勝手に指標

  • 秘境感
    ★★★☆☆
  • 天空感
    ★★☆☆☆
  • 潮風感
    ★★★★★
  • 爽快感
    ★★★★☆
  • 根性感
    ★★★☆☆
  • 開放感
    ★★★★☆

西伊豆特有のダイナミックな海岸風景
富士を遠望しつつ断崖絶壁をトラバース!

 伊豆半島西部の海岸沿いを南北に連絡する大動脈でもあり、ライダーにとっては定番のツーリングロードとも言える国道136号線。その中で最もハイライトと呼べるのがこの“富士見彫刻ライン”だ。総延は、松崎町から雲見温泉までの約4km。距離的にはかなり短めで、一見物足りない印象すら感じてしまいがちではあるが、小粒ながら驚愕のロケーションを誇る絶景ロードなのである。

 その一番の見どころは、西伊豆の特徴でもある豪快な海岸だ。数十mにもなる断崖絶壁上をトラバースするワインディングより見渡す、荒々しい岩礁風景は見事の一言。古来より手つかずの自然海岸の美しさとマリンブルーに輝く海の美しさに絶句する事に違いない。
 また、その道路線形もライダーにとっては大きな魅力だろう。土日や連休中も比較的混雑の少ない国道136号線ながら、その大部分はリエゾン区間とも言え、ほぼ冗長な様相だ。しかし、松崎町を過ぎ富士見彫刻ラインに入るなり、その様相は一変する。ブラインドカーブの連続に加え、豪快なアップダウンの連続。路面は整った完全舗装の為、大型ツアラーでも全く問題としないが、勾配とタイトコーナーが連続する古い道路線形は初心者ライダーにとっては少々手強さを感じる場合もあるだろう。

 しかし、この連続コーナーこそ、このルートのメインディッシュ。車体を軽快に切り返し、一つ一つ丁寧にコーナーをクリアする。潮の香りを微かに感じつつ、松の隙間より望む駿河湾。その先には雄大な富士。
絶景の要素を全て満たした抜群のロケーションの中を、ワインディングロードと格闘するこのルートは、終着の雲見温泉まで走ると、若干身体の暑さすら感じてしまう程、ライダーの本能に突き刺さるアツい道なのだ。
 ちなみに“富士見彫刻ロード”のネーミング由来は、地元の彫刻家や学生さん達が沿道に数々の彫刻を設置している事からきている。彫刻そのものは評価の分かれる所ではあるが、このロケーションと走り応えは間違いなく国内屈指の見事さ。伊豆旅では絶対に外せないルートの一つだろう。


  • 断崖上をトラバースする豪快なワインディングロードが一番の魅力。松林・駿河湾・富士山がコラボした絶景を思う存分堪能できる。総延は約4kmと短めだが、走り応えは十分だ。


  • 石部より脇道へそれると、棚田風景が楽しめる。道は狭いながらも大型バイクでも安心して走行可能。但し、道は狭いのでルーティングはしっかり取っておこう。


  • 駿河湾を望む山間部に突如開ける“石部の棚田”。標高120~250mに約370枚もの田んぼが広がる伊豆屈指の古き良き田園だ。東日本では珍しい石積みの棚田であると共に、晴れた日には富士山や南アルプスを望むこともできる。


  • 雲見温泉の先にある“雲見千貫門”と呼ばれる隠れた名所。隆起したかつての海底火山が浸食を受け、異世界感抜群の異様を放っている。少々歩く必要があるものの、富士見彫刻ラインを走るなら絶対に抑えておきたいスポットだ。


  • このルートで絶対に外せない温泉がこの雲見温泉露天風呂。まさに海浜温泉。ロケーションは抜群だ。当然、源泉掛け流しでしかも無料。悪路を少々歩く必要があるが、トレッキング気分で楽しめる程度だ。ぜひ堪能して頂きたい。


  • この地域に伝わる古来よりの名物がこの“鯵のまご茶漬け”。細かく叩いた鯵の身をタレと薬味で混ぜ、熱いダシごとご飯と混ぜて頂く、古くからの漁師料理だ。シンプルだからこそ素材の美味さが際立つ逸品。一度試してみよう。

    さくら
    静岡県賀茂郡松崎町松崎22-3
    TEL:0558-43-1532
    11:00~20:00 不定休

マップ

  • 34.732454, 138.747523
  • 13
  • 18
  • 11
  • 34.732454, 138.747523

    富士見彫刻ライン~国道136号富士見彫刻ライン~

  • 34.718865, 138.741305

    雲見千貫門

  • 34.749359, 138.776459

    さくら

大きい地図はこちら

  • in-out
  • ビューポイント
  • スポット(レストラン、道の駅、温泉、etc.)

ロードデータ

交通量

伊豆周遊の大動脈かつ、観光地の雲見温泉付近ながら休日や連休中でも交通量は比較的少ない。アップダウンが激しくやブライドカーブが多い為、見通しには注意だ。

路面

舗装は大変綺麗ながら、小落石には注意が必要。完全2車線ながらカーブが多い為、はみ出しには互いに細心の注意をしよう。路肩が狭く、駐車スペース以外での停車は厳禁。

◆公式SNSにて更新情報をお届け!

筆者プロフィール

神田 英俊

内外出版社発行、隔月刊ツーリング雑誌“MOTOツーリング”誌のコンセプター兼編集長。“旅人による旅人の為の雑誌”を基本コンセプトに、全国のDEEPな旅ネタを更に深く掘り下げて取材・掲載している。個人的なバイク趣向はオフロード。季節を問わず、主にキャンプを基軸とした旅が中心。冬季北海道ツーリングの常連でもある。バイクと共に温泉もこよなく愛しており、温泉ソムリエの資格を持つ秘湯巡礼ライダーでもある。