自分でできる!バイクのチェーン清掃・給油のやり方を解説!
公開日:2023.07.25 / 最終更新日:2023.07.25
バイクの動力を後輪に伝える方式を大別すると、チェーンとシャフトがあります。
一部のバイクではベルトを採用する車種もありますが、多くのバイクが使っているのはチェーンです。
その理由は、軽くて低コストにできることに加え、減速比が自由に選べるなど色々なメリットがあるから。
チェーンは進化していて、耐久性も非常に高くなっていますが、メンテナンスフリーというわけではありません。
性能を引き出すには定期的な整備が必須です。
といっても特に難しいことはありません。
清掃と注油であれば、バイク初心者やメカに精通していない人でもメンテナンスをすることができるはずです。
バイクのチェーンは重要保安部品
バイクのチェーンはドライブチェーンの略称で、エンジンのパワーを後輪へ伝える役割のあるパーツです。
重要保安部品に指定されている消耗品のため、定期的なメンテナンスが大切です。
チェーンは金属同士が摩擦しながら駆動しているため、しっかりメンテナンスをしていないと潤滑性が低下して燃費やパフォーマンスの低下につながるのみならず、チェーンにサビが発生したり劣化や摩耗が進むことによって、最悪の場合は走行中にチェーンが切れたり外れたりして事故に繋がるケースもあります。
では、どのようにチェーンのメンテナンスするのか具体的な方法を解説することにしましょう。
バイクのチェーン清掃の頻度は?
バイクのチェーンは露出しているので、走行していると砂や埃が付着し、雨などにもさらされます。
様々な環境要因で状態が悪くなってしまうため定期的なメンテナンスが必要になるのです。
500㎞〜1,000kmに1度
一つの目安として、500kmから1,000km走行したらチェーンの清掃と給油を行っておくと覚えていてください。
走行距離500kmに一度などと距離で決めるのも良いですが、使用用途や走行距離を考慮して「隔週土曜日」「ツーリングの前日」などとタイミングを決めてルーティン化するのも良いでしょう。
雨天走行の後
雨の中を走るとタイヤの跳ね上げた汚れが車体全体にかかります。
チェーンも例外ではなく、雨天走行後は汚れています。水分が金属に残っている状態はチェーンにとって良くありませんし、付着した水がチェーンルブを流してしまう可能性もあるので、雨の日や路面が濡れている日に走行した場合はチェーンの清掃・給油を行うことが重要になります。
同様の理由から、洗車をした後にチェーンの清掃と給油を行うのもセットだと考えておくと良いでしょう。
長い期間乗ってなかった場合
どんな油も若干の揮発性があるので、長時間保管されていた場合は潤滑性能が低下している可能性があります。
また、時間がたつとオイルが劣化して潤滑性能が低下することもあります。
埃やゴミなども付着しているはずです。
したがって冬季期間など長い期間乗っていなかった場合、乗り始める前にチェーンの清掃と給油をすることをオススメします。
チェーンの状態確認も忘れずに
最近のチェーンは高い耐久性を持っていますが、それでも走っていると少しずつ伸びてしまうので遊び調整をする必要があります。
チェーンの清掃を行う際にはチェーンが伸びていないか、たるみの値は適正かをチェックするようにしてください。
やり方は簡単でチェーンの下側を手で持ち上げてみるだけ。
一般的に適正値は手で持ち上げてみて2cm〜3cmほどですが、車両によって異なる場合があるので(オフロードバイクなどは遊びが大きめ)、車載の取扱説明書を確認してみてください。
チェーンの調整が必要な場合、バイク初心者であれば自分で作業せず購入した店舗や普段点検や整備を任せている店舗へ相談すると安心でしょう。
チェーン清掃の注意点
チェーン清掃は特殊な工具など必要なく、アイテムさえ揃っていれば初心者でも自分一人でできますが、いくつか注意が必要な事があります。
必ずエンジンを切って作業する
チェーンの清掃は必ずエンジンが停止している状態で作業をするのが鉄則です。
エンジンをかけた状態での作業は絶対にしないようにしてください。
指などの巻き込みに注意する
チェーン清掃はタイヤを回転させながら作業を行うため、指などがチェーンとスプロケットの間に巻き込まれてけがをしてしまう可能性があります。
作業をする際は作業用の手袋や軍手を装着し、巻き込み防止のためにスプロケットの近くで作業をしないように注意をしてください。
チェーン清掃にパーツクリーナーは使用しない
現在多くのバイクに採用されているシールチェーンは内部にグリスが封入されていて、グリスが流れ出さないようにOリングというゴムのパーツが使用されています。
ところが一般的なパーツクリーナーを使用すると溶剤でOリングが傷められてグリスが流れ出してしまいます。
こうなったらチェーンの耐久性は大きく低下してしまい、チェーンを交換することになってしまいます。
必ずチェーン清掃専用のクリーナーを使ってください。
バイクチェーン専用のチェーンルブやチェーンオイルを使用する
チェーンオイルもクリーナー同様に、一般的な潤滑剤を使うと溶剤がOリングを痛めてしまうことがあります。
また、粘度が低いものは遠心力で飛び散ってしまいます。
潤滑剤で有名な5-56等の製品はバイクのチェーンへの使用には適していません。
バイクのチェーンに使用することを想定して開発、販売された専用のチェーンオイルを使ってください。
様々なメーカーから沢山の種類のケミカルが発売されているので、自分のライディングスタイルにあったチェーンルブを見つけるのも楽しいはずです。
チェーン清掃・給油に必要な道具
必ず用意しなければならないのはバイク専用のチェーンクリーナーとチェーンルブです。
他にブラシと汚れを拭き取るウエス。
ガレージの床やバイクを汚したくないのであれば、落ちきてきた汚れを受けるトレーや新聞紙や段ボールなどを用意すると良いでしょう。
センタースタンドがないバイクの場合、メンテナンススタンドやメンテナンスローラーなどを用意すると便利です。
チェーン清掃・給油のやり方
チェーンの清掃と給油に特殊な技術は必要ありません。
最低限の道具さえあればバイクメンテナンス初心者でもチャレンジできる作業です。
チェーン清掃と給油の手順について具体的に解説することにしましょう。
後輪を浮かせる
センタースタンドを使用して後輪を浮かせます
センタースタンドが無いバイクの場合は、メンテナンススタンドを使用して後輪を浮かせたり、メンテナンスローラーに後輪をのせるとスムーズに作業を行うことができます。
サイドスタンドのみのバイクでも作業は可能です。
その場合、見えている部分のチェーンの清掃が終わったらバイクを少し動かして、チェーンの清掃する部分を動かす必要があるので若干時間や手間がかかります。
チェーン清掃準備
チェーンクリーナーやチェーンルブは飛散したり垂れたりするため、チェーンの下にトレーを置いて作業場所を汚さないようにしたり、新聞紙や段ボールで養生してタイヤやホイールなどにチェーンクリーナーやチェーンルブが付着しないようにすると良いでしょう。
チェーンクリーナーを吹き付ける
チェーンオイルに付着した砂、泥、油汚れ、スプロケットとの接触で発生した金属扮などを落としやすくするためにチェーンクリーナーを吹き付けます。
グリーナーは揮発性が強いものが多いので、全体に吹き付けていると最初に吹いた分が乾いてしまうかもしれません。
清掃する部分だけに吹き付けて、すぐにブラシを使って清掃した方が効果的です。
チェーンブラシでこする
チェーンクリーナーで落ちやすくなった汚れをブラシで落とします。
バイクチェーン清掃用の3面ブラシを使用すると効率的ですが、チェーンやOリングにダメージを与えない樹脂などのブラシであれば代用することもできます。
Oリングを痛めないように優しくこするのがポイントです。
汚れがひどい場合はチェーンクリーナーを吹き付けて浸透させ、少し放置してからこするのがおすすめです。
ウエスで汚れをふき取る
チェーンに残った汚れをウエスでふき取り、乾燥させます。
チェーンルブを吹く
チェーンがキレイになったらチェーンルブのスプレーノズルをプレートが重なる部分や、ローラーとプレートの間に注油します。
チェーン全体にオイルを塗布するため、吹き残しが無いよう注意します。
余分なチェーンルブをウエスで拭き取る
余分なチェーンルブは走ると遠心力で飛び散り、リアタイヤやリアホイールを汚します。
また、埃や砂を付着させる原因になるので、ウエスでふき取ります。
この際、汚れたウエスを使うとチェーンに再び汚れをつけてしまうことになるので、チェーンに残った汚れを拭き取ったウエスとは別のものを使ってください。
一通りの作業が完了したら、チェーンルブが馴染むまで30分ほど放置しておくことをオススメします。
すぐに走行してしまうと遠心力でチェーンルブが飛んでしまう可能性があるからです。
チェーン清掃は愛車を知る第一歩
バイクのチェーン清掃と給油は安心・安全なバイクライフのために重要なメンテナンスです。
バイクショップに依頼しても料金はそれほど高額ではありませんが、自分でメンテナンスすることは愛車の状態を確認する良い手段。
比較的簡単、手軽にできるメンテナンスで一度覚えれば今後チェーンの清掃と給油にかかる工賃は0円ですから、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。