定額割引「ツーリングプラン」の実施を経て、いよいよ定率割引プランがスタート! 期間限定かつ条件付きですが、軽自動車との車種区分の分離に向けて重要な一歩です。みんなで積極的に利用することが大事ですよ。

1.バイクの高速道路定率割引プランの現状とは?


バイクの高速道路料金が半額になるってどういうこと? まずは、2022年4月から予定されている定率割引プランについてまとめます。

二輪車高速道路料金 定率割引プラン(予定) ※条件など変更される可能性あり

期 間 2022年4~11月の土曜・日曜・祝日
路 線 ネクスコ各社の高速道路
車 両 ETCまたはETC2.0車載器を搭載、登録済みの二輪車
申込み方法 インターネット(専用サイト)による事前申し込み
適用条件 1回の乗り入れで「100km超の走行」を対象に現行料金(軽自動車区分)から37.5%引き
所管官庁 国土交通省高速道路課

●対象期間
現在、予定されているプランの内容は上記になります。定額制プランとして実施されたツーリングプランの利用実態を踏まえて、まずは多くのライダーがツーリングに出かけているオンシーズンのみの実施となるようです。土・日・祝日に限定されたのも、ツーリングプランでは平日の利用が少なかったためです。

●対象路線
道路に関しては、ネクスコ東日本・中日本・西日本の各社が管理する高速道路が対象となる予定ですが、全ての道路がカバーされるのかはまだ未定です。一般有料道路も含め、定額制ツーリングプランに準じたものになると予測されます。

●対象車両と申込み方法
対象車両や申し込み方法も、定額制ツーリングプランに準ずるものと見られています。ETC車載器を購入・装着・登録済みのバイクが対象で、利用方法も、専用サイトでの事前申し込み(スマホ対応)などツーリングプランで使い慣れたものになりそうです。おそらく、利用後のアンケートなども同様に実施されるでしょう。

●適用条件
国交省による定率割引プラン実施の公表後、議論が紛糾しているのがこの条件です。「1回の乗り入れで100km以上を走行しないと適用されない」のです。

例えば、東名高速・東京ICから乗り入れて、そのまま東名高速を走った場合は、沼津IC(東京ICから102.8km)まで走り続けなければいけないことになります。手前の駒門PA(東京ICから91km)にはスマートインターチェンジが設置されていますが、そこで高速道路を降りてしまうと適用外となってしまいます。

首都圏のライダーが多く訪れる一大観光地「箱根」に行くにしても、よく使われるルートである東名高速・東京IC~小田原厚木有料道路~西湘バイパス・石橋ICでは69.6kmにしかならず、定率割引プランの適用外となってしまうんです。

ただし、これらの対象や条件は、良い意味で変更される可能性もありますので、あくまでも現状と考えてください。※これより条件が悪くなることはないと思います

2. 二輪業界からの要望により条件緩和の可能性も


ツーリングライダーの多くは週末や休日に日帰りツーリングを楽しんでいるわけですから、「100km超の走行」という適用条件では、ライダーのニーズや利用実態とかけ離れていることになり、定率割引プランの利用実績も見込めない恐れがあります。利用実績が悪ければ「やっぱり定額プランだけにしよう」とか「そもそも必要ないのでは?」という意見が出てくることも考えられます。

これではいけません。

そこで、二輪業界団体からは、すでに様々な要望が国交省や高速道路各社に寄せられています。業界関係者の話では以下のような論点があるようです。

●二輪業界団体等からの要望(一例)
1. 沖縄県での適用
沖縄県内の高速道路は全長が100kmに満たないが、定率割引プランに含めてほしい
2. 一般有料道路の扱い
首都圏では、第三京浜、東京湾アクアライン、東富士五湖道路などもしっかり含めてほしい
3. 非ネクスコ区間の扱い
東北道(ネクスコ東日本/東日本高速道路株式会社)~首都高(首都高速道路株式会社)~東名高速(ネクスコ中日本/中日本高速道路株式会社)など非ネクスコ管轄路線を含む連続走行は1走行としてほしい
4. 曜日をまたいだ場合
日曜日に申込みをして同日日中に入口から乗り入れて、24時を過ぎてから出口を通過した場合は1走行としてほしい

こうした要望は、ETCを利用する上で避けては通れない、当然の要求とも言えるものです。来年4月のプラン開始当初はこれまでのシステムを使うと見られているため、どこまで対応できるかは不明ですが、将来的にはこうした利用の細部に至るまでを見越して、システム設計をしてほしいものです。

3. 一番重要なことは「こまめに利用すること」

さて、最後にお話しするのが最も大事なことです。これまで実施されてきた定額割引ツーリングプラン、そして来年春から始まる予定の定率割引プラン。来年は、この2つのプランが同時期に実施される可能性もありますが、どちらにせよ重要なことは「ライダーがこまめに利用すること」です。

なぜなら、今後の定率割引プランの内容改善、さらにはその先の、二輪業界としての最終的な目的である「軽自動車との車種区分の分離」も、全てはライダーのプラン利用率にかかっているからです。

ETC車載器の購入・装着・登録にはお金がかかります。車載器本体が防水・防塵・耐震設計である必要を考慮しても、クルマに比べたらずいぶん割高だなと感じます。しかし、各地で行なわれている車載器購入キャンペーンを活用するなどしてお得に装着することもできます。ETC割引や各種プランによって元を取ることもそれほど難しくはありません。

バイクメーカー各社も大型クラスからETC車載器を標準装備とするモデルが増えてきました。個人的には、150ccクラスより上、高速道路を利用できる排気量のバイクには全てETC車載器を標準搭載してほしいくらいです。

■ETC装着車車両による料金所通過 映像

■ETC非装着車両による料金所通過 映像

定率割引プランが始まる前に、ぜひ車載器の購入を検討してみてください。そして、定率割引プランをこまめに利用して、ライダーの悲願である「軽自動車との車種区分の分離」を実現しましょう! 以上、最後はお願いになりました(笑)

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筆者プロフィール

田中淳磨

二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。