RG250ΓからRGV-Γ250SPまで、ガンマの進化をたどる
公開日:2023.03.13 / 最終更新日:2024.11.06
スズキはレーサーレプリカブームの先鞭をつけたメーカーです。
RG250Γによってレーサーレプリカブームがはじまり、RGV-Γ250SPが最後の2ストレーサーレプリカとなりました。
今回はそんなスズキの2スト250レーサーレプリカが、どのように進化していったかを説明することにしましょう。
RZ250から始まった2スト人気
1980年にヤマハから、2ストの魅力を最大限に引き出したRZ250が投入されたことで、250ccクラスのスポーツバイクシーンは一気に活性化しました。
ホンダはRZ250の対抗馬として高回転型4ストVツイン250のVT250を投入して、これも人気になります。
ホンダとヤマハが次々と新型車を送り出していくのを尻目に、スズキはとんでもないバイクを開発していました。
それがRG250Γです。
レーサーレプリカブームを作ったRG250Γ
RG250Γは、初の本格的レーサーレプリカでした。
それまでストリート用バイクは、レーシングマシンとはまったくの別物だったのに対し、RG250Γはストリートを走るレーシングマシンとも言うべきバイクになっていたのです。
軽量高剛性なアルミフレームやレーシングマシンを彷彿させるカウル、ミシュランの純正タイヤなどは、すべて量産車としては初めての装備。
リアショックはスズキが独自に開発したフルフローターサスペンションで、アンチノーズダイブ機構やフロント16インチタイヤを採用するなど、当時のワークスマシンRGΓから技術とデザインを徹底的にフィードバックされました。
3000rpmから下は目盛りがないタコメーターも衝撃的でした。
まるでバイクが「低回転でノンビリ走るな」と言っているかのよう。
パラレルツインの2ストエンジンは、チャンバータイプ(サイレンサー別体)のマフラーとフラットバルブキャブレターを組み合わせて、クラス最高の45馬力を発揮。
すべてが革新的なRG250Γを見て、多くのライダーが興奮したのは当然のことでした。
V型エンジン搭載のRGV250Γが誕生
RG250Γが登場したことでライバルメーカーも次々レプリカの開発に着手。
本格的なレーサーレプリカ時代へ突入することになります。
RG250Γは、80年代前半のレプリカブームをリードしていましたが、ヤマハTZR250やホンダNSR250Rなどが登場してくると、並列2気筒エンジンを改良していくだけではライバルに追従するのが難しくなってきます。
そこで1988年にすべてを一新したRGV250Γ(型式名VJ21A)が誕生します。
エンジンは新設計のVツインで、これを搭載するフレームも剛性を高めたツインスパータイプ。
フロントカウルが大きくスラント(傾いてること)した形状になりました。
大きく進化したRGV250Γは、ライバル達と十分に戦える性能を発揮しました。
ところがこの時期はNSR250Rが絶大な人気を誇っていて、その牙城を崩すことは簡単なことでではありませんでした。
そこで1990年に、RGV250Γは、よりポテンシャルを高めた型式名VJ22Aへと進化します。
前後17インチホイールとなり、(VJ21Aはリアが18インチ)倒立フロントフォークを採用。
外観で目立つのは大きく湾曲したスイングアーム。
このスイングアームは、右2本出しとなったチャンバーを避けて十分なバンク角を確保し、高い剛性を確保していました。
フロントフォークやスイングアームの変更に伴ってフレームも改良が加えられ、剛性がアップ。
こうして装備を充実させ、強敵NSR250Rに立ち向かったのです。
実はVJ22AのRGV250Γにはいくつかのモデルがあり、93年型からはメーカーの自主規制によってパワーがそれまでの45馬力から40馬力へとダウン。
スイングアームがパテントの問題で一般的なストレートタイプのデザインに変更されることになりました。
ちょうどこの頃、2スト市販車が活躍していたFⅢというレースのカテゴリーがなくなってしまったこともあって、2ストレプリカ人気は少しずつ落ち込んでいきます。
レプリカの最後を飾ったのもスズキの250だった
こうなると各メーカーは、新しいモデルの開発をせず、既存モデルを改良して販売するようになります。
ところがスズキだけは違いました。
1996年に完全新設計のRGV-Γ250SPを投入するのです。
実はこのRGV-Γ250SPと部品の多くを共用する形で、市販レーサーの計画も進んでいました。
結局市販レーサーが登場することはなかったのですが、当初は同時開発が考えられていたことから、RGV-Γ250SPには、レーシングマシンに匹敵するほどのポテンシャルが与えられることになりました。
2ストレプリカの最後を締めくくるのにふさわしいバイクになったのです。
80年代、90年代に発売されたレプリカには、惜しみなく開発費が投じられて性能が追求されました。
妥協のないスパルタンな設計と作り込みは、現代のマシンでは決して真似のできないものです。
スズキのレプリカにも、当時のワークスマシンから多くの技術がフィードバックされています。
もしも2スト250レプリカに興味があるのなら、是非スズキのマシンにも注目してみてください。