世界中のライダー達の間で人気になっているのがアドベンチャーバイクです。
大排気量のアドベンチャーバイクが最初に登場した時、多くのライダーはその魅力がよくわかりませんでした。
しかし、タフなデザイン、高い動力性能と使い勝手の良さなどが認知されるにつれて評価が高くなっていき、現在では多くのメーカーからアドベンチャーバイクがリリースされるようになりました。
今回はそんなアドベンチャーバイクの魅力や人気モデルなどを紹介していくことにしましょう。

アドベンチャーバイクとはどんなバイク?


アドベンチャーとは冒険という意味です。
デュアルパーパスやクロスオーバーなどと呼ばれることもあるようにオンロードとオフロードの特徴を併せ持っています。
長距離移動も得意としていて、国内外の様々なメーカーが続々とニューモデルをラインナップしています。

高い走破性


アドベンチャーバイクのルーツはラリーやオフロードレースにあります。
代表的なものが世界一過酷と呼ばれたパリダカールラリー。
2週間かけて砂漠などを含めた過酷なルートを走破するレースでした。
このようなレースのために開発されたマシンがモチーフになっていることから、アドベンチャーバイクは林道などの荒れた路面や未舗装路でも走行することができる走破性を持っています。
それでいてオンロードの走行性能も確保されているので峠道も楽しむことができます。

アドベンチャーバイクにもバイクによって方向性が異なり、オンロード向きの性格が強いタイプはキャストホイールを採用し、オフロード性能を重視したタイプはスポークホイールを採用しています。

積載性


オプションでトップケースやパニアケースを装着できるので積載性能に優れています。
パニアは荷物を確実に固定するだけでなく、雨や汚れから荷物を守り、バイクから離れる際の持ち運びも簡単。
ツーリングに特化した装備と言えるでしょう。

長距離ツーリングが得意


大容量の燃料タンクや防風性能の高いフロントスクリーンを装備するモデルが多く、バーハンドルで長時間でも疲れにくいポジションや乗り心地の良さなどからロングツーリングの際も快適性が高いのがアドベンチャーバイクの魅力です。
高速道路走行時の安定性も高く、安心して走ることができます。

アドベンチャーバイクの人気の理由


ここまで説明してきたような特徴により、アドベンチャーバイクは色々なシチュエーションで利点が発揮されます。

キャンプツーリングとの相性が良い

荷物を多く積めることに加え、悪路の走破性が高いのでキャンプツーリングとの相性が抜群です。
キャンプサイトの中はダートを移動しなければならないことがほとんど。
雨上りでぬかるんだような状態だとスポーツバイクでは躊躇してしまいますが、アドベンチャーバイクなら問題ありません。

最先端の電子制御技術


アドベンチャーバイクにはどのメーカーも力を入れているので、最先端の電子制御技術が多く取り入れられています。
ABSやライディングモードの変更はもちろん、タイヤの空転を防止するトラクションコントロール、スロットル操作せずに設定速度を維持するクルーズコントロール、シフトチェンジ時のクラッチ操作を不要とするオートシフターやDCT、電子制御サスペンションなど、スーパースポーツ顔負けの電子制御を装備しているマシンが多いのです。

アドベンチャーバイクの人気車種を紹介


アドベンチャーバイクは全体的に車体が大きいので、足つきが悪いモデルもあります。
心配であれば一度実車を跨ってみることをおすすめします。
リッタークラスの大型バイクは上級者向けのハイエンドモデルになっていることも多いのですが、中型クラスは日本人の体格に合ったモデルもあります。
中型免許の方や軽いモデルが欲しい方、燃費の良さを求めるのであれば250ccや400ccクラスの中型クラスを探してみるのが良いかもしれません。

スズキ Vストローム250


スズキのVストロームシリーズはリッタークラスの1050やミドルクラスの800,650など様々な排気量でリリースされているアドベンチャーモデルの名称で、シリーズを通して鳥のようなくちばしのようなデザインが特徴的。

中でも250は一番小さなクラスとなっており、街乗りから長距離ツーリングまでサポートするオールマイティーな性格の水冷並列2気筒エンジンを搭載。
アドベンチャーモデルですが、250はオンロード要素も強いモデルなので通勤通学など足としての移動にも便利に使えるバイクです。

SUZUKI V-Strom250スペック(2023年モデル)
全長  2150 mm 全幅  880 mm
全高  1295 mm 車両重量 191 kg
シート高  800 mm 燃料タンク容量 17 L
エンジン  4スト水冷並列2気筒
最高出力  18kW (24PS) / 8,000rpm
最高トルク 22N・m (2.2kgf・m) / 6,500rpm

カワサキ ヴェルシスX250ツアラー


サイドパニアケースやエンジンガード、フォグランプ、ナックルガード、センタースタンドなど大型アドベンチャーモデルと同等の装備を標準装備し、オプションパーツや社外品の選択肢も広いヴェルシスX250ツアラー。

Ninja250のエンジンをベースにアドベンチャーで扱いやすいセッティングを施した水冷2気筒エンジンを搭載することで、アドベンチャー走行だけでなく街乗りやツーリングなど、見た目から想像できること以上のシュチュエーションで活躍してくれるバイクです。

Kawasaki Versys-X 250 TOURER スペック(2023年モデル)
全長 2170 mm 全幅 940 mm
全高  1390 mm 車両重量 183 kg
シート高 815 mm 燃料タンク容量 17 L
エンジン  4スト水冷並列2気筒
最高出力 24kW (33PS) / 11,500rpm
最高トルク 21N・m (2.1kgf・m) / 10,000rpm

BMW G310GS


アドベンチャーバイクの王道でもあるBMWのGSシリーズは基本的に大型クラスの排気量がメインですが、310ccと中型免許でも乗れるクラスもラインナップされています。

エンジンは水冷単気筒エンジンとなっていて、外車ならではの鋭い吹け上がりを持ちつつも、粘り強いトルクも両立させているため、オフロード慣れしていない方でも乗りやすいエンジンです。
アドベンチャーと言えばこれ!と想像するスタイルを400以下で実現できるバイクなので、まずは小さなクラスからアドベンチャーに慣れたいという方にもおすすめの車種です。

BMW G310GS スペック(2023年モデル)
全長 2075 mm 全幅 880 mm
全高 1230 mm 車両重量 169.5 kg
シート高 835 mm 燃料タンク容量 11 L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 25kW (34PS) / 9,500rpm
最高トルク 28N・m  / 7,500rpm

KTM 390アドベンチャー

390アドベンチャーは400cc以下とは言え、スポーティーな味付けの水冷単気筒でこの排気量となるとかなりアグレッシブなフィーリング。

もちろんそれだけでなく街中でも扱えるようにトラクションコントロールなど電子制御も搭載されているためシュチュエーションに合わせた様々なライディングが可能です。

普通自動二輪免許で乗れる400cc以下のクラスでより本格的にアドベンチャーを楽しみたい方におすすめのモデルです。

KTM 390 ADVENTURE スペック(2021年モデル)
車両重量 161 kg シート高 855 mm
燃料タンク容量 14.5L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 32kW (44PS) / 9,000rpm
最高トルク 37N・m  / 7,000rpm

ホンダ 400X


国産400ccクラス唯一のアドベンチャーモデルの400Xは実はアドベンチャーバイクが流行るよりも前からあるバイクで、2016年に発売が開始されたオンロード向けツアラーモデルです。
フルカウルスポーツバイクのCBR400R、ネイキッドバイクのCB400Fとエンジン、フレームを共用しており、社外パーツも選択肢が広くなっています。
オンロード向けツアラーとなっていますが、ブロックタイヤを装着してフラットダートを走るなどもでき、しっかりアドベンチャーツーリングができるバイクです。

HONDA 400X スペック(2022年モデル)
全長 2140 mm 全幅 830 mm
全高 1380 mm 車両重量 199 kg
シート高 800 mm 燃料タンク容量 17 L
エンジン  4スト水冷並列2気筒
最高出力 34kW (46PS) / 9,000rpm
最高トルク 38N・m (3.9kgf・m) / 7,500rpm

スズキ Vストローム650XT


Vストローム650は、アドベンチャーバイクとしては軽量、コンパクトなモデルです。
Vツインエンジンは扱いやすく、十分なパワーを持っています。
派手さはありませんが、すべてにおいて高いレベルでまとめられたアドベンチャーバイクです。

SUZUKI V-Strom 650XT ABS スペック (2022年モデル)
全長 2275 mm 全幅 910 mm
全高 1405 mm 車両重量 215 kg
シート高 835 mm 燃料タンク容量 20 L
エンジン 4スト水冷V型2気筒
最高出力 51kW(69PS) / 8800RPM
最高トルク 61N・m(6.2kgf・m) / 6300RPM

ヤマハ テネレ700


アドベンチャーバイクの中でも特にオフロードの走破性を考えて開発されたのがテネレ700です。
ツーリングでも使えるフレキシビリティーももっていますが、本領を発揮するのはハードなオフロード走行。
妥協のない作り込みがオフロードライダーたちから高い評価を得ています。

YAMAHA Tenere700 ABS スペック (2023年モデル)
全長 2370 mm 全幅 905 mm
全高 1455 mm 車両重量 205 kg
シート高 875 mm 燃料タンク容量 16 L
エンジン 4スト水冷並列2気筒
最高出力 54kW(73PS) / 9000RPM
最高トルク 69N・m(6.9kgf・m) / 6500RPM

ホンダ トランザルプ750


トランザルプは、手頃な価格とオンオフ問わない高い走破性、扱いやすい車格などで、ヨーロッパのライダー達に大人気のモデルでした。
2023年に発売された新型は、コンセプトをそのままに進化を遂げ、デザインが一新されています。

HONDA XL750 TRANSALP スペック (2023年モデル)
全長 2325 mm 全幅 840 mm
全高 1450 mm 車両重量 208 kg
シート高 850 mm 燃料タンク容量 16 L
エンジン 4スト水冷並列2気筒
最高出力 67kW(91PS) / 9500RPM
最高トルク 75N・m(7.6kgf・m) / 7250RPM

ヤマハ トレーサー9GT


トレーサー9GTはヤマハ得意の3気筒エンジンを搭載したアドベンチャーバイクです。
前後17インチキャストホイール装着していることからも分かるように街中やツーリングを重視したモデルになっています。

YAMAHA TRACER9 GT ABS スペック (2023年モデル)
全長 2175 mm 全幅 885 mm
全高 1430 mm 車両重量 220 kg
シート高 820 mm 燃料タンク容量 18 L
エンジン 4スト水冷並列3気筒
最高出力 88kW(120PS) / 10000RPM
最高トルク 93N・m(9.5kgf・m) / 7000RPM

KTM 790 ADVENTURE


「アドベンチャーモデルに乗りたいけれど、ビックバイクは大きすぎる」というのであればKTM790アドベンチャーがあります。
ミドルサイズでありながら性能はオン、オフ問わず十分すぎるほど。
ツーリングまでこなせる高性能マシンです。

KTM 790 ADVENTURE R スペック (2019年モデル)
車両重量 196 kg
シート高 880 mm
燃料タンク容量 20 L
エンジン 4スト水冷並列2気筒
最高出力 70kW(95PS) / 8000RPM

ハスクバーナ Norden901


889.5ccの並列ツインエンジンを搭載したアドベンチャーバイク。
低重心な設計によって安定感も高くなっています。
ツーリングから本格的なオフロード走行もこなすことができる性格で、個性的なデザインも魅力です。

Husqvarna NORDEN 901 スペック (2022年モデル)
車両重量 204 kg
シート高 854 mm
燃料タンク容量 19 L
エンジン 4スト水冷並列2気筒
最高出力 77kW(105PS) / 8000RPM

スズキ Vストローム1050DE


スズキが本気で作ったアドベンチャーバイクがVストロームシリーズ。
スタンダードのVストローム1050はキャストホイールですが、XTはフロントが19インチ,リアに17インチワイヤースポークホイールを採用。
DEは更にオフの走りを重視したモデルで、フロントが21インチのスポークホイールになり、オフロードでリアタイヤのスライドを一定レベル許容するモードまあるトラクションコントロールシステムを装備しています。

SUZUKI V-Strom 1050DE スペック (2023年モデル)
全長 2390 mm 全幅 960 mm
全高 1505 mm 車両重量 252 kg
シート高 880 mm 燃料タンク容量 20 L
エンジン 4スト水冷V型2気筒
最高出力 78kW(106PS) / 8500RPM
最高トルク 99N・m(10.1kgf・m) / 6000RPM

カワサキ ヴェルシス1000SE


カワサキのアドベンチャーバイクヴェルシスは並列4気筒エンジンで、前後に17インチのキャストホイールを装着。
ツーリングや街乗りを重視したモデルです。

Kawasaki Versys 1000 SE スペック (2023年モデル)
全長 2270 mm 全幅 950 mm
全高 1490 mm 車両重量 257 kg
シート高 820 mm 燃料タンク容量 21 L
エンジン 4スト水冷並列4気筒
最高出力 88kW(120PS) / 9000RPM
最高トルク 102N・m(10.4kgf・m) / 7500RPM

ホンダ CRF1100Lアフリカツイン


アフリカツインは、ホンダ独自の考えが詰め込まれたアドベンチャーバイク。
オフロードでの走破性を考えてフロントタイヤ21インチ、リアタイヤ18インチとされています。
ミッションはホンダ独自のDCT仕様もあり、こちらはクラッチ操作無しで最適なギアをバイクが選択してくれ、バイクを操る楽しさとイージーなライディングを両立させることを実現しています。
アドベンチャースポーツESというバージョンは24リッタータンクにコーナーリングライトを装備するなど、より旅を意識した仕様になっています。

HONDA CRF1100L Africa Twin スペック (2022年モデル)
全長 2310 mm 全幅 960 mm
全高 1355 mm 車両重量 229 kg
シート高 830 mm 燃料タンク容量 18 L
エンジン 4スト水冷並列2気筒
最高出力 75kW(102PS) / 7500RPM
最高トルク 105N・m(10.7kgf・m) / 6250RPM

BMW R1250GS


元祖アドベンチャーバイクとも言えるのがBMWのGSシリーズです。
1990年代から世界中で人気になり、ライバルメーカーがこのカテゴリーに進出するようになりました。
その魅力は迫力あるスタイルとパワー、オンオフ両方を走るための性能だけでなく、タフさと長距離の旅を考えた機能を詰め込んでいること。
道なき道を旅したいと考えているのであれば最適な1台となることでしょう。

BMW R1250GS スペック (2023年モデル)
全長 2205 mm 全幅 965 mm
全高 1490 mm 車両重量 256 kg
シート高 850 mm 燃料タンク容量 20 L
エンジン 4スト水冷水平2気筒
最高出力 100kW(136PS) / 7750RPM

KTM1290SUPER ADVENTURE R


READY TO RACEがKTMのマシンづくりのコンセプト。
ノーマルのままでもレースに出場できるくらいの性能を発揮します。
1290スーパーアドベンチャーRも例外ではありません。
本格的な見た目通り、エンジンも足まわりも高性能。
エキスパートライダーの手にかかればオン、オフ問わず素晴らしい走りができるマシンです。

KTM 1290 SUPER ADVENTURE R スペック (2021年モデル)
車両重量 228 kg
シート高 880 mm
燃料タンク容量 23 L
エンジン 4スト水冷V型2気筒
最高出力 118kW(160PS) / 9000RPM

トライアンフ タイガー1200


タイガー1200は、並列3気筒エンジンを搭載しているのがポイント。
低中速トルクやパルス感、高回転の気持ちの良い回り方など、2気筒と4気筒の良い点をあわせ持ったエンジンです。

Triumph Tiger 1200 XCA スペック (2018年モデル)
全長 2230 mm 全幅 930 mm
全高 1470 mm 車両重量 273 kg
シート高 835 mm 燃料タンク容量 20 L
エンジン 4スト水冷並列3気筒
最高出力 104kW(141PS) / 9350RPM

ドゥカティ ムルティストラーダV4


ドゥカティのスーパーバイクに使っている4気筒エンジンを搭載しているのがムルティストラーダV4です。
V4特有のエンジン特性によって高回転ではとてもパワフル。
排気音も刺激的です。
イタリアンらしいおしゃれなデザインのアドベンチャーバイクです。

Ducati Multistrada V4 スペック (2021年モデル)
全長 2301 mm 全幅 990 mm
全高 1520 mm 車両重量 240 kg
シート高 840 mm 燃料タンク容量 22 L
エンジン 4スト水冷V型4気筒
最高出力 125kW(170PS) / 10500RPM
最高トルク 125N・m(12.7kgf・m) / 8750RPM

ハーレー PanAmerica1250


アメリカンバイクで有名なハーレーダビッドソンが投入してきた最新のアドベンチャーバイクがパンアメリカンです。
搭載するのは新型の水冷Vツインエンジン。
世界初のシート高自動調整システムを採用。
バイクが停止するとサスが短くなって足つき性が向上します。
「ビックアドベンチャーに乗りたいけど足つきが心配」という方には注目のマシンです。

HarleyDavidson RA1250 PAN AMERICA 1250 スペック (2021年モデル)
全長 2265 mm 全幅 965 mm
全高 1510 mm 車両重量 245 kg
シート高 890 mm 燃料タンク容量 21.2 L
エンジン 4スト水冷V型2気筒
最高出力 112kW(152PS) / 8750RPM

アドベンチャーバイクは理想の1台になるかもしれない

峠道やオフロード、ツーリングなどバイクの色々な楽しみ方を1台ですべてをこなせてしまうのがアドベンチャーバイクです。
今回紹介したように、アドベンチャーバイクの中にもオンロードに特化したモデルやオフロードを重視したものもありますし、ツーリング装備を充実させているものなど様々な車種があるので、それぞれ比較してみてベストな1台を見つけ出すのがスマートな選び方。
また、アドベンチャーバイクをベースにして、パニアやエンジンガードなどを追加して、自分だけの1台を作り上げていくカスタムの楽しさもあります。
もしかしたら、あなたが理想とする1台がアドベンチャーバイクの中にあるかもしれません。

筆者プロフィール

Bike Life Lab supported by バイク王

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