日常の気軽な足としてとても便利なのが、普通自動二輪免許(中型免許)で乗ることができる150cc~250ccのビッグスクーターです。

50ccのスクーターと比較すると車体が大きいので安定性も高くなり、より多くの荷物を収納することができます。
また、二段階右折や30km制限が不要になり、タンデム(二人乗り)も可能になるなど行動の幅が広がります。

動力性能も高いのでタンデムでもパワーに不足がなく、高速道路も走れることから様々な使い方に対応できるのも魅力。

今回は、そんなビッグスクーターの中から車検のない250ccとミドルクラスの150ccのオススメ車種を紹介することにしましょう。

※ビッグスクーターには様々な捉え方がありますが、本記事では高速道路に乗ることができる126cc以上のスクーターをビッグスクーターとして解説します。

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ビッグスクーターの選び方


一概にビッグスクーターといっても様々な車種があります。
その特徴を知っておけば、自分の用途に最適な一台を見つけ出す助けになるはず。
まずはビッグスクーターを選ぶうえで知っておきたい基本的なことを説明します。

足元がフラットかどうか

スクーターは足元(ステップフロア)の形状によって乗り降りのしやすさや使い勝手が変わります。
足元がフラットになっていると荷物を載せやすく、フックを使用して荷物をぶら下げて運ぶこともできるなど利便性が高くなります。
一方でフロアが盛り上がったものは、荷物を置くことが難しいケースがほとんど。
では、なぜこういった形にするかといえば、車体をしっかりさせて、走りの性能を向上させることが目的。


そのため、スポーティーなモデルにはフロアの盛り上がったタイプが多く見られます。
乗り降りする場合は、この盛り上がった部分を跨らなければなりませんが、それでも一般的なバイクの乗り降りに比べれば、遥かに簡単です。

メットインスペースの容量


通勤や通学などで使う場合、シート下の収納スペースの容量は大きい方が便利です。
手荷物だけではなく、雨具や携帯工具を常に搭載しておくようにすれば、いざという時も安心。
モデルによってはメットインスペースにフルフェイスヘルメットが2つ入るものもあります。

車両の装備

2018年モデル以降のスクーターには、ABSやコンビブレーキ(前後のブレーキが連動していて、より安定したブレーキングを補助します)が標準搭載されているため、安全面が高くなっています。

最近のモデルではスマートキーやUSB電源などの利便性の高い装備が搭載されたものも増えてきました。

画像 Daytona製GIVIモノキーケース

また、オプションパーツが装着されているとスクーターは更に便利で快適になります。

ロングスクリーンがあれば高速走行時の疲れは減りますし、走行中に雨が体に当たるのを多少防いでくれます。
グリップヒーターは冬でも手を暖かくしてくれ、リアにボックスが追加されていれば、荷物を収納する量が増えます。

中古車市場には通勤や通学で使用されていた車両が出回っているため、車体についているオプションパーツも含めて車種を選ぶとよいでしょう。

ハンドルカバーの有無

画像 DAYTONA製汎用ナックルバイザー

ハンドルカバーやナックルカバーがあると冬の走行が格段に楽になります。
グリップヒーターと組み合わせると、真冬でも手の冷たさから開放されます。

ビッグスクーターの排気量は250ccクラスと150ccクラスはどちらが良い?

中型免許で乗れて、車検がないスクーターは大きく分けて150ccクラスと250ccクラスの2つ。
それぞれの特徴を理解し、使用用途によって選ぶと良いでしょう。

250ccクラスのビッグスクーターの特徴

250ccクラスは、150㏄クラスに比較してパワーがあり、加速力に優れていて長距離でも快適に走ることができます。
車体サイズが大柄なため、タンデムしても快適で、収納スペースも大きく取られていることがほとんどです。
こういった理由から長距離の通勤・通学や休日のツーリングも視野に入れるのであれば250ccクラスがオススメであると言えます。

150ccクラスのビッグスクーターの特徴


150ccクラスのスクーターは、250ccクラスに比べると車体サイズが小さいものが多く、125ccの原付二種スクーターとサイズが変わらないモデルもあります。
そのために取り回しがしやすく、小回りもききます。
車体も軽いので、250ccクラスと比較して燃費が良く、車体価格が安い傾向にあります。
長距離の高速走行には250ccの方が適していますが、150ccクラスなら必要なときは高速道路に乗ることもできますから、短距離の通勤・通学がメインで高速道路に乗る機会が少ないのであれば、150ccクラスがオススメです。

ビッグスクーターに乗る際の注意点

国産のビッグスクーターは、どれも耐久性、信頼性が非常に高く、安心して日常の足として使うことができます。
また、チェーンを使っておらず、シフトやクラッチなども存在しないので、バイクに比べるとメンテンスする部分も少なくなっています。
ただし、快調に走らせ続けるのであれば、最低限の整備は必要になります。

乗りっぱなしにしない

ビッグスクーターは通勤、通学をはじめとする生活の足として日常的に使用することが多いかと思います。
バイクには多くの消耗品が採用されているため、整備をせず乗りっぱなしだといつか必ず壊れてしまいます。
最悪の場合、必要な時にエンジンがかからずに困ることになるかもしれません。

特に250㏄クラスや150㏄クラスは車検が無いので、オイル交換など油脂類のメンテナンスや点検はオーナー次第。
定期的に整備を行う事が安心、安全に乗るために非常に重要になるのです。

250ccクラスのビッグスクーター

1990年代中盤から2010年くらいにかけてのビックスクーターの人気が高かった関係で、国産メーカーは250ccクラスのスクーターにとても力を入れていました。
スポーティーなバージョンやメーカーカスタムなどのバリエーションも多かったので、中古車も含めると250ccクラスのビッグスクーターは選択肢が多いジャンルです。

ホンダ フォルツァ

2000年に登場して以来、進化を続けるフォルツァは、現在でも新車で購入が可能です。
最新モデルは無段階で高さを調整できる電動スクリーンを装備。
エンジンの完成度も高く、快適性、動力性能、積載性を高次元でバランスさせたビッグスクーターです。

HONDA FORZA スペック (2023年モデル)
全長 2145 mm 全幅 750 mm
全高 1360 mm ホイールベース 1510 mm
シート高 780 mm 車両重量 186 kg
メットインスペース 48L 燃料タンク容量 11 L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 17kW (23PS) / 7,750rpm
最高トルク 24N・m (2.4kgf・m) / 6,250rpm

ヤマハ XMAX

スポーティーなデザインと走りを楽しむことも考えた車体が特徴のXMAXも、新車で購入することができます。
搭載されているのは環境性能と燃費、動力性能を追求したブルーコアエンジン。
走る楽しさを感じられるビッグスクーターです。

YAMAHA XMAX  スペック (2022年モデル)
全長 2185 mm 全幅 775 mm
全高 1415 mm ホイールベース 1540 mm
シート高 795 mm 車両重量 179 kg
メットインスペース 45L 燃料タンク容量 13 L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 17kW (23PS) / 7,000rpm
最高トルク 24N・m (2.4kgf・m) / 5,500rpm

スズキ バーグマン200

250cc並のゆったりとしたポジションでありながら、車体がコンパクトで取り回しがしやすいのがバーグマン200です。
150ccに比べるとパワーにも余裕があるので、もしも150ccか250ccかで迷っているようであれば、このマシンを選択肢に加えてみるのはいかがでしょう?
2023年6月現在メーカーのラインナップには残っていますが、すでに生産は中止されていますので、もしも新車が欲しいということであれば急いだほうが良いかもしれません。

SUZUKI BURGMAN 200 ABS  スペック (2021年モデル)
全長 2055 mm 全幅 740 mm
全高 1355 mm ホイールベース 1465 mm
シート高 735 mm 車両重量 165 kg
メットインスペース 41L 燃料タンク容量 10 L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 13kW (18PS) / 8,000rpm
最高トルク 16N・m (1.6kgf・m) / 6,000rpm

ヤマハ マジェスティ (4D9)

ビッグスクーターブームのキッカケを作ったのがマジェスティです。
初代のモデルは、大きな収納スペースとハイパワーなエンジン、ゴージャスかつ個性的なスタイルで大ヒットモデルとなりました。

2007年に誕生した最終モデル(型式名4D9)は、ゆったりとクルージングを楽しむことができる性格。
車体が軽量なために扱いやすく、走行性能にも優れています。

現在は生産が中止されていますが、中古車であれば様々なバリエーションモデルの中から選ぶことができます。


マジェスティの最終モデル4D9は、前期と後期でデザインがかなり違います。
前期モデルではハイビーム、ロービームでそれぞれ独立した2灯式ヘッドライトを左右に装着していました。


2012年以降のモデルでは、YZF-R1同様のプロジェクターヘッドライトになり、より精悍なイメージになりました。

YAMAHA MAJESTY スペック (2014年モデル)
全長 2175 mm 全幅 780 mm
全高 1185 mm ホイールベース 1550 mm
シート高 700 mm 車両重量 188 kg
メットインスペース 60L 燃料タンク容量 12 L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 14kW (19PS) / 6,500rpm
最高トルク 22N・m (2.2kgf・m) / 5,000rpm

スズキ スカイウェイブ250


スズキ初のビックスクーターがスカイウェイブ250です。
最終モデルは14インチホイールを採用して安定した走りを実現し、DOHCエンジンを搭載しています。
シート下の収納スペースは63リットルの大容量。
カスタム仕様のタイプSや、電子制御CVTを採用したタイプMもラインナップされていました。
現在は生産が終了しているので、もしも欲しいのであれば中古車から探すことになります。

SUZUKI SKYWAVE250 Type S BASIC スペック (2014年モデル)
全長 2270 mm 全幅 760 mm
全高 1225 mm ホイールベース 1585 mm
シート高 710 mm 車両重量 214 kg
メットインスペース 63L 燃料タンク容量 13 L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 19kW (26PS) / 7,500rpm
最高トルク 25N・m (2.5kgf・m) / 6,000rpm

ヤマハ マグザム

ロー&ロングなデザインとゆったりとしたポジションがマグザムの特徴です。
快適にタンデムライディングすることを意識して設計されているのでシートも大きく、後ろのライダーの乗り心地も良好。
現在は生産終了していますが、もしもタンデム中心の使い方を考えているのであれば、選択肢に入れておきたい一台です。

YAMAHA MAXAM スペック (2015年モデル)
全長 2365 mm 全幅 820 mm
全高 1060 mm ホイールベース 1615 mm
シート高 655 mm 車両重量 201 kg
メットインスペース シート下18L+5L

リアトランク11L

燃料タンク容量 14 L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 15kW (20PS) / 7,500rpm
最高トルク 22N・m (2.2kgf・m) / 5,000rpm

ホンダ フェイズ


ホンダの人気スクーター、フォルツァと同じエンジンを搭載しながらも、軽量な車体と個性的な外観を与えられたのがフェイズです。
電子制御オートマチックシステムを搭載したスポーティーモデルのフェイズSもラインナップされていました。
中古車のみとなりますが、同年式のフォルツァよりも比較的価格が安く設定されることが多いようです。

HONDA FAZE スペック (2012年モデル)
全長 2180 mm 全幅 750 mm
全高 1150 mm ホイールベース 1540 mm
シート高 755 mm 車両重量 183 kg
メットインスペース 50L 燃料タンク容量 12 L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 17kW (23PS) / 7,500rpm
最高トルク 23N・m (2.3kgf・m) / 6,000rpm

スズキ ジェンマ


ジェンマの特徴は、左右非対称なヘッドライトを採用した個性的かつ都会的なフォルムです。
通常のスクーターではタンデムライダーの着座位置が高くなっている場合が多いのですが、ジェンマの場合はほぼ同じ高さ。
ライダーとタンデムライダーの一体感を生み出すことを考えてデザインされたシートです。
ライダーの前方には12リッターの収納ボックスがあり、シートに座ったままでも荷物を取り出すことができます。

SUZUKI GEMMA スペック (2012年モデル)
全長 2280 mm 全幅 810 mm
全高 1085 mm ホイールベース 1690 mm
シート高 660 mm 車両重量 210 kg
足元収納スペース 12L 燃料タンク容量 12 L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 16kW (22PS) / 7,500rpm
最高トルク 22N・m (2.2kgf・m) / 5,500rpm

150ccクラスのビッグスクーター

中途半端な排気量帯のように思われがちですが、コンパクトな車体サイズによって、街中でとても扱いやすいのが150ccクラスのスクーターです。
使い勝手の良さから、近年注目度が高まってきているジャンル。
今回紹介している150ccクラスのスクーターは、2023年6月現在どれも新車購入することが可能です。

ホンダ PCX160

250ccクラスも含めた軽二輪のスクーターの中で、常に売上上位に食い込んでいるのがPCX160です。
その秘密は全体的な完成度が極めて高いこと。
動力性能だけでなく、車体や足回りが良くできていて、不安なく走れることからファンを増やし続けています。

HONDA PCX160 スペック (2023年モデル)
全長 1935 mm 全幅 740 mm
全高 1105 mm ホイールベース 1315 mm
シート高 764 mm 車両重量 133 kg
メットインスペース 30L 燃料タンク容量 8.1 L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 12kW (15.8PS) / 8,500rpm
最高トルク 15N・m (1.5kgf・m) / 6,500rpm

ホンダ ADV160


個性的なアドベンチャー系スクーターとして唯一無二の存在がADV160です。
長いストロークの前後サスペンションと、剛性の高いダブルクレードルフレームの組み合わせにより、快適な乗り心地を実現。タフなイメージのデザインも魅力です。

HONDA ADV160 スペック (2023年モデル)
全長 1950 mm 全幅 760 mm
全高 1195 mm ホイールベース 1325 mm
シート高 780 mm 車両重量 136 kg
メットインスペース 29L 燃料タンク容量 8.1 L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 12kW (16PS) / 8,500rpm
最高トルク 15N・m (1.5kgf・m) / 6,500rpm

ヤマハ NMAX 155


人気のNMAX125の車体に、燃焼効率の高い可変バルブシステムを採用した155ccエンジンを搭載しているのがNMAX155です。
2022年に登場した最新モデルからはトラクションコントロールシステムとスマートキーが採用されています。

YAMAHA NMAX155 スペック (2022年モデル)
全長 1935 mm 全幅 740 mm
全高 1160 mm ホイールベース 1340 mm
シート高 765 mm 車両重量 131 kg
メットインスペース 23L 燃料タンク容量 7.1 L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 11kW (15PS) / 8,000rpm
最高トルク 14N・m (1.4kgf・m) / 6,500rpm

ヤマハ X FORCE

X FORCEは台湾で人気となっていたモデルで、2022年から日本市場でも販売が開始されました。
搭載されているのはヤマハ得意の可変バルブシステムを採用したブルーコアエンジンで、高い燃費性能と走行性能を両立させています。

YAMAHA X FORCE スペック (2022年モデル)
全長 1895 mm 全幅 760 mm
全高 1120 mm ホイールベース 1340 mm
シート高 815 mm 車両重量 130 kg
メットインスペース 23.2L 燃料タンク容量 6.1 L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 11kW (15PS) / 8,000rpm
最高トルク 14N・m (1.4kgf・m) / 6,500rpm

ヤマハ トリシティ155

ヤマハの提唱するLMW(リーニング・マルチ・ホイール)という考えから生まれたのがトリシティ。
フロントタイヤが二輪になっているので、濡れた路面など、悪条件でも安心感が高く、ブレーキ性能にも優れています。

YAMAHA TRICITY 155 スペック (2023年モデル)
全長 1995 mm 全幅 750 mm
全高 1215 mm ホイールベース 1410 mm
シート高 770 mm 車両重量 172 kg
メットインスペース 23.5L 燃料タンク容量 7.2 L
エンジン  4スト水冷単気筒
最高出力 11kW (15PS) / 8,000rpm
最高トルク 14N・m (1.4kgf・m) / 6,500rpm

150cc~250ccのビッグスクーターは生活を豊かにする乗り物

250ccや150ccクラスのスクーターはとても便利で、色々なシーンで活躍しますから、一台あると普段の生活や休日の楽しみ方が大きく変わるかもしれません。
興味があったら、是非店舗で現車を見て、マシンに跨ってみてください。
いかに快適で使い勝手が良いか、よく分かると思います。

筆者プロフィール

Bike Life Lab supported by バイク王

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