伊豆が関東版バイクの聖地ならば関西版のそれが淡路島だ。
伊豆は本土の一部だが、淡路島は完全な島。
しかし、関西主要都市部に極めて近いため日帰りで訪れるライダーも大変多く、関西トップクラスの人気ツーリングスポットなのだ。

たこフェリーの廃便により、原付や自転車での渡島が不可能となった時期もあったが、現在は淡路ジェノバラインが就航。
高速船のため船は小さくなったものの、かつてのように明石~岩屋を連絡する手段も復活した。
そのため原付を含め全てのライダーを対象とした、日本屈指とも言えるバイクの聖地とも言えるのだ。

淡路島旅の魅力は、何と言っても島の海岸風景。
定番ルートはその外周を巡るコースだ。
通常はどうしても風景が単調になりがちだが、淡路島は海岸風景が非常に多彩なのが特徴だ。
ビーチに岩礁、断崖トラバース。様々なシーンが楽しめる。

また、雰囲気も島の東と西で大きく異なるのも印象的。
観光開発されリゾート感のある東海岸に、昔ながらの風景が多数残る西海岸。
同じ島内でも地域により多彩な風景変化を楽しめる。
外周一周は約150kmとボリューム抜群ながら、飽きを全く感じない事が大きな魅力と特徴の秘密だろう。
行き交うライダー同士では自然とヤエーが交わされ、旅情も抜群! 陽光と多彩な島情緒が溢れる淡路島の魅力を存分に楽しもう。

淡路島のおすすめツーリングロード

南淡路水仙ライン


島の南部沿岸に沿って走る海岸ルート。総延は約44kmと走り応えも抜群。淡路島旅でハイライトとなる絶景道で最も人気の高いルートだ。
断崖直下の一本道。隣はひたすら海。国土発祥の地と言われる沼島を遠望しつつ走る。絶海の孤島感と同時に秘境感すら覚える冒険感抜群のシーンが魅力だ。
交通量は極めて少なく快走度は抜群ながら、休憩・食事スポットが皆無。ランチ等のスケジュールに要注意だ。

淡路サンセットライン


島西部沿岸に沿って走る総延約54kmの県道ルート。集落をつなぎつつ島南北をほぼ縦断するロングルートだが、主に旧線形路で構成されており鄙びた雰囲気が特徴。
海岸直近を走るシーンは絶景感抜群だ。島外周の生活道路だが四季により風景変化が非常に多彩。旅情抜群の旅路が楽しめる。
東海岸と比べ交通量が少なく快走できる上、観光地化されていないスポットが多くバイク旅にはこちらがお勧め。

うずしおライン


内陸部は田園風景を楽しめる区間もあるが概ね街路的様相で魅力的なツーリングロードとは言い難い。が、鳴門岬へ向かう数kmの海沿いロード(ピストン区間)は淡路旅で屈指のハイライトゾーンとなる。区間は短いが目前に飛び込む大鳴門峡の雄姿は迫力抜群!観光車両も多く大鳴門橋記念館や道の駅界隈では渋滞も発生するが絶景感は淡路島屈指だ。ある意味定番ルートだが、やはり一度は走っておきたい。

淡路島ツーリングデジタルガイド

https://www.google.com/maps/d/u/0/edit?hl=ja&mid=13FBC0ohL_J0qd2Gz-B0buKeSybrFGk4&ll=34.402679947189114%2C134.8393765&z=10

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淡路島特選ツーリングスポット10選

うずの丘 大鳴門橋記念館



兵庫県南あわじ市福良丙936-3
神戸淡路鳴門自動車道 淡路南ICより1.2km/3分

大鳴門峡を一望する展望観光施設。淡路島全域の特産品やお土産はもちろん、郷土名物グルメを堪能できるレストランも併設。淡路旅では絶対に立ち寄っておきたいスポットだ。
特産品のタマネギを模した“おっ玉葱”は人気のフォトスポット。
ただし、ランチ時は渋滞も発生するため、早め到着がお勧め。

五斗長垣内遺跡



兵庫県淡路市黒谷1395
神戸淡路鳴門自動車道 北淡ICより3.5km/7分

弥生期の鉄器製造遺跡では国内最大規模の歴史的遺構。建屋跡は23棟。内12棟からは炉床の遺構が出土。
矢尻やタガネといった鉄器も出土しており、施設内には実際の出土品も展示(一部レプリカ)されている。
年代的には倭国大乱の時期。淡路島が軍事的・政治的にも非常に重要な場であった事を示す遺跡だ。


施設内には発掘された鉄器(一部レプリカ)の展示もあり、当時の鉄器を見学可能。
写真左は出土品を当時の様相で再現された復元矢尻。鋭さが際立つ。

先山千光寺



兵庫県洲本市上内膳2132
神戸淡路鳴門自動車道 淡路島中央ICより5.2km/15分

洲本市を一望する大展望を楽しめる絶景スポット。長い石段に苦労するが境内直下からは驚愕の大パノラマが広がる。
観光客も少なく穴場ながらその風景は超弩級!参道直下の岩戸神社には巨大な磐座が鎮座しており、天ノ岩戸伝説発祥の候補地とされるスポットでもある。

由良要塞



兵庫県洲本市由良町
神戸淡路鳴門自動車道 洲本ICより17.4km/30分

生石公園の由良要塞は、明治22年より紀淡海峡を跨ぎ淡路島と和歌山県加太地区にかけて建設された国内髄一の要塞だ。
戦後、アメリカ軍により爆破処分されたが、現在は戦跡公園として整備されており、砲台や弾薬庫といった象徴的な施設を存分に見学可能。紀淡海峡を見渡す絶景地でもある。


第一砲台跡に整備された第2駐車場には、同砲台にて使用された斯加式27糎加農砲(フランス・シュナイダー社製)の破断砲身が展示されている。

旧花輪跨道橋



兵庫県淡路市室津
神戸淡路鳴門自動車道 室津PA上り線より40m/1分

日本初の80キロ高張力鋼を用いて建造された実験橋だ。
昭和39年に本四連絡橋建設の実用実験橋として製作され、千葉県の京葉道路花輪IC跨道橋として運用。平成2年まで実験・研究使用されその後この地へ移設されたのだ。
言わば世界的連絡橋の礎となった産業遺産だ。室津PA上り線より徒歩にてアクセス。

伊弉諾神宮



兵庫県淡路市多賀740
神戸淡路鳴門自動車道 津名一宮ICより3.3km/5分

淡路島は“国産み神話”では日本最初の国土とされている。その創造神であるイザナミとイザナギを祀る国内最古級の神社がココだ。
日本書紀・古事記にも記されており、創建年は神代とされる淡路島観光の目玉的スポット。
太古の自然信仰・太陽信仰の面影も残しており、他神社とは一風変わった深淵な場所なのだ。


境内には他の神社と伊弉諾神宮を中心とするレイラインとの位置関係を示す碑が。
太陽信仰との関係性も妄想される。厳密に距測すると位置関係が若干違う事はナイショだ。

枯木神社



兵庫県淡路市尾崎220
神戸淡路鳴門自動車道 北淡ICより3.5km/5分

香木の発祥地とされる神社。595年(飛鳥時代)、この場所に漂着した流木を島民が燃やしたところ、大変良い香りが漂いその香木を朝廷に献上したと言われている。
この香木は聖徳太子が仏像に加工し世尊寺に奉納されたと伝わる。
ちなみに枯木神社の御神体も同香木との説も。

○○飛行場跡



兵庫県南あわじ市松帆脇田134
神戸淡路鳴門自動車道 西淡三原ICより1.7km/4分
一部が伏字で記される謎の飛行場跡。昭和18年に建設された陸軍航空隊の飛行場だが、軍機秘匿のため当時“マルマル”と呼ばれていた事がその由来。戦後もこの習慣は残り、正式名の“陸軍由良飛行場跡”では知名度皆無だが“マルマル跡”と話せば一瞬で理解してくれるのだ。現在、その面影は仄かだが貴重な遺構なのである。


現在飛行場跡に建つ民家の塀に使用されているのは飛行場排水路の上蓋だ。大量に発生した資材の戦後活用の一つだが、奇しくも保存遺構となっている。

北淡震災記念公園 野島断層保存館



兵庫県淡路市小倉177
神戸淡路鳴門自動車道 北淡ICより6.2km/9分

当時戦後最大の震災となった阪神淡路大震災の様々な記録を保存したメモリアルホール。
断層・被災家屋がそのまま展示されており、VRで震度7を体験する事もできる。
この災害を後世に伝えると共に、来るべき南海トラフ大地震へ備えた映像や防災用品の学習も可能だ。
可能な限り訪れておきたい鎮魂の地でもある。

震源の野島断層直下にて凸凹に波打った当時のアスファルト路面をそのまま保存。地震の威力と脅威をリアルにその目で見学可能だ。

焼あなご屋亘



兵庫県淡路市志筑3266-1
神戸淡路鳴門自動車道 津名一宮ICより3.1km/5分

穴子は淡路島地魚の代表格。近海の海底は砂泥質が多く、恰好の漁場となっているのだ。
他の地魚も抜群に美味いが、やはり穴子は格別!島のソウルフードの一つなのだ。
香ばしく焼き上げ甘タレで味わう絶品穴子。しかもデカい!島内には焼き穴子専門店も多数。
訪れた際は絶対に頂いておきたい。

筆者プロフィール

神田 英俊

内外出版社発行、隔月刊ツーリング雑誌“MOTOツーリング”誌のコンセプター兼編集長。“旅人による旅人の為の雑誌”を基本コンセプトに、全国のDEEPな旅ネタを更に深く掘り下げて取材・掲載している。個人的なバイク趣向はオフロード。季節を問わず、主にキャンプを基軸とした旅が中心。冬季北海道ツーリングの常連でもある。バイクと共に温泉もこよなく愛しており、温泉ソムリエの資格を持つ秘湯巡礼ライダーでもある。