モタードというカテゴリーのことを聞いたことがある方もいるかと思います。
ファッション性が高く、キビキビとストリートを走ることができるので1990年代後半からとても人気の高いカテゴリーです。モタードを所有しているライダーたちに話を聞いてみると、日本の道路事情にマッチした性格だから乗っていても楽しいと言います。
そんなモタードがどんな風にして生まれ、どんな魅力を持っているのかを詳しく説明していくことにしましょう。

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モタードとはどんなバイク?


モタードという名前の由来はスーパーモタードというレース。
コースによって変わりますが、舗装路が80%、未舗装路20%を組み合わせたコースで速さを競います。


1990年代初頭にフランスで始まったこのレースは、迫力のあるライディングと激しいバトルで人気となり、ヨーロッパ全土で大きなムーブメントになりました。

2000年代になると世界選手権が開催されるようになり、日本でもレースがスタート。
現在でも全日本スーパーモト選手権というモタードのレースが開催されています。
ちなみにスーパーモタードはフランス語で、英語圏ではスーパーモトと呼ばれています。


モタードは、オフロードバイクをベースとして作られています。
そのため、オフロードバイクよりは低いもののアップマフラーで車高が高く、サスペンションのストロークが長くて衝撃吸収性に優れています。


オフロードバイクはフロントに21インチ、リアに18インチ等、大きなタイヤを装着していますが、モタードはオンロードでの性能を重視しているので前後17インチと小径化したタイヤを使用。
タイヤが小さくなったことで足つき性も向上し、ストリートでも走りやすくなっています。


国産モタードは250ccクラスが主流だったのに対してヨーロッパは450、600ccクラスが主流でした。

ヨーロッパでは公道を使ったエンデューロレースが昔から盛んで、こういったレースに参加するために保安部品がついたエンデューロレーサーを様々なメーカーが開発していました。
このようなオフロードレーシングマシンをモタードにしていたので、2000年代初頭のヨーロッパ製モタードは、超過激かつスパルタンです。
写真のVORなどはカムギアトレインやカセットミッションを採用していて、前踏みキックと独創的なメカ満載。
必要のない部品も極力省かれて軽量化していたうえに80年代の750ccロードバイクと同等のパワーを発揮していたのですから、その速さが想像できるでしょう。


その後ヨーロッパのメーカーは250クラスのモタードも開発するようになり、日本でも販売されることになりました。

モタードの人気の理由


モタードには様々な魅力があります。
個性的かつアグレッシブなデザインのマシンが多く、カスタムの素材としても楽しむことができます。
しかし一番の魅力はその俊敏な走りでしょう。

車体が軽量


オフロードバイクをベースにしているのでモタードは車体が軽量です。
しかも17インチオンロードタイヤになっているので、ストリートをキビキビと走ることができるハンドリングになっています。

トルクのあるエンジン


モタードに搭載されているエンジンは低中速からトルクがあって、ストリートでも乗りやすいものがほとんど。街中でもとても扱いやすいのが特徴です。

転倒に強い


モタードのベースになっているオフロードバイクは、転倒したときのダメージを減らすように設計されています。
そのため、モタードも転倒したときに壊れにくいのです。
写真のようなナックルガードを取り付けているとドレスアップになるだけでなく、転倒時のレバーの破損なども防止することが可能です。

軽いオフロードなら走行可能


モタードは、元々オフロードも含んだレースで戦うことを考えて生まれました。
ストリートモデルもレースバイクと同じような車体構成なので、林道程度の未舗装路であれば普通に走行することができるでしょう。
ただし、オンロードタイヤを装着しているので滑りやすいドロやガレ場などの本格的なオフロードには向いていません。

アドベンチャーとは一味違った走破性


仮にアドベンチャーバイクと比較した場合、モタードの方がオフで優れているところもあります。
一部のツインエンジンを搭載したものを除けば車体が軽いマシンが多いので、オフでも振り回すことができるし狭い林道などのUターンも楽。
日本のように狭い林道が多い場所で使うのであれば、モタードの方が楽だというシチュエーションは少なくありません。

モタードの人気車種


2023年現在、モタードの新車発売ラインナップが少ないため、中古バイクから探すことがメインになります。
もしも過激なバイクが欲しいのであれば、数は少ないですが2000年代から2010年代にかけてのヨーロッパ製マシンを探してみるのも面白いかもしれません。

カワサキ KSR110


KSR110は前後12インチタイヤのミニバイクです。
可愛らしいサイズでありながら本格的なスタイル。
もちろん足付き性の良さは抜群です。

Kawasaki KSR110 スペック (2013年モデル)
全長 1725mm 全幅 725mm
全高 1020mm 車輛重量 95kg
シート高 750mm 燃料タンク容量 7.3L
エンジン  4スト空冷単気筒
最高出力 6.3kW (8.6PS) / 8,000rpm
最大トルク 8.6 N・m (0.88kgf・m) / 6,000rpm

アプリリア SX125


イタリアのバイクメーカーアプリリアが入門クラス向けに作ったモタード。
イタリアンらしいスタイリッシュなデザインと本格的な装備、そして125ccとしては大柄な車体が特徴。
高回転型のエンジンを搭載しています。

aprilia SX125 スペック (2023年モデル)
全長 2075mm 全幅 820mm
全高 1140mm 車輛重量 134kg
シート高 880mm 燃料タンク容量 6.2L
エンジン 4スト水冷単気筒
最高出力 11kW (15PS) / 10,000rpm
最大トルク 11.2 N・m / 8,000rpm

ホンダ XR250モタード


XR250モタードが搭載しているエンジンは空冷の4バルブですが、扱いやすさとパワーが高い次元でバランスしています。
ビギナーでも安心して走り出すことができるマシンです。

HONDA XR250MOTARD スペック (2007年モデル)
全長 2110mm 全幅 790mm
全高 1150mm 車輛重量 134kg
シート高 855mm 燃料タンク容量 9.3L
エンジン 4スト空冷単気筒
最高出力 21kW (28PS) / 8,000rpm
最大トルク 25N・m (2.7kgf・m) / 7,000rpm

ホンダ CRF250M


XR250モタードの後に登場したCRF250Mは、水冷エンジンをアルミフレームに搭載するなど大きく進化を遂げました。
エッジの効いたデザインも魅力的です。

HONDA CRF250M スペック (2017年モデル)
全長 2125mm 全幅 815mm
全高 1150mm 車輛重量 146kg
シート高 855mm 燃料タンク容量 7.8L
エンジン 4スト水冷単気筒
最高出力 18kW (24PS) / 8,500rpm
最大トルク 23N・m (2.3kgf・m) / 6,750rpm

ヤマハ XT250X


ヤマハの人気オフロードバイク、セローをベースにしたモタードがXT250Xです。
エンジンは低中速トルクが太い空冷2バルブを搭載。
走りを追求するというよりは、ツーリングバイク的な性格が強いマシンです。

YAMAHA XT250X スペック (2008年モデル)
全長 2040mm 全幅 805mm
全高 1110mm 車輛重量 133kg
シート高 790mm 燃料タンク容量 9.6L
エンジン 4スト空冷単気筒
最高出力 14kW (18PS) / 7,500rpm
最大トルク 19N・m (1.9kgf・m) / 6,500rpm

ヤマハ WR250X


オフロードバイクのYZF-R1というコンセプトで開発されたのがWR250R/Xです。
性能を徹底的に追求して生まれたモデルだけにモタードモデルのWR250Xもその走りは刺激的。
水冷4バルブDOHCエンジンは高回転まで回り、国産250ccのモタードとしてはトップクラスの動力性能を誇ります。

YAMAHA WR250X スペック (2017年モデル)
全長 2125mm 全幅 810mm
全高 1190mm 車輛重量 134kg
シート高 870mm 燃料タンク容量 7.6L
エンジン 4スト水冷単気筒
最高出力 23kW (31PS) / 10,000rpm
最大トルク 24N・m (2.4kgf・m) / 8,000rpm

カワサキ DトラッカーX


国産250cc モタードとして最も有名といっても過言ではないのがDトラッカーとDトラッカーXでしょう。
初代のDトラッカーは、1998年に国産初のモタードとしてデビュー。
2008年には排ガス規制に対応するため、インジェクション化などを含めたモデルチェンジを受けてDトラッカーXとなり、両モデル合わせて20年近く発売されたベストセラーとなりました。
水冷4バルブDOHCのエンジンも魅力。
中古車も豊富なので手に入れやすいバイクです。

Kawasaki D-TRACKER X スペック (2017年モデル)
全長 2130mm 全幅 795mm
全高 1125mm 車輛重量 138kg
シート高 860mm 燃料タンク容量 7.7L
エンジン 4スト水冷単気筒
最高出力 18kW (24PS) / 9,000rpm
最大トルク 21N・m (2.1kgf・m) / 7,000rpm

カワサキ KLX230SM


現在も新車で購入することができるモタードがKLX230SMです。
エンジンは空冷2バルブですが、中低速を重視しているためにとても乗りやすい特性になっています。

Kawasaki KLX230SM スペック (2023年モデル)
全長 2050mm 全幅 835mm
全高 1120mm 車輛重量 136kg
シート高 845mm 燃料タンク容量 7.4L
エンジン 4スト空冷単気筒
最高出力 14kW (19PS) / 7,600rpm
最大トルク 19N・m (1.9kgf・m) / 6,100rpm

スズキ DR-Z 400SM


中型クラスのモタードで走りを追求するのならDR-Z400SMがおすすめ。
排気量400ccの水冷DOHC4バルブエンジンは40psを発揮します。
国産250モタードの多くは、17インチ化されても簡単なサスのセッティング変更程度しかしていないのですが、DR400SMの場合は厳しいテストを繰り返して内部の仕様が煮詰められているのでハンドリングも高いレベルに仕上がっています。

SUZUKI DR-Z400SM スペック (2009年モデル)
全長 2225mm 全幅 850mm
全高 1185mm 車輛重量 145kg
シート高 870mm 燃料タンク容量 10L
エンジン 4スト水冷単気筒
最高出力 29kW (40PS) / 7,500rpm
最大トルク 39N・m (4kgf・m) / 6,500rpm

KTM 690 SMC R


冒頭でヨーロッパ製モタードは、レーサーそのままの過激さと書きましたが、その血筋を受け継いているマシンがKTM 690SMC-Rです。
KTM独自のLC4エンジンは驚くほどにパワフルですが、ストリートを走るための扱いやすさや信頼性が与えられて進化してきました。
足回りやブレーキなどの装備を見れば、一切の妥協がないことが分かるはずです。

KTM 690 SMC R スペック (2021年モデル)
シート高 892mm 燃料タンク容量 13.5L
乾燥重量 147kg
エンジン 4スト水冷単気筒
最高出力 55kW (75PS) / 8,000rpm
最大トルク 73.5N・m / 6,500rpm

ハスクバーナ 701 SUPERMOTO


KTM傘下のブランドであるハスクバーナのモタードが701スーパーモト。
エンジンはKTM690と同じLC4エンジンながらECUのセッティングなどによってフィーリングが微妙に異なります。
このバイクも装備、クオリティー、性能に関しては非常に高いレベルにあります。

Husqvarna 701スーパーモト スペック (2021年モデル)
シート高 890mm 燃料タンク容量 13L
車輛重量 148kg
エンジン 4スト水冷単気筒
最高出力 55kW (75PS) / 8,000rpm
最大トルク 73.5N・m / 6,500rpm

DUCATI HYPERMOTARD 950


スタイリッシュかつシャープなデザインが目を引くハイパーモタード950は、114psを発揮する939ccのテスタストレッタエンジン(Lツイン)を搭載した異色のモデル。
オン・オフ両用というよりは、モタードのスタイリッシュさを持ったスポーツネイキッドタイプのマシンだと考えれば良いでしょう。

Husqvarna 701スーパーモト スペック (2021年モデル)
全長 2135mm 全幅 900mm
全高 1210mm 車輛重量 200kg
シート高 870mm 燃料タンク容量 14.5L
エンジン 4スト水冷L型2気筒
最高出力 84kW (114PS) / 9,000rpm
最大トルク 96N・m (9.8kgf・m) / 7,250rpm

モタードは自由さが一番の魅力


バイクはそれぞれのカテゴリーで性能を向上させているので、本来の目的と違う使い方をするのが難しいことがあります。
その点モタードは、一つだけの性能に特化していません。
ライダーがその時の気分でバイクの使い方を自由に決めることができます。
それこそがモタードの一番の魅力。
1台ですべてをこなすことができてしまいます。
中古車であれば様々なモタードを選ぶことができます。
ぜひ一度モタードの楽しさを体験してみてください。

筆者プロフィール

Bike Life Lab supported by バイク王

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