勝手に指標

  • 秘境感
    ★★☆☆☆
  • 天空感
    ★☆☆☆☆
  • 潮風感
    ★★★★★
  • 爽快感
    ★★★★★
  • 根性感
    ★☆☆☆☆
  • 開放感
    ★★★★☆

まさにライダーの聖地
青が金に染まる感動の黄昏へ

九州屈指の大都市博多より約1時間。玄界灘に突き出した糸島半島は、大都市直近にも関わらず豊かな自然風景を楽しめる定番の観光地だ。

関東での伊豆及び、関西での淡路島といった位置付けと言っても良いだろう。“半島”と呼ぶには突出感は少々ないながら、透明度の高い透き通った海と潮の香抜群の爽快ロード。

シーサイド感たっぷりのツーリングを楽しむには絶好の地域なのである。そのせいかこの地域はライダー達の聖地としても有名な場所なのだ。

休日は多くのライダー達が行き来する糸島半島。その中心的メインルートが今回ご紹介する県道53号線だ。

このルートは通称“志摩サンセットロード”と呼ばれており、玄界灘を望みつつ半島北部を周遊するレイアウトとなっている。総延長は約33km。

マップ上で一見するといわゆる“シーサイドロード”っぽく感じるかもしれないが、実は海岸直近を走る区間は4ヶ所に途切れており、シーサイド区間もそこまで長くはない。

しかしそれが故、風景変化が多彩で飽きの来ない景色感が特徴的なのだ。

海岸線沿線は確かに爽快感抜群ながら、風景は単調になりがち。海岸沿い絶景ロードでも“飽き”を感じるルートは意外と多いのだ。

志摩サンセットロードは海岸・田園地帯が絶妙に混在。道路様相も高規格2車線から1.5車線険道部まで多くの要素が織り込まれており、比較的短めのルートながら満足感は非常に高い。

正直、全国的地位においては決して有名とは言えないルートだ。国内屈指の絶景が控えている訳でもなく、ルート上に大感動の展望が広がる訳でもない。だが、彩りが豊かなのだ。

キーワードはやはり海。海岸沿いは当然ながら、田園地帯でも林間ルートでも海風景がチラ見できる。

海岸ルートを走っている…という潜在意識を常に持ちつつも、他の景色も多彩に楽しめるのだ。言わばツーリングルートの幕の内弁当といったところだろう。

また、大都市を直近に控えている割には交通量も少な目。休日でも比較的爽快なライディングを楽しめるのも嬉しいとこだろう。

ハイライトはやはり半島北部の桜井二見ヶ浦一帯。白亜の鳥居越しに眺める夫婦岩の景観は大定番の絶景スポットでもある。
沿線にはカフェ等も散見され、観光地的イメージも強いが、それも含めてこの風景と道を楽しむのが糸島流なのだ。

また、糸島は邪馬台国立地の候補説もある程、古代より歴史も深い。寺社巡りやディープなスポットも多く、その手のマニアにもお勧めのスポットと言えるだろう。
そして、最上の名物は夕陽。日中の美しい青の海も素晴らしいが、糸島が最も輝くのは夕暮れ時なのだ。

“サンセットロード”の名の通り、その夕陽は感動的。黄昏時のルート沿線海岸は全域が黄金色。青が金へと変化する幻想的な光景を楽しめる。
小粒ながら、強烈な印象と感動を楽しめる志摩サンセットロード。この道もバイクでこそ走っておきたい絶景ロードの一つとして強く推薦したいルートなのである。


志摩サンセットロードの総延長は約33km。決して長大なルートではないが、風景変化に富み飽きの来ない景観が特徴的。海岸沿いが楽しめる箇所は4ポイントだ。

沿線の絶景ポイントの一つ火山(ひやま)。ここはかつて大宰府に急を知らせるための狼煙台があった場所。未舗装路を走破する必要があるが、展望感抜群の絶景地だ

糸島の定番観光スポットになったロンドンバスカフェ。本物のロンドンバスを改装したカフェ。2階部分で喫茶軽食が頂ける。SNSでも有名のスポットだ。

ジェラートが特に有名なロンドンバスカフェだが、軽食も中々人気。中でもホットドッグはボリューミーかつ絶品!コーヒーと共に見晴らしいの良い店内で頂こう。

糸島の潤神社・二宮神社・櫻井神社の3社は、メンバーの苗字にかけた“嵐”の聖地とも言われており、ファン達にとっては聖地巡礼のスポットとしても有名だ。

糸島半島では古くより製塩も盛ん。流下式塩田により海水を濃縮して“かん水”を生成。工房とったんは現存する半島唯一の製塩所だ。

マップ

  • 33.638880, 130.197112
  • 12
  • 16
  • 5
  • 36.814725, 137.042106
  • 35.951204, 137.385788

大きい地図はこちら

  • in-out
  • ビューポイント
  • スポット(レストラン、道の駅、温泉、etc.)

ロードデータ

交通量

大都市直近であり、休日の交通量は多めながら渋滞は発生し難く、比較的快走が楽しめる。しかし、マイカー等も多く時間帯によっては流れの悪い箇所も発生。要注意だ。

路面

高規格~旧線形路まで様々な路面が混在。高規格2車線路は流れの早い爽快ロードながら、山間部の1.5車線区間は険道状態だ。とは言え、路面の荒れは少なく初心者でも安心して走行可能。

筆者プロフィール

神田 英俊

内外出版社発行、隔月刊ツーリング雑誌“MOTOツーリング”誌のコンセプター兼編集長。“旅人による旅人の為の雑誌”を基本コンセプトに、全国のDEEPな旅ネタを更に深く掘り下げて取材・掲載している。個人的なバイク趣向はオフロード。季節を問わず、主にキャンプを基軸とした旅が中心。冬季北海道ツーリングの常連でもある。バイクと共に温泉もこよなく愛しており、温泉ソムリエの資格を持つ秘湯巡礼ライダーでもある。