漫画のヒットをきっかけに現在ではアニメ化、実写映画化されるなど衰えることのない人気の東京リベンジャーズ。

不良漫画のため登場するキャラが乗っているバイクにも注目が集まっています。

今回は東京卍會肆番隊隊長の「スマイリー」こと河田ナホヤの愛車、YAMAHA RZ250について詳しく解説していきます。

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当時2ストを再起させたバイク

作中に登場する河田ナホヤのRZ250は黒金カラーの車体に三段シートを取り付けて族車仕様にカスタムされています。
細部までは描かれていないためわかりませんが、集合チャンバーらしきサイレンサーが見える場面もあるため、三段シートに集合チャンバーと定番の族車カスタムが施されているようです。

実は同作に登場するイヌピーこと乾青宗の愛車はRZ350。
排気量違いですが、250のほうが先に生まれたものなので今回はRZ250の誕生を振り返っていきます。

ヤマハは60年代から2ストロークに力を入れていたメーカーでした。
ロードレース世界選手権も2ストでチャンピオンを獲得。
オフロードバイクDT-1も2スト。
モーターショーでは2スト4気筒の750ccを発表したくらいでした。

ところが70年代に世界中を襲ったオイルショックによって燃費の悪い2ストの人気が大きく低下。
反対にZやCBが世界的なヒットになったことなどもあり、世界中で4ストローク人気が高くなっていきます。
ヤマハはロードスポーツの主力だったRDシリーズを進化させていきますが、販売は低迷する一方。

2ストの時代は終わったと考える人も少なくありませんでした。

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ヤマハは、最後に2ストらしい2ストを作ろうと決断します。
そこで市販レーサーTZの技術を徹底的に盛り込んだ市販車を作ることにしたのです。
これがRZ250です。

エンジンはTZ250で実績のある水冷並列2気筒。
水冷にしたことで信頼性が高くなり、それまでより高いパワーを発揮させても安定して走ることができました。
周囲を水で覆っているのでメカノイズが減ってとても静か。

しかもこのエンジン、吸気方式が違うだけでレーサーのTZとほぼ同じ。
実際にシリンダーやクランクはRZにボルトオンで、クランクケース、ミッション、クラッチなども加工すればRZに使うことができたのです。

走る楽しさを徹底的に追求した2スト

車体にもTZ250で実績のあるモノクロスのリアショックを採用。
チャンバー風のマフラーを初めて採用します。
それまでのバイクって、モナカ合わせだったからバンク角に限界がありましたが、このマフラーの採用でRZは52度という驚異的なバンク角を確保しました。

スポーツライディングの時、ステップにつま先で乗った時のことを考えてステッププレートを踵でホールドしやすくしたり。
2ストの走る楽しさを徹底的に追求したのです。

1980年に発売されるやいなや、RZ250は大変な人気になります。
日本中の峠がRZで溢れかえることになりました。
サーキットも当然RZ一色。
それまでのタイムを続々と塗り替えていきました。
イギリスではRZ250が若いライダーを育てるマシンに最適と考えてRZ CUPがスタート。
バイクを持っていなくても、エントリーできて全員が同じコンディションで戦うこのレースから、何人もの有名なライダーが排出されることになります。

RZ250の人気を見て他のメーカーが黙ってみているはずもありません。
60年代から70年代、ヤマハと共に2ストロークに力を入れていたスズキはRZ250を超えるマシンを作ろうと考えてRG250Γをリリース。

4ストロークに特化していたホンダまで触発されてMVX250Fを発売するなど、RZ250の登場によって2ストの魅力が見直されることになり、その後様々な高性能な2ストスポーツバイクが生み出されることになったのです。

現在でも人気の高いバイクで、2スト好きのライダーからスマイリーのようなカスタムをしたヤンチャ系ライダーまで幅広く人気のあるバイクです。
250にしては多少値が張るかもしれませんが、まだ買える旧車なので気になった方は是非一度RZの魅力を味わってみてください。

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