カフェレーサーは最近注目が高くなっているカテゴリー。メーカーからも様々なモデルが登場してきています。
今回はそんなカフェレーサがどのようにして生まれ、どんなマシンがあるのかを紹介してみることにしましょう。

カフェレーサーの発祥は1960代のイギリス

カフェレーサーが生まれたのは1960年代のロンドンでした。
バイクに乗る若者たちがカフェに集まり、愛車を見せ合ったり、店の前の公道でレースをしたりしていました。

当時のバイクは、アップハンドルで現在でいうネイキッド的なバイクが多かったのですが、彼らはパイプハンドルをセパレートハンドルに変更したり、レース用のマフラーを取り付けるなど、レーシングマシンを模倣し、このスタイルがカフェレーサーと呼ばれるようになります。
このムープメントは少しずつ大きくなっていき、1970年代にはアメリカや日本でも流行するようになりました。

カフェレーサー Z1R

カワサキのZ1-Rもこういったカフェレーサーの流れをくんでデザインされたバイクで、低いコンチハンドルにビキニカウルや4in1マフラーを装着していました。
日本では1980年代から1990年代にかけて、カスタムバイクが大きなムーブメントになったことをキッカケにカフェレーサーが再び注目され、SR400やSR500などをベースとした様々なカフェレーサーが登場することになります。

原付のカフェレーサーバイク ホンダドリーム50

カフェレーサー ドリーム50

ドリーム50は、ホンダが1960年代に開発したレーシングマシンCR110のレプリカです。
50ccでありながらDOHC4バルブというメカニズムを採用していました。
ロングタンクとシングルシートは60年代のレーシングマシンそのもの。
クラシックレーサーを再現しているので若干マニアックなイメージですが、少し手を加えれば、オシャレなカフェレーサーに変身させることもできるでしょう。

250ccクラスのカフェレーサー ホンダ GB250 クラブマン

カフェレーサー GB250 クラブマン
GB250クラブマンは、1983年に登場しました。
当時のシングルスポーツCBX250RSをベースとして、レトロなデザインの外装や一文字ハンドルを装着していました。
空冷の単気筒エンジンは低速からトルクがあり、ストリートでも扱いやすい特性。ハンドリングも俊敏です。

モデルチェンジを受けながら1990年代の後半まで生産されていたので中古車の数も豊富。
価格も比較的入手しやすい設定になっていることが多いので、若いライダーを中心に現在でも人気の高いバイクです。

レトロ度の高さが特徴のカフェレーサー ホンダ GB400TT

カフェレーサー GB400TT
80年代に人気の高かったヤマハのSRに対抗するため、ホンダが投入したバイクがGB400TTとGB500TTです。
クラシカルな外装はカフェレーサーを強く意識していて、フロントフェンダーの造形など細部まで凝った作りになっています。

カフェレーサー GB400TT mk2
MkⅡはロケットカウルを装着しているのも魅力。
カフェレーサー好きの心をくすぐるデザインなのですが、当時はSRを超える人気を得ることはできませんでした。
その理由はオフロードバイク用として開発されたエンジンの造形が角ばっていて、レトロな外装とミスマッチだという点にあるのかもしれません。

ただ、ホンダが作ったバイクだけに動力性能はSRよりも高く、スタンダードの状態で走りを楽しむのであれば間違いなくGBの方が上。
一方でカスタムパーツやチューニングパーツはSRほど豊富ではありません。
ミドルクラスのカフェレーサーを購入したいと考えている方は、SRとGBのどちらにするかで悩むところです。

現代的カフェレーサー スズキ SV650X

カフェレーサー SV650X
Vツインエンジンを搭載したスポーツバイクSV650をベースにしてハンド位置を下げ、ビキニカウルを装着したのがSV650Xです。
レトロ感を強くイメージしているカフェレーサーが多い中にあって、このバイクは敢えて現代的なデザインのまま。
そのことが逆に新鮮でもあり、個性的でもあります。

SV650Xの特徴は、バイクとしての性能が高次元でバランスしていること。
エンジンは高回転まで気持ちよく回り、ハンドリングもスポーティー。
リッターバイクのように車体が大きくないので取り回しも楽。
全てがちょうど良いレベルにまとめられています。
カフェレーサー的なスタイルと現代的な走行性能、扱いやすさを兼ね備えているのです。

ロケットカウルの存在感が特徴のカフェレーサー ホンダ HAWK11

カフェレーサー HAWK11
メーカーが作るカフェレーサーは、ベースモデルがあって、それにカウルを取り付けたりシートを交換していることが多いのですが、ホーク11の場合はロケットカウルを装着することが前提でマシンが開発されています。
そのためデザインに違和感がありません。

実はこのバイク、アフリカツインのエンジンと車体を使っているのですが、オフロードバイクのフレームのおかげで、他のロードスポーツとは違った軽快なハンドリングと自由自在感があります。
ツインの排気音を奏でるエンジンも扱いやすく、かつパワフル。
多くの経験してきたベテランライダーにとって「上がりのバイク」になることを目指したというだけあって、上質な仕上がりと官能的な走りを兼ね備えたマシンになっています。

ストリートでも扱いやすいカフェレーサー カワサキ W800 CAFE

カフェレーサー W800 CAFE
往年の名車W1を彷彿させるレトロなデザインで人気のW800をカフェスタイルに仕立てたバイクがW800 CAFEです。
フロントタイヤはW800が19インチなのに対し、18インチと小径化。
そのためにハンドリングもスポーティーな味付けになっています。
バーチカルツインエンジンは、低回転でも粘り強く、中速以上ではパンチのある加速を楽しむことができます。
360度クランクの独特の鼓動感と排気音にも多くのファンがいます。
「ストリートがメインだけれど、たまにはスポーティーな走りも楽しみたい」というライダーにピッタリのマシンです。

並列4気筒のカフェレーサーが欲しいのならカワサキ Z900RS CAFE

カフェレーサー Z900RS CAFE
今回紹介しているマシンの中で唯一、並列4気筒エンジンを搭載しているのがZ900RS CAFEです。
カフェレーサーは60年代のイギリスから生まれたので、当時のイメージを重視すると(日本製の空冷4気筒が登場したのは60年代後半から)シングルやツインが中心になります。
それに対してZ900RS CAFEがイメージしているのは70年代のカスタムシーンと言えるでしょう。
エンジンはカワサキ独自のサウンドチューンによって4気筒らしい迫力と図太い排気音を演出。
低回転からトルクフルでストリートからワインディングまで気持ちよく駆け抜けることが可能です。

フラットツイン搭載でスパルタンなBMW R nineT Racer

カフェレーサー R nineT
BMW伝統のフラットツインエンジンを搭載するR nineTシリーズのカフェがこのマシン。
ロケットカウルが低い位置にセットされていることからも分かるように前傾が強く、ステップも後退していてスパルタンなポジションになっています。

ロケットカウルは、ハンドル位置を高くしてしまうと、スタイルが中途半端なものになってしまいます。
その点R nineT Racerは妥協を排して、スタイリッシュなデザインを作り上げているのです。
熟成を重ねてきたフラットツインエンジンは従順で扱いやすく、スロットルを大きく開けるとマシンを豪快に加速させる二面性が魅力。
独特の排気音も心地よく、ライダーを夢中にさせます。

トライアンフ スラクストン1200R

カフェレーサー スラクストン1200R
60年代のカフェレーサーシーンにおいて、中心的な存在となっていたのがトライアンフでした。
いわば本家本元のメーカーです。
そんなトライアンフが送り出したカフェレーサーがスラクストン1200Rです。

60年代を彷彿させるデザインでありながら、1200ccバーチカルツインエンジンのパフォーマンスは強力無比。
高いレベルのスポーツライディングが可能です。
倒立フォークやラジアルマウントのブレーキを採用しているのも日本製のネオレトロカフェと違うところ。
雰囲気だけではなく、走りも追求した本物のカフェレーサーだと言えるでしょう。

ストリート重視ならトライアンフ ストリートカップ

カフェレーサー ストリートカップ
同じトライアンフが作ったカフェレーサーでもストリートカップは、スラクストン1200Rに比較するとライトに付き合うことができるモデルです。
エンジンはハイトルクの900ccバーチカルツイン。
1200Rほどのパワーはありませんが、十分に心地よく楽しく走ることができて、こちらの方が面白いというライダーもチラホラ。
ハンドリングもストリートを楽しめる特性になっています。

ハーレーのカフェレーサー XL1200CX ロードスター

カフェレーサー XL1200CX ロードスター
ヨーロッパや日本のカフェとは違いますが、ハーレーにも走りに特化したカフェレーサー的なマシンがあります。
それがこのXL1200CXロードスターです。
フロントの足回りは倒立フォークにダブルディスクという本気装備。
ハンドルも低くなって、ハーレーとしては前傾ポジションになっているのが特徴。
ロードスターというのは、シンプルかつベーシックな作りで、走りを楽しむバイクに与えられるネーミング。
このマシンをベースにして、個性的な自分仕様のロードスターやカフェレーサーを作っていくのも面白いかもしれません。

中古車でカフェレーサーを楽しむ

カフェレーサー SR400

新車でもカフェレーサー仕様のマシンは色々とありますが、中古車であればまた違った楽しみ方をすることができます。
例えばカフェレーサーカスタムの定番とも言うべきSR400に関しては、数が多いだけでなく、カスタムパーツも豊富。
メーター、ヘッドライト、フェンダーレスキット、バックステップなど様々なカスタムパーツがラインナップされています。 

更に見逃せないのは、カフェレーサーにカスタムされたバイクの中古車です。
カスタム済みのマシンであれば、パーツを新たに購入するよりもリーズナブルですし、今では入手できない貴重なパーツが使われている場合もあります。
もしも自分好みのカスタムマシンが見つかったら、それをベースにカスタムすれば、理想のバイクへの近道になることでしょう。

カフェレーサーを楽しむ絶好のタイミング

カフェレーサー SR400

カフェレーサーには雰囲気重視のものから、走りを重視した本格的なものまで、色々なマシンがあることがわかっていただけたと思います。
各メーカーからファクトリーメイドのカフェレーサーが登場していることに加え、中古車やカスタムマシンまで選択肢に入れれば、様々なライフスタイルに対応することができるはず。
今がカフェレーサーを楽しむ絶好のチャンスなのかもしれません。
是非理想のカフェレーサーを探し出してみてください。

筆者プロフィール

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