ハーレーの883(パパサン)とはどんなバイク?種類や人気車種も紹介!
公開日:2024.06.05 / 最終更新日:2024.09.10
多くの人達が憧れているバイクメーカーであるハーレーダビッドソンには様々なモデル(ファミリー)があります。
その中でも特に人気の高いのがスポーツスターです。
スポーツスターには883ccと1200ccの2つがあり、883はとっつきやすくて気軽に乗ることができ、扱いやすいことなどからファンが多く、日本ではパパサンの愛称で多くの人達に親しまれてきました。
今回はこの883について解説します!
ハーレーの883ってどんなバイク?
883のルーツは1952年に発売された「モデルK」というバイク。
つまり遡ると約70年の歴史があるシリーズです。
当時としては画期的高性能で人気になりました。
初めて883の排気量が登場したのは1986年のXL883から。
それ以来様々な派生シリーズが登場して高い人気を得ていきます。
883はハーレーの中でも手軽で乗りやすいため、女性ライダーの人気も高く、初めてのハーレーとしてオススメとされてきたバイクです。
ところが、惜しくも2021年に生産終了となってしまいました。
ちなみにこれまで、ハーレーに似たバイクが様々なメーカーから発売されてきました。
もちろん883風のマシンも存在します。
ライバルである883を研究してできただけにどれも良いバイクなのですが、ハーレーの魅力はハーレーでしか味わうことができないということは頭に入れておいたほうが良いでしょう。
だからもしもハーレーに対しての憧れや強い思いがあるのなら、回り道をせずハーレーに乗ってみるべきではないかと思います。
ハーレーの883のデメリット
883は多くのライダーから支持されている素晴らしいバイクですが、デメリットもあります。
具体的にどんなものがあるのかを説明しましょう。
整備工賃が国産車と比較して高い傾向にある
ハーレーなど外車の整備工賃は国産車より高く設定しているバイクショップが多く、国産車と同じ整備を行っても高くなることがあります。
部品も国産より高いケースもあるので、メンテナンス費用など維持費に関しては国産車と比較して割高になる可能性があります。
乗車定員が1名
883は純正で1人乗り仕様になっているモデルが多く、そのままの状態ではタンデム(2人乗り)ができません。
ただ、1人乗り仕様のスタイルのほうが美しいというファンが多いことも事実です。
ハーレーの883のメリット
883が長年多くのライダーから支持されてきたのは、他のバイクにない多くの魅力があるからです。
デザイン性の高さ
883の一番の魅力はスタイリッシュなデザインといっても過言ではないでしょう。
空冷Vツインエンジンはとても美しく、しかも車体がスリムなのでエンジンの存在感が強調されます。
細かなパーツ一つ一つ見ても国産車とは違った質感が漂っています。
また、883には多くのバリエーションモデルがあり、色々なスタイル、カラーリングのバイクを選ぶことができます。
ハーレーの中で扱いやすい排気量
ハーレーには1000ccを超える排気量が多く、中には2000cc近いモデルもあり、車体が大きくて重いマシンも少なくありません。
その点883ccは扱いやすい排気量。
車体が小さくて足つき性がとても良く、ビックバイクとしては取り回しも容易。
それでいてパワーに過不足はなく、ストリートで十分な力強さと乗りやすさを両立しています。
空冷Vツインエンジン
現在のバイクは水冷エンジンが主流になっていますが、883シリーズは空冷エンジンを搭載しています。
冷却フィンの刻まれたシリンダーは非常に美しく、空冷Vツインエンジン独特のドコドコした鼓動感や排気音はフィーリングを味わうことができます。
Vツインエンジンは他のメーカーでも数多く作られていますが、ハーレーの排気音とパワーフィーリングは独特です。
883の種類と人気車種を解説!
スポーツスターは長年作られ続けてきたことに加え、様々なバリエーションモデルが登場してきました。
同年代の883であれば基本的にエンジンは同じですが、デザイン、タイヤ径、ポジション、車高などが違うので跨ったときのポジションやハンドリングなどの性格まで異なります。
XL883
スポーツスターの中で最もベーシックかつスタンダードなモデルがXL883でしょう。
発売当初は88万3000円に価格が設定されていたことなどもあって大きな人気となり、一時はハーレーブームを牽引する存在となっていました。
シンプルであるがゆえにどんな使い方に対応できるこのモデルは、最も883らしいバイクだと言えるでしょう。
それでいて機能面は他のモデルに負けていません。
フロント19インチ、リア16インチのタイヤによって生み出されるハンドリングはストリートを走るのにピッタリ。
コーナーリングを楽しめるスポーツ性もあります。
XL883N アイアン
XL883をベースとしたファクトリーカスタム(メーカーによってカスタムされたモデル)がXL883Nアイアンです。
フロントフォークにはブーツが装着されてレトロな雰囲気を演出。
エンジンやホイールなどにブラック塗装が施された結果、精悍なイメージを作り上げています。
リアフェンダーが短くカットされ、テールランプとストップランプがウインカーに内蔵されたためにリア周りがスッキリしたデザインになりました。
日本でとても人気が高いモデルです。
XL883L ロー
短いサスによって足つき性が抜群に良くなったのがXL883Lです。
年式によって若干の差はあるものの、2007年モデルでは639mmと一般的な国産250ccクラスよりもシートが低くなっています。
大型バイクでありながら、小柄な人でも不安なくバイクを支えることができるのはこのモデル一番の魅力でしょう。
燃料タンクは12.5リッターと小型ですが、低く構えた車体と相まって美しいスタイルを作り上げています。
ただし、足つき性が良くなった代わりにバンク角が浅くてコーナーではステップやマフラーが接地しやすく、段差で車体の下を擦ることもあるので、使い方なども考えたうえで選ぶことをオススメします。
XL883L SuperLow スーパーロー
XL883Lローの後継として登場したのがXL883Lスーパーローです。
シート高は2015までが695mm。
2016年モデルからは705mmになっています。
ローのタンク容量は心もとないと感じていた人もいましたが、このモデルでは17リッターとなって航続距離も増えました。
ハンドルの形状なども変わり、フロントタイヤも18インチ化されたことで雰囲気やハンドリングも変わっています。
高年式の883からシート高が低いモデルを選ぶ場合はローかスーパーローが候補となります。
同じ方向性のバイクですが、ホイール径などが異なることから外観の雰囲気だけでなくハンドリングも変わっているので、実際に車両を見て判断することをオススメします。
XL883R
スポーツスターの走りの性能を追求したモデルがXL883Rです。
車高が若干上がったことでバンク角が深くなっているだけでなく、運動性も向上。
ワインディングなどのコーナーリングも存分に楽しむことができます。
フロントのダブルディスクや低めにセットされたハンドルなど、走りを楽しむための装備も充実。
スポーツスターカップというスポーツスターのワンメイクレースでも活躍しました。
2015年モデルからは、ピーナッツタンクと呼ばれる伝統的なデザインの燃料タンクが採用されています。
シート高は760mmですが、車体がスリムなので足つき性は数値よりも良く感じられるはずです。
XL883C カスタム
フロントに21インチのスポークホイール、リアに16インチのディッシュホイールを装着しているのがXL883Cカスタム最大の特徴です。
ヘッドライトは砲弾型となり、各部にクロームメッキパーツが使用されていることによってスタンダードのXL883とは大きく印象を変えています。
足を前に投げ出すようなポジションになるフォワードフットコントローラーやライザー(ハンドルを取り付けているパーツ)によって高く持ち上げられたハンドルが独特のポジションを作り出し、ゆったりとクルージングを楽しむことができます。
XLH883
XL883の旧モデルがXLH883です。
基本的なスタイルはXL883と似ていますが、実は車重が軽くてホイールベースも短いのでハンドリングが軽快。
バンク角も確保されているのでワインディングでもスポーティーに走れることから根強いファンがいます。
このモデルはエンジンをフレームに直接固定するリジッドマウントのため、振動は大きめ。
吸気方式もキャブレターだけになっていいます。
扱いやすさや快適さはラバーマウントやインジェクションに譲るのですが、Vツインの鼓動を感じながらバイクを操る楽しさに関していえばリジットマウント&キャブレターのほうが上だと言うライダーは少なくありません。
XLH883ハガー
XLH883をローダウンして前後ホイールをスポークとし、ブルバックハンドル(アップして手前に引かれたハンドル)を装着したのがXLH883Hハガーです。
XLH883の魅力を継承しながらも、クラシカルなルックスと足つき性の良さ、リラックスしたポジションがプラスされたモデルだと考えればわかりやすいでしょう。
883で足つきが良いバイクには前述したXL883L―とスーパーローがありますが、XLH883Hは車体が軽いこともあってより軽快に走ることができ、最低地上高も若干高めになっています。
中古で883を選ぶときのポイント
2024年現在883シリーズは生産終了しているため購入する場合は中古から選ぶことになります。
ただし一言に883といってもエンジンや性格などが違っています。
883を選ぶ場合はこの点に注意する必要があります。
年式に注目
883は何度か大きな変更が加えられています。
年式によっては性格がずいぶんと違っているので、自分の求めるものや使い方にマッチしたモデルを選ぶことが重要になります。
2004年前後
883は2004年にフルモデルチェンジを受けていて、エンジンマウントがラバーマウントになりました。
ラバーマウントは振動が少なくて高速道路などでも快適ですが、2003年以前のモデルのほうがエンジンの鼓動感を楽しむことができることから評価は真っ二つ。
リジッドマウント好きが多い理由の一つに「バイクが軽い」という理由もあります。
ラバーマウントされたモデルは以前のモデルから30kg程度重くなり、ホイールベースも長くなっているので、リジットマウントのほうが取り回しや走りが軽快なのです。
2007年前後
883でもう一つ注意しておきたいポイントは吸気系。
2007年まではキャブレター、それ以降はフューエルインジェクションが採用されています。
インジェクションのほうが扱いやすく燃費に優れていますが、キャブレターのほうが走らせる楽しさは上だという883オーナーはたくさんいるので、ライダーの求めるものによってどちらが良いかは変わってきます。
2010年前後
2007年にインジェクション化されたことでECM(エンジン・コントロール・モジュール)がシートの下に取り付けられました。
これがじゃまになって、それまでのカスタムシートが取り付けられなくなってしまうケースも。
ハーレーはカスタムパーツが豊富なので色々な部品を交換するのも楽しさの一つなのですが、それが若干スポイルされていたのです。
2010年以降はECMがリアシリンダーの後ろに移動し、シートカスタムの自由度が増しています。
カスタムに注目
883に限らず、ハーレーはカスタムを楽しむ人が多いバイクです。
社外製マフラーなどに交換されたマシンも少なくありませんが、車検に通らないマフラーも多いため、社外製マフラーが装着されている個体に関しては現状では車検に通るのかという点や、納車時に車検適応状態で納車となるのかなどは確認したほうが良いでしょう。
確認をしないで購入すると後からマフラーなどのパーツ代と交換工賃で数万円単位、あるいはそれ以上の出費が発生するケースもあります。
カスタムパーツ、特にハーレーのパーツは高価なものが多いため、カスタム車はお得感の高いものもありますが、基本的に一番乗りやすいのはノーマルの状態です。
バイク初心者や運転に不安のある方はなるべくノーマルに近い状態を選ぶと安心です。
特にハンドルの形状が大きく変更されていたり、フォークが延長されているカスタムは運転に大きな影響が出る可能性があります。
ドライブレコーダー・サイドバッグ・シーシーバーなどの運転・操作に影響しない範囲のカスタムパーツであれば初心者にもオススメです。
タンデムを考えているならタンデム仕様にカスタム済のものを選ぶとお得
883シリーズは乗車定員が1名となっていることが多いため、タンデムするためにはタンデムシート、グラブバー、タンデムステップなどの装備を付けたうえで車検の構造変更を行う必要があります。
パーツ代に加えて構造変更の車検も取得しなおす必要があるため、タンデムツーリングをメインで考えている方は初めからタンデム仕様にカスタムされている個体を選ぶと総額でお得になるケースがあります。
初心者はインジェクションモデルを選ぶと安心
883シリーズには前述したように同じモデルでもインジェクションとキャブレターの両方があるケースがあります。
初心者はインジェクションを選ぶと安心ですが、キャブだから極端に乗りにくいというわけではありません。
バイクは趣味の乗り物ですから「キャブ仕様のハーレーに乗りたい」と思っているのであれば、敢えてキャブのモデルを選ぶという選択肢もありでしょう。
一度またがると安心
883シリーズはハーレーの中ではコンパクトですが、それでも車両重量が250kgほどあるため取り回しや扱いに不安のある初心者の方は一度近隣のバイク販売店でまたがってみるとよいでしょう。
ただ、同じ車重の他のバイクに比べれば、シート高の低さなどからバイクを支えるのは容易。
実際に跨ってみれば、そのことも体感できると思います。
中古車だから理想のハーレー883が選べる
人気の883にたくさんの選択肢があることが、おわかりいただけたのではないかと思います。
中古車であれば、こういったモデルを比較しながら選ぶこともできます。
この記事を読んでから実際に中古車を見てみれば、883のことがもっと理解できるはず。
じっくりと探せば、自分にピッタリの883が見つけられるかもしれません。
今年こそ、憧れのハーレーライダーになってみてはいかがでしょう?