジン回転を上げて走る必要があったのに対し、VT250Fは低回転域からしっかりとしたトルクが発生し、誰がどんなフィールドで乗っても扱いやすくそれでいながら速さも合わせ持っていました。
車体や足まわりの装備も充実していたこともあり、30,000台を超えるヒットモデルになったのです。
登場から2年後の1984年には、エンジン・外観などに大幅な変更を受けました。
とくにエンジンは一気に5psアップの40psを発揮。
1983年に登場したレーサーレプリカのはしりであるスズキRG250ガンマは、2ストロークで45psを発揮し、多くのライダーから支持されました。
しかし数値こそRG250ガンマには劣るものの、扱いやすくその気になれば十分スポーティな走りを楽しめるVT250Fは、幅広いライダーから支持を集め、初代を上回る販売台数を記録したのです。
1986年にも大幅な手が入り、最高出力は43psに到達。
エンジン以外にもフレームをはじめ多岐にわたって変更が加えられ魅力は高まっていましたが、このころになると別の流れが生まれていました。
250㏄クラスにも水冷4ストローク並列4気筒エンジンを搭載するモデルが増えたこと。
それまでは並列4気筒エンジンは400㏄クラスのモデルに搭載されていましたが、その流れが250㏄にも波及。
1986年登場のVT250Fも健闘はしましたが、並列4気筒の流れに対抗することはできませんでした。
そして1988年にはVT250スパーダとして生まれ変わりました。
出力は40psにダウンしましたが、軽量なアルミフレームなども相まって魅力あふれるマシンでしたが、当時のライダーの心には響かず…。
3年後にはツアラーテイストのゼルビスになりましたが、こちらも初期型のVT250Fのような支持は得られず、1997年まで生産されました。
そのゼルビスに代わるカタチで送り出されたのがVTR250です。
ツアラーではなくネイキッドという立ち位置でした。
当時はホンダを含め、250㏄ネイキッドに並列4気筒エンジンを搭載するモデルが幅をきかせていました。
ホンダはVTR250登場の前年になる1996年にホーネット250をリリース。
400㏄クラスのネイキッドや、大型モデルに比べて軽量な250㏄ですが、250㏄という範疇で見ると、並列4気筒エンジンを搭載するモデルは重く、大柄。それらに対してVTR250はコンパクトで軽量でした。
ちなみにホーネットの乾燥重量が168㎏だったのに対して、VTR250は139㎏。
最高出力はホーネットの当時の自主馬力規制上限の40psに対して、VTR250は32psでした。このエンジンはVT250Fから熟成され続けてきましたが、低中速の扱いやすさを重視した結果、VT250Fよりも低い数値になりました。
VTR250は爆発的なヒットにはなりませんでしたが、その後も根強くラインナップに残り続け、2017年まで生産されました。
VT250Fを祖とする水冷4ストロークV型2気筒エンジンは、Vツインマグナにも用いられるなど、ホンダの歴史の中でも多くのライダーに愛されたエンジンなのです。
VTR250の年式ごとの特徴
1997年に開催された東京モーターショーでは参考出品され、1998年に発売がスタートしたVTR250はキャブレターのモデルとフューエルインジェクションのモデルに大別できます。
ここではキャブレターとインジェクションに分けて、それぞれの特徴を紹介していきます。
キャブレター 1998年~2008年モデル
エンジンはVT250Fから始まり、長年熟成させてきた水冷4ストロークDOHC4バルブV型2気筒249㏄エンジンを搭載。
最高出力は32psと低めに設定されていましたが、最大トルクは並列4気筒に劣らない2.4kgfを発揮し、低中回転域での扱いやすさが光ました。
加えてワイドレシオの5速ミッションも相まって、街中から高速道路までの幅広いステージでストレスを感じることなく走り回れました。
それに貢献しているのが1,000㏄スポーツモデルのファイアーストームの設計コンセプトを踏襲したトラス構造のスイングアーム・ピボットレスフレームの採用です。
前後17インチというホイールサイズや並列4気筒エンジン搭載車よりも軽量なこと、しっかりとした足まわりが構築され、軽快な走りを楽しめました。
またトラスフレームをはじめとするシンプルかつ個性的なスタイルや、シート高780㎜でありながらスリムな車体のおかげで足つき性も良好。
取りまわしもしやすく、大ヒットとまではいきませんでしたが、幅広いライダーから支持され、堅調なセールスをマークしました。
2002年にはシート形状の変更やサスペンションのセッティングを変更することで、シート高を従来比マイナス20㎜となる760㎜とし、足つき性が向上。
さらにタコメーターやハザードランプが追加されるなど、より使い勝手を向上させるための変更が加えられ、以降もさまざまなキャリアのライダーに支持されていきました。
インジェクション 2009年~2017年モデル
排出ガス規制の影響により、多くのモデルが生産終了となりました。
VTR250もそうなる可能性はありましたが、根強い人気のモデルであり、ホンダは排出ガス規制に対応すべく手を加えたモデルを2009年にリリースしました。
そのポイントになるのが吸気システムをキャブレターからフューエルインジェクションに変更したことです。
キャブレターとフューエルインジェクションの違いの細かな説明は省きますが、後者の方が規制に対応させるには不可欠だということ。
ただ、文字にすると『フューエルインエジェクション化された』で終わりますが、それにあたってはさまざまな変更が加えられているのです。
頭脳部となるECU(エレクトリック・コントロール・ユニット)には演算能力を高めるべく新設計し、求められる電力が増えることに対してジェネレーターの発電量を5%増加させて対処。
クランクシャフトに装着するクランク角検知部を9ヶ所から13ヶ所に増やすことで、よりきめ細やかに情報を検知し、燃料噴射量・噴射タイミング・点火タイミングを制御。
これらによって環境性能を高めるだけでなく、よりライダーの意思に合った扱いやすさやスムーズさの獲得にも寄与したのです。
またフレームはVTR250の象徴とも言えるトラス構造のダイヤモンドフレームを継承。
ただし、シートレールはガセット追加やクロスパイプの変更、フレームボディ側のリヤショックアッパーブラケットやガソリンタンクブラケットの見直しを実施。
これらの変更によって必要な剛性は維持しながらも、適度なしなやかさを持たせることで、車体が傾いていく際のロール速度が一定になり、より安心感がありクセのない自然なコーナリングが楽しめるようになりました。
さらにはシート形状の見直しにより、それまでも『十分足つき性がいい』と表現できた足つき性がさらに向上。
加えて荷掛けフックや施錠可能なヘルメットホルダーの追加、シート下小物入れなど使い勝手が向上し、車体デザインもよりシャープに変わりました。
その後2013年には電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)のセッティングを変更。
これにより、市街地で使うケースの多い、低回転域のスロットルリニアリティーが向上し、街中での扱いやすさが増しました。
加えてエンジンがブラックアウトされ精悍さもアップ。
2014年にはそれまで標準装備されていたバイアスタイヤから、ラジアルタイヤに変更されています。
グリップ力の向上だけでなく、リヤタイヤの扁平率を変えることで加速フィーリングも向上。
さらに『タイプLD』も追加されました。
これはスタンダードをベースに前後サスペンションのセッティングを変更。
これによってスタンダードよりも15㎜低い、740㎜というシート高を実現しました。
以降、大きな変更なく、2017年をもってその歴史に幕が下ろされたのです。
VTR250-Fという存在
2013年2月からはVTR250にハーフカウルが装着された『VTR250-F』がラインナップに加わりました。
これは高速道路を使ったツーリングなどで快適性を高めることをねらった装備です。
コンパクトなサイズですが、ありとなしでは快適性に差が出ます。
なお、ハンドルマウントにするとハンドリングに悪影響をおよぼすため、コストはかかりますがフレームマウントにしているのも特徴。
ちなみにVTR250にカウルを加えただけでなく、メーターは中央にアナログ式のタコメーターを設置し、その下の液晶部にデジタル速度・時刻・ツイントリップ・オドが表示される専用品になります。
2014年はVTR250同様、タイヤがラジアル化。
2013年モデルではVTR250とVTR250-Fとで、サスペンションセッティングの違いには触れられていませんでしたが、2014年モデルではリヤショックのセッティングが変更されたと表記されています。
なお、VTR250-FもVTR250同様、2017年で姿を消しました。
多くのライダーから愛されたVTR250
キャブレター時代を含め、20年にわたる歴史を積み重ねたVTR250はその扱いやすさ・コンパクト&軽量な車格から、免許を取得したばかりのビギナーや、小柄な女性ライダーから支持を集めました。その一方でベテランにも愛されたモデルでした。
熟成されたエンジンは耐久性が高く、燃費も並列4気筒よりも良好。
この点で日常的に走り回るバイク便ライダーにも人気が高いマシンでした。
また扱いやすさが光る出力特性と、加えたテクニックがあれば速く走るマシン。
そのためジムカーナに参戦するライダーの中にも、VTR250を相棒に選ぶライダーが多いのです。
幅広いライダーが楽しめるVTR250。
アップライトな乗車姿勢で街乗りからツーリングもこなせ、気軽に乗り回せる一方で、その気になればスポーティな走りも楽しめるマシンを探しているライダーは、ぜひVTR250とVTR250-Fを候補に入れることをオススメしたいと思います。
中古でVTR250を選ぶ際の注意点
車両の程度の確認
VTR250に限らず中古バイク共通の話となりますが、中古バイクは一点もので1台1台状態が異なります。
そのため、中古で選ぶ際に車両の程度の確認が重要です。
中古車の値段は車両の人気・程度・年式・走行距離などのさまざまな要素を総合的に見て設定されます。
『値段が安いから』と価格だけで購入の判断をしてしまうと後悔につながる可能性もあるため慎重に選ぶことをオススメします。
VTR250は高年式になるほど価格が高い傾向にあります。
キャブレターのモデルはインジェクションのモデルと比較してリーズナブルな傾向にありますが、年式が経過している分だけ経年劣化によるトラブルが発生する可能性は高まると言えるでしょう。
値段以外にも年式や程度など様々な要素を含めて比較検討するとよいでしょう。
車両のキズの確認
VTR250はビギナーからベテラン、女性ライダーをはじめ、さまざまな層のライダーから人気を得ていました。
中には初めてのバイクで扱いに慣れないうちに立ちゴケなどでバイクにキズを付けてしまうケースもあります。
立ちゴケでレバーやバーエンド、ミラーに少しキズがついている程度であれば走行に大きな問題になりません。
キズが気になるのならば部品交換という流れになりますが、かかる費用はそこまで高額にはなりません。
しかし、ガソリンタンクに凹みがある場合、修理をしたりガソリンタンク自体を交換すると、多額の費用がかかることになります。
また、年式によっては新品のガソリンタンクがすでに欠品している可能性もあり、場合によっては程度のいい中古品に交換することも考えられます。
車体全体を確認してキズなどの状況を確かめながらどの程度であれば許容できるか確認するといいでしょう。
納車整備内容の確認
安心・安全にバイクに乗るためには油脂類の交換をはじめとしてバイク全体の点検・整備が必須です。
見積もりの中に整備の金額が含まれているか、納車整備でどのような箇所の整備を行なうか確認するといいでしょう。
また、インターオークションサイトやフリマアプリなどでの個人売買や現状販売は、自身で整備を行なうことが前提となり保証も付かないため、バイク初心者にはオススメできません。
とくに年式の経過したVTR250はエンジンやサスペンションなどの内部の状況が判断しづらい部分や、ゴム系パーツなどの経年劣化も進んでいる可能性があるため、しっかり整備を行ない保証もしっかりとしている販売店で購入するのが安心だと言えるでしょう。
カスタムパーツに注目
中古バイクには前オーナーがオプションパーツを取り付けてカスタムを行なった状態の車両も市場に多く流通しています。購入後に取り付けようと思っているカスタムパーツが既についている車両を選ぶことで、パーツ代と取り付け工賃を浮かせることができるため、購入後に取り付けるよりも総額で見てお得になるケースもあります。同じような価格帯で比較していて程度・年式・走行距離等に大きな差がない場合、カスタムの入り具合で比較するという選び方もあります。
VTR250はカスタムベースとして人気は高くありませんでしたが、専用パーツがまったくないというわけではありません。そのため中古車でカスタムされていれば要注目です。そこで中古車を選ぶ際にはどのようなカスタムパーツに注目するべきか解説します。
マフラー
マフラーは外観を変えるのみではなく排気音量・質を変え、性能のアップにも期待のできるパーツです。VTR250用の新品マフラーを扱っているアフターパーツメーカーもいくつかありますが、カスタムベースとして人気の高いモデルよりも選択肢は少ないです。
ただ社外製マフラーの値段は製品によって変わりますが、高額なパーツになります。
気になっているメーカーのマフラーがあるのであれば、そのマフラーが装着されている中古車を探すというのも一つの手でしょう。
また、マフラーが交換されている場合はそのマフラーが保安基準を満たしているかを確認しましょう。
VTR250は生産年によって規制が変わります。その年式に合う規制をクリアした社外マフラーが装着されているのか、装着されていない場合は基準に適合した状態で納車されるかを確認すると良いでしょう。
外装パーツ
ネイキッドモデルであるVTR250はウインドプロテクション効果に不満を感じる人もいるかと思います。そんなときは社外メーカーからリリースされているビキニカウルやメーターバイザーなどを採用してみてはいかがでしょうか?
また、引き締まったレーシーな雰囲気を演出するアンダーカウルもおすすめの外装パーツです。
アンダーカウル装着車両
積載パーツ
バイクは積載性が非常に少ない乗り物で、VTR250も同様です。汎用のシートバッグを組み合わせたり、リヤキャリア+トップケースを組み合わせることも有効です。
荷物を安定して積載したいと考えるなら、リヤキャリア+トップケースが装備されている車両を選んでみてはいかがでしょう。
ドライブレコーダー
VTR250の販売が終了する少し前から、『あおり運転』が社会問題になりました。
現在ではこのあおり運転に対策を講じることが安全なバイクライフを送るうえでの一つのポイントになっています。
その対策アイテムがドライブレコーダー。このアイテムは汎用品のため基本的にどのバイクにも取り付けが可能ですが、カメラを車体に装着するステーが必要となります。
汎用ステーを加工したり、ステーをワンオフで製作すれば取り付けは可能です。
USB充電&スマートフォンホルダー
現在、スマートフォンのナビアプリを使ってツーリングを楽しむ人が増え、車体の見やすい位置にスマートフォンをセットする『スマートフォンホルダー』が登場。
そのスマートフォンの電池切れを防ぐために、充電するためのアイテムも登場したのです。
現代のバイクライフにおいては必需品と言っても過言ではないアイテムなので注目すべきポイントです。
ETC
2010年ごろからバイクでも本格的に普及が始まったETC。
スムーズに料金所を通過でき、スマートインターを使えるようになったり、各種割引サービスが受けられるのがメリットです。
VTR250の中古バイクを探すならバイク王の認定中古車にも注目
バイク王の認定中古車はバイク王の取扱台数年間10万台以上のバイクから、走行距離改ざん・フレーム修正のない良質な車両のみを厳選し、62項目におよぶ厳格な整備(有償)を実施し長期保証車両としたうえで販売する車両です。
高年式&低走行で新車に近い状態の車両からカスタムバイクまで幅広い在庫ラインナップを揃えており、乗り替えや免許取得応援などのキャンペーン(※1))も充実しているので、バイクの購入を検討している方は是非一度バイク王の認定中古車の在庫ラインナップも確認してみてください!
※1 一部キャンペーン適用対象外となる車両があります。