静岡県のツーリングエリアの代表格といえばやはり伊豆半島だ。
しかし、静岡県には他にも沢山の人気エリアがある。
今回は伊豆以外のお勧めツーリングエリアをピックアップしよう。

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静岡県は北は信州、南は太平洋に面しており、山も海も両方の魅力が楽しめる。
また、国内一の霊峰、富士山も擁しており非常に多彩なツーリングシーンがある。
そこで、大きく3エリアに分けてご紹介させて頂こう。

まず海岸エリアだ。駿河湾から御前崎を経て太平洋沿岸へ。浮世絵にもなった主に東海道沿線のルートだ。こちらは砂浜に砂丘から断崖まで風景変化が多彩。定番のツーリングコースも多い上、アクセスも容易で冬季も多くのライダー達が行き交う。

次は富士山周辺エリア。霊峰富士の裾野をぐるりと周回するようにルートが伸びており、関東・東海エリア屈指の絶景ロードだ。
近年は外国人観光客も多いが、穴場的スポットも数多くあり、国内トップクラスの人気ツーリングエリアと言えるだろう。

最後は奥静岡、通称“オクシズ”と呼ばれる山間部のエリアだ。
主に大井川沿線のルートだが、壮大なピストンルートとなっている。
だが、秘境感抜群の山岳風景や吊り橋、沿線を走るSLと非常に多彩な風景を楽しめる上、走り応えも抜群。茶畑の特徴的な風景も相まって旅情抜群のエリアだ。

多様なシーンを楽しめる静岡県。
休日にふらっと行くも良し。長期連休でじっくり攻めるも良し。
訪れる度に新しい発見がある魅惑のツーリングスポットなのだ。

定番!静岡のおすすめツーリングロード3選

県道416号線旧国道150号区間 ※海岸エリア


海岸エリアのお勧めルートは数多くあるが、中でも非常に穴場なポイントが県道416号線の旧国道区間だ。
このエリアは大崩海岸と呼ばれており、南アルプスが海岸直近まで迫るダイナミックな光景が特徴。
頻繁に崩落が発生する箇所で通行止も多いが自然の厳しさを実感するジオスポットとも言える。

ちなみに周辺の山塊は焼津アルプスと呼ばれており、ここを走る車道・鉄道は全てトンネルで抜けており、その総数は何と9本。
内、明治期に竣工した2本は廃道となり波浪の浸食により崩壊しているが、その光景が一部ファンには聖地ともなっている。
現在この旧道区間は崩落により一部通行止め。ピストンルートとなっているが、象徴的な石部海上橋を走るだけでも訪れる価値はあるだろう。

富士宮道路 ※富士山麓エリア


富士山麓西部を縦断する高規格ルート。
富士五湖方面や東名・新東名高速にもダイレクトに接続しており、富士山麓周遊ツーリングの基幹となるルートだ。

霊峰の威容を遠望しつつ走る国内屈指の絶景ロードで、人気度も非常に高い。
富士宮市市街地をパスするバイパス的な役割も兼ねており市街地周辺では非常に交通量が多い路線。

また、市街地北部の一部区間は自動車専用道路となっており、原付走行不可の区間がある事にも注意。
しかし、富士山西麓付近は牧場と高原が広がる絶景地帯。中でも朝霧高原を抜ける区間は感動的な絶景ロードとして東日本屈指の人気を誇るバイクロードだ。
渋滞の心配はほぼ無いが、休日の観光車両は多く、ゆとりと余裕を持ったライディングを心掛けよう。

県道60号線等大井川沿線 ※奥静岡エリア


大井川沿いを遡上するリバーサイドロード。
金谷駅より最深部の畑薙湖までは片道約92km。縦貫しておらずピストンルートのため戻ってくる必要があるが、風景変化に富み走り応えは抜群だ。
また大井川鐵道のSLも平行して走っており、中流域では日本の原風景感抜群の情緒を味わえる。

上流域でも井川湖までは2車線化されており、秘境感抜群の光景ながら快走できる事も特徴だ。
以降は狭路区間も増えるが、険路感は薄めで初心者でも安心感が高いルートだろう。
国内屈指の山岳地帯ながら川沿いのため激しいアップダウンは皆無。
また、観光スポットや宿泊施設も点在しており、ある意味お手軽に秘境を楽しめる。

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静岡特選ツーリングスポット10選

薩埵峠


静岡県静岡市清水区由比西倉澤
東名高速道路清水ICより8.5km/13分

富士山の雄姿と由比ガ浜の展望が見事な日本屈指の絶景スポット。
歌川広重の浮世絵“東海道五十三次之内”でも由比宿の風景として描かれており、日本を代表する風景と呼べる絶景だ。
直近までバイクで行く事が可能でアクセスも良好。定番ながら一度は訪れたい景色だろう。

清水吉原の雲海富士



静岡県静岡市清水区吉原
新東名高速道路清水いはらICより6.5km/14分

雲海と富士山が醸すダイナミックな風景が美しい秘密のスポット。
雨天後の晴天早朝には比較的高確率で雲海に遭遇できる事でも人気だ。
茶畑が密集する静岡県らしい風景も絶景感抜群。
道幅は狭く周辺は農地のため、マナー厳守で。特に畑内には絶対に立ち入らない事。

駒門風穴



静岡県御殿場市駒門69
東名高速道路上り線駒門PAより600m/徒歩8分

東名高速駒門PA(上り線)より徒歩で行ける洞窟。
富士山の噴火によって形成された奥行約290mの溶岩洞窟で国定天然記念物に指定。
観光客は少な目で穴場的ながら本格的な鍾乳洞となっており想像以上に迫力抜群!PAから案内看板もありお手軽に立ち寄り可能だ。

大崩海岸 石部隧道跡



静岡県静岡市駿河区石部
東名高速道路静岡ICより7.3km/11分

廃道ファンの聖地とも言える崩落隧道。その正体は明治22年竣工、昭和19年に廃線となった東海道本線の隧道跡だ。
なんとこの隧道、廃線後は昭和37年まで車道として転用されていた。
現在は放棄・倒壊の一途を辿る。
絶景?ながら、大変危険なため立ち入りは禁止だ。

蓬莱橋



静岡県島田市南2丁目地先
新東名高速道路島田金谷ICより9km/15分

1879年に竣工された木造人道橋。全長は897.4m、橋脚はコンクリートに改修されているものの、現存する世界で最も長い木造橋としてギネスにも認定されている。
通行料金は100円。歩行者と自転車のみ通行可能だが、世界一を誇る木造橋をぜひ散策してみよう。

大井川鐵道



静岡県島田市金谷新町2126-1
東名高速道路静岡ICより4.5km/8分

動態保存されたSLを運行する大変貴重な鉄道路線。
SLのみならず工業遺産級の機関車を多数運行しており鉄道ファンの聖地とも言える。
写真は昭和33年に南海鉄道高野線の急行・特急用として製造された通称“ズームカー”。
こちらも大人気の車両だ。予約は最低2日前までに!

井川大橋



静岡県静岡市葵区岩崎
新東名高速道路新静岡ICより53.8km/82分

井川湖に架かる全長258mの吊り橋。奥静岡エリア、通称“オクシズ”の象徴的な橋で2tまでの車両通行が可能ながら幅は僅か2.5m。
スリル抜群の湖上風景が楽しめるが細心の注意を。オクシズ百景にも選定されており、大井川沿線の象徴的なツーリングスポットの一つだ。

奥大井湖上駅(展望所)



静岡県榛原郡川根本町犬間
新東名高速道路静岡スマートICより43.9km/64分

国内屈指の秘境駅として有名な奥大井湖上駅の絶景を展望できるスポット。
駐車場からは徒歩で奥大井レインボーブリッジを渡り奥大井湖上駅まで行く事も可能。
駅にはカフェも併設されており、絶景と秘境感を同時に楽しめる。オクシズならではの感激スポットだ。

若獅子神社



静岡県富士宮市上井出2317-1
富士宮道路上井出ICより550m/2分

サイパン島守備隊、戦車第9連隊の生存者である下田四郎氏が私財を投じて日本に帰還させた、同連隊所属の97式中戦車を御神体として祀る神社。
昭和59年、陸軍少年戦車兵学校の跡地に創建。
祭神は陸軍少年戦車兵の教官や生徒、六百有余だ。現在も門柱が現存する。

龍泉荘 御殿乳母の湯



静岡県静岡市葵区平山136-2
東名高速道路清水ICより11.2km/16分

非常に穴場な温泉としてファンの多い浴場。単純硫黄泉の冷鉱泉を加温して投入するスタイルながらかけ流しの贅沢を楽しめる。
年季の入った建屋だが、手入れされており湯治場的雰囲気抜群。
食事も提供しており、まったりゆっくりと楽しみたい昔ながらの温泉だ。

筆者プロフィール

神田 英俊

内外出版社発行、隔月刊ツーリング雑誌“MOTOツーリング”誌のコンセプター兼編集長。“旅人による旅人の為の雑誌”を基本コンセプトに、全国のDEEPな旅ネタを更に深く掘り下げて取材・掲載している。個人的なバイク趣向はオフロード。季節を問わず、主にキャンプを基軸とした旅が中心。冬季北海道ツーリングの常連でもある。バイクと共に温泉もこよなく愛しており、温泉ソムリエの資格を持つ秘湯巡礼ライダーでもある。