勝手に指標

  • 秘境感
    ★★★★☆
  • 天空感
    ★★☆☆☆
  • 潮風感
    ☆☆☆☆☆
  • 爽快感
    ★★★☆☆
  • 根性感
    ★★★☆☆
  • 開放感
    ★★★☆☆

四季の多彩な風景こそ絶景の原点
日本の原風景を辿る風景街道

秩父・奥秩父方面は、関東の奥座敷とも言える秘境感抜群の地域。そのエリアを東西に縦貫するメインルートがこの国道140号だ。
近世以前は“秩父往還”と呼ばれ、信州・甲州方面と関東平野を連絡する重要な交易路だった古道だ。しかし、道路整備の困難さが故、交通の主役が“クルマ”となった近代は通行困難ルートだった時期もあったのだ。雁坂トンネルの開通により甲州方面の利便性は劇的に改善されたが、信州方面へは現在も車両通行は困難な状況だ(不可能ではない)。しかも、首都圏の主要街道としては珍しく酷道区間すら現存する、ある意味レアな街道でもある。しかし、格好の山岳ワインディングと首都圏直近の秘境地として、関東ライダーにとっては伊豆や道志に並ぶ大定番のバイクロードとも言えるのだ。

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街道より若干外れつつも国道と並行に走る県道部にも密かな絶景ポイントが点在。中でも寺坂の棚田付近は特にお勧め。秩父を象徴する武甲山が目前に迫るダイナミックな風景を楽しめる。

 沿線に多くの観光地を擁している事もあり、土地柄的にも“絶景ロード”というワードに疑問を感じるかもしれない。だが、実際にこのルートを走ってみれば一目瞭然!荒川沿いの河川風景や、深緑・紅葉の美しい山岳絶景。際立った派手さは無いものの、日本の原風景を感じる絶景の宝庫なのだ。そして何と、このルートは国土交通省が認定している日本風景街道の一つにも選定されているのである。言わば“お墨付き絶景ロード”といったところなのである。

このルートのハイライトはやはり奥秩父の山岳部だろう。我々ライダーにとっては、山間部を抜けるこの典型的なワインディングロードは一番の魅力と言えるに違いない。

秩父山脈を横断する秩父路は絶好のワインディングルート。決して幅広とは言えないが、中速コーナー中心の構成で、初心者でも比較的走りやすい線形が魅力。四季に応じた多彩な風景変化を楽しめる。

山間部の秘境地帯ながら完全2車線の舗装路。タイトコーナーは皆無で中速コーナー中心の構成のため、初心者ライダーにとっても気負わずライディングを楽しめるに違いない。

また、この秩父路には旧道と新道の2つのルートが存在している。“日本の道百選”にも選ばれた、昔ながらの秩父往還の雰囲気を楽しみたい方は旧道へ。

雷電廿六木橋を象徴とする、快走バイパスルートを走りたい方は新道へ。
1路線で2つの味を楽しめるお得なバイクロードでもあるのだ。ここは幽玄の山中を縦貫する本格的な秘境地。

にもかかわらず、ここまで都市部に近い場所で気軽に本物の秘境を楽しむ事ができるのである。このロケーションも秩父路が人気を誇る理由の一つと言えるだろう。

また、山岳部のみならず、河岸段丘を超えてゆく荒川沿いのルートもお勧めだ。緩やかないくつもの丘を超えて走る様相はダイナミックさ抜群!
交通量は多少あるものの、渋滞が発生する訳ではなく、交通の流れに乗りつつ穏やかな風景を楽しめる。

秩父路を一言で例えるならば“幕の内弁当”といったイメージかもしれない。
強烈な惹きには若干乏しいかもしれないが、安定感と飽きの来ない上質さを併せ持った魅力が特徴と言えるだろう。
多彩な風景変化がもたらす懐かしさすら感じる景観と適度なエキサイティング加減は、週末のバイクツーリングには最適なフィールドに違いない。
“一生に一度は見ておくべき絶景”も確かに素晴らしい。

しかし、何度訪れても飽きのこない風景…言い換えれば、四季に応じ多彩な表情を手軽に楽しめる風景は“身近な絶景”と言ったところだろう。
かつてはありふれた風景だったのかもしれない。しかし秩父路を走ると、これこそが大事な風景だった事に気が付く。心の原点回帰を感じる道。これこそが秩父路の魅力なのだろう。

秩父路 ツーリングスポット

ループ橋 雷電廿六木橋

秩父路山岳部を象徴するランドマークとも言える雷電廿六木橋。平成10年に竣工したバイパス路線だ。高低差120mを、計615mにも及ぶ2本の橋梁で連絡する。秩父路のハイライトシーンでもあり、多くのライダーが行き交う“バイクの聖地”の一つだ。

三峰神社

奥秩父の民族文化にも大きく関わっているのが秩父往還よりアクセスする三峰神社だ。珍しい三ツ鳥居と共に狼信仰で有名な社。狛犬が狼である事も興味深い。創建は4世紀頃と言われる古社だが、秩父一帯の文化醸造に大きく影響した。

バイク弁当の大滝食堂

美味い名物の多い秩父方面だが、ライダーならではのグルメが大滝食堂の“バイク弁当”だ。バイクのタンクを模した容器が人気の弁当で、食後は容器を持ち帰れるのも嬉しい。いわゆる“豚の唐揚げ弁当”だが、甘辛いタレが絶品!行列必至ながら絶対にお勧めだ!
大滝食堂
埼玉県秩父郡小鹿野町般若360-1 TEL:0494-26-6819
11:00~14:45/18:00~21:00 不定休 ※売切次第終了

美の山公園 雲海

展望スポットは意外と少ない秩父路ながら、沿線の美の山公園からは秩父市街一望の大展望を楽しめる。
雲海の名所であると同時に“日本の夜景100選”にも選定されており、秩父路探訪では外せないスポットだ。

マップ

  • 35.955436, 138.904230
  • 11
  • 17
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大きい地図はこちら

  • in-out
  • ビューポイント
  • スポット(レストラン、道の駅、温泉、etc.)

ロードデータ

交通量

甲州と武州をつなぐ唯一のルートと共に観光・生活道路でもあるため、全体的に交通量は多め。山間部は快走可能ながら、休日はマイカーも多い。とは言え、渋滞する程ではなく快適なツーリングが可能だ。

路面

山岳部は旧線形部も多いが全線舗装の完全2車線路。別ルートの旧秩父往還区間は1~1.5車線の酷道部が現存するが、こちらも全線舗装。山岳路ながら走りやすい線形で、初心者でも比較的安心のルートだろう。

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筆者プロフィール

神田 英俊

内外出版社発行、隔月刊ツーリング雑誌“MOTOツーリング”誌のコンセプター兼編集長。“旅人による旅人の為の雑誌”を基本コンセプトに、全国のDEEPな旅ネタを更に深く掘り下げて取材・掲載している。個人的なバイク趣向はオフロード。季節を問わず、主にキャンプを基軸とした旅が中心。冬季北海道ツーリングの常連でもある。バイクと共に温泉もこよなく愛しており、温泉ソムリエの資格を持つ秘湯巡礼ライダーでもある。