HONDA CB750Fourは世界を驚愕させた性能と大きさでナナハンブームを起こしたバイク
公開日:2022.11.16 / 最終更新日:2024.11.06
技術のHONDAというイメージを世界中のライダーに対して、強烈に植え付けたのが1969年に発売されたCB750Fourでした。
この驚愕のマシンがどのようにして生まれ、どのような影響を与えたのかを説明していくことにしましょう。
ホンダが大きく飛躍した1960年代
大戦後、日本にはたくさんの二輪メーカーが登場します。
その中からホンダが頭角を表し、世界を見据えた活動を開始したのは1950年代後半からでした。
ロードレース世界選手権に参加して1966年には5クラスでチャンピオンを獲得するという偉業を達成。
四輪のF1でも優勝し、スーパーカブは販売台数で世界一となります。
ところがこの頃、ホンダに欠けていたのがビッグバイク。
特に最大マーケットの北米はヨーロッパ製バイクの独断場。
ホンダは高性能なツインエンジンを搭載したCB450を投入するものの、トライアンフなどのライバルよりも排気量が小さいこともあって人気は今ひとつ。
そこで本格的なビックバイクの開発がスタートすることになりました。
目指したのは大きくてパワーのあるバイク
新しいバイクは排気量を750ccとして、欧米のライバル達を凌駕する性能を発揮することが求められました。
ロードレースで培った技術を活かし、並列4気筒というレイアウトを採用。
速さだけでなく、ゆとりのあるパワーでフリーウエイをクルージングし、乗りやすいポジションなど快適性にも配慮され、車体も大きく迫力のあるデザインとなりました。
パワーがあるだけでなく、大きな車体を求める声が多かったからです。
また、かつてないパワーに対して当時としては珍しかったディスクブレーキを採用するなど最新技術を満載することになりました。
世界を驚愕させた世紀のビッグバイクの誕生
DREAM CB750Fourは、1969年に発表された瞬間、一大センセーションを巻き起こし、世界中から注文が殺到します。
これに慌てたのは何を隠そうホンダでした。
何しろ初めての大排気量マシンで、新しいメカニズムを満載しています。
製造に手間がかかることに加え、生産体制も整っていませんでした。
次々に舞い込む注文に対して、生産ラインを増強。
エンジンの鋳型も新造することになりました。
本当の初期型だけに使われた砂型のクランクケース
CB750Fourを量産しはじめた当初は砂型のクランクケースが使われていました。
一般的に量産車のクランクケースは金属を使った金型に溶けたアルミを流し込んで鋳造されます。
ところが金型を作るのは大変でコストもかかります。
CB750Fourをリリースした当初は台数がそれほど見込めないかもしれないと考えて、型代の安い砂型でスタートしたのです。
砂型は砂に粘結剤を混ぜて固めて鋳型を作るので、取り外す時は型を壊すことになります。
これでは大量生産に対応することは不可能。
そこで慌てて量産用の金型を作ることになったのです。
CB750Fourの初期型はK0という型式ですが、その中でも特に初期のモデルだけが砂型クランクケースが使われているのは、こういった理由によるものなのです。
ナナハンという言葉を作り上げたのはCB750Fourだった
CB750Fourは国内でも販売され、いつしかナナハンという言葉が生まれました。
その後しばらくしてカワサキからも750RS、通称Z2(ゼッツー)が発売され、こちらも大人気。
CBとZはビックバイクの双頭として君臨することになるのです。
その後CB750は少しずつ改良を加えられ、名称も変わったりしますがOHC4気筒という当初からのレイアウトを崩すことなく70年代後半まで販売され続けました。
CB750Fourとはどんなマシンなのか?
ライバルのZやGSがDOHCを採用していたことから、後半はメカニズムやパフォーマンスの点で若干差をつけられていた印象があったことは否めません。
しかし、現在の目であらためてマシンを見てみると非常に魅力的です。
4本マフラーから吐き出される排気音は豪快そのもの。
この排気音を聞いただけでCBの虜になってしまうライダーがいるほどです。
下から全域でトルクフルなエンジンの特性もライバルのZや、現行のネイキッドでは味わえないものです。
また、安全性や快適性に配慮されたマシン作りがされているので、現在の道路事情の中でも普通に走らせるのであれば、まったく問題のない性能と完成度を確保しています。
旧車人気で全般的にこの時代のマシン価格は高騰気味ですがCB750に関して言えば、70年代中期のモデルであれば、Zなどに比べて手頃なマシンが見つかることもあります。
狙い目は改良が進み、バイクとしても完成されている70年代中期のモデルですが、流通している個体数があまり多くないのがネック。
もしも世界中を熱狂させたホンダの4気筒エンジンに興味があるのであれば、中古車が出たチャンスを見付けた時は逃がすことがないようにした方が良いかもしれません。