バイクは歴史が深いもの。
現代でも最新車種がリリースされていますが、昔売られていたバイクを今乗るという選択肢もあります。

今回はそんなクラシックバイクについて。
クラシックバイクを元にしたネオクラシックバイクとの違いも含めて解説していきます!

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クラシックバイクの魅力


クラシックバイクは旧車と似た扱いになります。
基本的には昔売られていたバイクのことで、現代のバイクのようなハイテクで不安のない性能ではありませんが、逆に言えば当時のバイクにしかない味わいや魅力を持っています。

特にエンジンの違いは大きく、古い設計のクラシックバイクのエンジンは現代のバイクのように電子制御されていない物も多いため、よりダイレクトで荒々しいフィーリングを楽しむことができます。

速さ、扱いやすさで言えば現代のバイクには到底敵いませんが、エンジンをダイレクトに、直感的に楽しむなら敢えてローテクなクラシックバイクのほうが楽しみの幅は広いと思います。
「旧いものを大切に、直しながら乗って楽しむ」という趣あるの付き合い方は、クラシックバイクをはじめとした旧いバイクでしかできないバイクの楽しみ方の1つです。

ネオクラシックバイクとクラシックバイクの違い


クラシックバイク、ネオクラシックバイクともに明確な年式が決まっているわけではありません。
同じバイクでも人によってクラシックバイクだと言ったり、そうではないと言う人もいます。
ネオクラシックも同様です。
SR400のように、設計自体は1970年代でも最近まで生産されていたバイクの場合、人によってクラシックバイクかネオクラシックバイクかで意見が分かれることもあります。

クラシックバイクの特徴


外観やデザインは当然のことながらオールドルック。
プラスチックが一般的でなかった70年代までのバイクではメッキパーツを多用しているモデルが多く見られます。
エンジンは空冷(水冷バイクが増えてくるのは1980年代以降)が多く、1960年代後半までのバイクでは単気筒や2気筒エンジンを搭載したものがほとんどでした。
1960年代後半からは4気筒バイクも増えました。

ネオクラシックバイクの特徴


ネオクラシックと呼ばれるバイクの中には空冷エンジンを搭載したものもありますが、最近は排ガス規制などに対応するため、水冷エンジンを採用したものが増えてきました。
気筒数は単気筒から4気筒まで様々。
プレミアの付いているような人気モデルをイメージしたネオクラシックも数多くラインナップされています。
クラシックバイクでは定期的にメンテナンスをして好調な状態を維持していく必要がありますが、ネオクラシックであればこの手間が大幅に低減します。
ただし、メンテナンスが好きな人の場合、自分で整備しにくいところが逆にデメリットだと考えることもあります。

クラシックバイクの人気車種

この記事ではネオクラシックバイクを除いて国産メーカーの普通自動二輪免許で乗ることができる250ccクラス、400ccクラスの人気クラシックバイクを紹介していきます。
現行車にはない魅力を持ったモデルばかりなので、痺れるクラシックバイクを探してみてください!
まずは400ccクラス、後半では250ccクラスのクラシックバイクから紹介していきます!

400ccクラスのクラシックバイク

SR400


ヤマハのSR400はクラシックバイクの代名詞と言っても過言ではないモデルです。
クラシックバイクの中でも王道的な存在なので、特にこれと言ったこだわりはないけど、400ccクラスのクラシックバイクに乗りたい、という方にもおすすめできるバイクです。

初期型の発売は1978年。
そして生産終了となったのが2021年でしたが、SR400 が凄いのは販売されていた43年間大きく基本設計を変えずに販売されていた超ロングセラーバイクなんです。

普通なら途中で水冷化されて足回りも17インチ化されていくことが多いですが、SR400は空冷単気筒を貫き、始動方法はキックスタートのみ。
セル始動なんてハイテクなものは付いてません。

ロングセラーモデルだけあって中古車市場の流通台数も豊富ですが、年式によって細かい部分や中古車の本体価格も大きく異なります。
古い型式になればなるほど生産されてから年式が経過して車両の状態が悪くなる傾向にあるため、初心者の方はインジェクション採用のRH16J型を選ぶのがおすすめ。
程度も関係なくメンテナンスする前提で味わいで選ぶなら初期型が最もSRらしいと人気です。
カスタムベースとしても人気なバイクですが、インジェクションモデルはいくらSRでも多少やりにくい部分があるため、キャブレターモデルをベースにするのがおすすめです。

テンプター


SRの人気に隠れていますが、実はクラシックバイクとしてファンが多いスズキのテンプター。
登場したのは1997年で、見た目の割には比較的に新しめのクラシックバイクです。

エンジンは空冷単気筒を搭載しており、車体を真横から見たときにシリンダーが直立しているのが特徴的。
同クラスのSR400は少しシリンダーが前傾しているため、よりクラシックバイクらしいカスタムをしていく際にマウントやフレームを作り変えて直立させることもあり、最初から直立しているテンプターはそこに魅力を感じるライダーもいます。

クラシックバイクの中でも若干マニアックなバイクですが、2リード式のフロントドラムブレーキなど、部分的にはSRよりも豪華なパーツが標準採用されているため、今乗っていたら格好が付くクラシックバイクだと思います。

CB400SS


クラシックバイクは生産からある程度年数が経過している車両が多いため、故障トラブルも想定しておく必要があります。
中には遠出を避けているというライダーも。
仕方のないことですが、クラシックバイクに乗りたいけど、普通のバイクと同じように動いてくれなきゃ乗れない、という方もいるはずです。

そんな方におすすめしたいのがホンダのCB400SS。
空冷単気筒エンジンはオフロード車譲りのもので、CB400SSのバージョンは乗りやすくマイルドな味付けとなっています。
見た目はクラシックバイクですが、登場したのは2001年、その後2008年まで生産されていました。
始動はセルモーターで可能ですがキックペダルも装着されているため、渋いエンジン始動をしたいときはキックが使えます。

まだパーツの心配も少なく、壊れたとしてもまだ乗り続けていけるバイクなので、クラシックバイクの中でもハイテクなCB400SSに乗るなら今かもしれません。

W400


カワサキのWシリーズはクラシックバイクというワードを聞いてイメージする方も多いバイクじゃないでしょうか。
大型クラスのW650、W800は有名ですが、実は400ccクラスのW400も存在します。

見た目は大型のW650にそっくりなスタイルで、シリンダーが直立した空冷バーチカルツインエンジン。
2気筒らしい独特の鼓動感とトルクを楽しめるエンジンです。

シート高がW650よりも低く、バイクの扱いにまだ慣れきっていない初心者の方や、女性にも人気なバイクです。
400ccクラスでここまでレトロに仕上がっているバイクは少なく、カスタムしていくという意味でも楽しめるバイクだと思います。
タンクのグラフィックの種類もかなり豊富なので、お気に入りの仕様を探してみてください。

SRX400


ヤマハのSR400は先ほども紹介したクラシックバイクの王道的存在ですが、そのSRをスポーツ仕様にしたのがSRX400。
スポーツバイク人気が続いていた80年代中盤に登場したSRXは、バイクそのものの素材や造形美、メカニズムの美しさを楽しめるモデルとして登場しました。
ただのスポーツバイクではなく、空冷単気筒エンジンや、鋼管ダブルクレードルフレーム、各部のアルミパーツなど速いだけでなく、味わいを楽しめるバイクとして人気となりました。

ですが実際性能的にもしっかり進化していて、SR400は単気筒2バルブですが、SRX400は単気筒4バルブとなっており、より高回転域のパワーが期待できるエンジン。
足回りもスポーツバイクと同等の装備となっていたため、見るだけでなく走って楽しめるバイクとしても定評があります。

登場したのが1985年と中々の古さですが、今見ても華のあるバイクなので、王道的なクラシックバイクよりも、そこから少し進歩してスポーツ要素もあるクラシックバイクを探している方におすすめです。

250ccクラスのクラシックバイク

エストレヤ


強いこだわりがなく、車検のない250ccクラスのクラシックバイクを探しているならエストレヤはどうでしょうか。
カワサキWシリーズに近いクラシカルなスタイルとなっていて、エンジンは空冷単気筒を搭載。
街乗り、ツーリングが楽にできる実用的なパワーと、単気筒らしい鼓動感を楽しめるエンジンです。

1992年~2017年の計25年間販売されていたロングセラーモデルのため、クラシックバイクとしてのデザイン性が突き詰められていて、カラーバリエーションも豊富。
2007 年以降のモデルはインジェクションが採用されています。

シート高は735mmと足つきが良いので、初心者や女性の方にもおすすめ。
癖の少ない程よいパワーを楽しめる250ccクラスのクラシックバイクだと思います。

エストレヤとW230・メグロS1の違い


2024年秋にカワサキからエストレヤに似たW230とメグロS1の発売が予定されています。
外観はエストレヤとかなり似ていますが、中身は結構違っていて、W230、メグロS1はネオクラシックバイクに入るジャンルです。

エストレヤとの違いは大きなところから言うとまずはエンジン。
どちらも同じく空冷単気筒を搭載していますが、W230、メグロS1のエンジンはKLX230がベースとなっており、単気筒らしい鼓動感というよりは軽快に回るエンジンです。
エストレヤのエンジンは多少排気量が大きいというのもありますが、しっかり鼓動感を感じれるエンジンのため、実用性という意味ではW230、メグロS1のほうが優れていると思いますが、クラシックバイクらしいフィーリングを楽しみたいならエストレヤのほうが向いていると思います。

スタイリング面でも違いがあって、フェンダーやミラーなど細かい部分にメッキパーツが多いエストレヤに対し、W230、メグロS1はブラックアウトされているパーツが多く、好みにもよりますが、クラシックバイクらしいのはこの点でもエストレヤ。

昔のバイクをモチーフに現代の素材と技術で作られたネオクラシックのW230とメグロS1に対し、エストレヤはモチーフは昔のモデルでありつつも、現行車にはないクラシカルな装備となっているため、用途と求めているもの次第で選ぶべきだと思います。

GB250クラブマン

他とは違ったホンダらしいクラシックバイクとして人気なのがGB250クラブマン。
今サーキットを走っているようなスポーツバイクができるより前の時代にあったクラシックロードスポーツのスタイリングとなっていて、ただのクラシックではなく、スポーツクラシック。
理想的な燃焼効率が得られる半球型の燃焼室を持つRFVCシステムを採用するなど、ただの単気筒ではなく回すと速い単気筒マシンなんです。

1983年に登場したバイクで、その後1997年まで販売されました。
細かいマイナーチェンジを挟みますが、途中でタンクの形が変わるため、好みのスタイル、カラーリングの年式を探してみてください。

ルネッサ/SRV250


王道的クラシックバイクのSR400から派生したモデルとして人気なのがルネッサとSRV250。
最初に登場したのはSRV250で、80年代から始まった高性能スポーツモデルが一旦落ち着き始め、バイク本来の乗って感じる楽しさや造形美が注目され始めた時代でした。

ルネッサとSRV250は外装以外はほぼ同じバイクで、SRV250はSR400の後継のようなヤマハクラシックバイクらしいスタイリング、ルネッサはカフェレーサースタイルとなっています。

エンジンはビラーゴ譲りの空冷Vツインエンジンを搭載し、ロングストロークでトルクがしっかりあって、歯切れのいいサウンドを響かせます。

SRもいいけどちょっと違ったバイクに乗りたい!という方や、他の人とは一味違ったバイクに乗りたいという方、空冷単気筒ではなくVツインに乗りたいという方にもおすすめです。

ボルティー


外観はクラシックで街乗りを楽しくしたい、という方にはボルティがおすすめ。
足つきが良く車体が小柄で軽いため、体が大きくない方でもコントロールしやすく、街乗りをこれまでよりももっと深く楽しめるかもしれません。

エンジンは空冷単気筒を搭載し、低回転域のトルクが分厚いため、回転を上げずに街中をトコトコ走る使い方にもピッタリ。
控えめな性格ではありますが、振動が少ないということもあって長時間の走行やバイク便のバイクとしても人気のモデルでした。

またタンデムすることが多い方のメリットとして、ボルティーは前後でシートがセパレートされていて高さが違うため、それぞれのスペースが広く取られています。
タンデムした状態でも運転のしやすさは大きく変わらないため、タンデムでの街移動の際にも快適です。

ST250


先述したボルティーの後継モデルとして2003年に登場したのがST250。
ストリートバイクとしてオーソドックスな装備を持ったST250はその後のストリートバイクブームでも人気のモデルとなりました。
丸型ヘッドライト、各部のメッキパーツ、鮮やかなタンクなど、この時代のストリートバイクは目を引くものがありました。

空冷単気筒エンジンはボルティから変わらず採用されましたが、ボルティーは4バルブだったのに対し、ST250では2バルブとなっていました。
これは低中速トルクを得るためで単気筒らしいトルク特性として熟成されています。
Eタイプはセルスターターとキックペダルが併用されたモデルで、その後2008年にインジェクション化されるタイミングでセル始動のみのST250 Eタイプに一本化されました。
街乗りできるクラシックバイクとして優秀なモデルだと思います。

中古クラシックバイクを選ぶ時のポイント

車両の状態に注目する


クラシックバイクは販売から年数が経過しているモデルが多く、中古車の世界では年数の経過や走行距離の伸びによって状態は悪くなる傾向にあります。

エンジンの状態や駆動部品、保安部品など状態を把握し、メッキパーツのサビ具合など外装の状態と照らし合わせながら選んで、納車時にどこを整備するのかもチェックしておきたいポイント。
可能であれば実車を見て跨って選ぶのがおすすめです。

クラシックバイクの本当に古いモデルは乗り続けていくうえでパーツの入手が難しくなっていくため、現状の状態は買う上で非常に重要なポイントです。
中古車は一点物なので見つけたら即買いしたくなりますが、1つの車種でも複数台を比較検討したり、クラシックバイクより苦労の少ないネオクラシックバイクを含めた他の車種も候補に入れて検討すると、自分に合った1台に出会えるかもしれません。

保証付きの店で購入するのが安心


クラシックバイクを買う際、ネオクラシックバイクと比べて整備面で気にかけるポイントは多くなります。
年数が経過しているので当然の事ですが、中古車も機械なので販売店がしっかり整備した上で納車しても、後から故障や不具合が起きる可能性は捨てきれません。
古ければ古いだけそのリスクは高まるため、保証付きの販売店で購入するのが安心です。

現状販売や個人販売のほうが最初にかかる金額は安い傾向にありますが、手元に来る前にどこを整備したか、どうやって使われていたかなどはわからず、ちゃんとした販売店で買うのと比較するとリスクがかなり高いため、初心者にはおすすめできません。

クラシックバイクはバイクの良さを教えてくれる

クラシックバイクは名前の通り販売から年数が経過した旧いモデルです。
性能で選ぶなら現行車には敵いませんが、乗っていて感じる味わいで選ぶなら古いモデルは現行車にはない味わいを持っています。

それは外観然り、エンジン然り、様々な部分で現行車との違いがあるでしょう。
それが良いと感じるか、悪いと感じるかは人次第。

クラシックバイクにハマる人は乗りつぶした次のバイクもクラシックを選ぶことは多いです。
それだけ魅力があるクラシックバイクなので、自分がバイクにが求めている味わいと理想のスタイリングを探してみてください。

筆者プロフィール

Bike Life Lab supported by バイク王

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