バイクの任意保険に入らないとどうなる?お得に入る方法はある?
公開日:2022.08.24 / 最終更新日:2022.08.30
自賠責保険は対象範囲が狭く、他者との事故なら相手のケガしか補償できません。
任意保険なら加入内容によって自分のケガやバイク、相手の車両や物まで補償することができます。
バイクに乗るなら必要? 任意保険とは
バイクには、主に自賠責保険と任意保険の2つの保険があります。
なお、任意保険は保険会社ごとに名称が異なっています。
バイク保険というような名称で呼ばれるものの中には、盗難保険やロードサービスなども含めた総合的な保険となるものもありますが、今回の記事では、交通事故を起こした時の補償に関する任意保険について特化しています。
自賠責保険
自賠責保険は強制保険とも呼ばれ、バイクで公道を走る際に自動車損害賠償保障法という法律に基づいて加入が義務付けられています。
交通事故を起こしてしまった時に、相手方に最低限の救済をすることが目的で、対象は人身事故のみです。
原付バイクでも大型バイクでも加入が必要で、未加入や期限切れには罰則もあります。
自賠責保険の期限切れや未加入で行動を走行した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
無保険での運転は交通違反となり、違反点数6点となり即座に免許停止処分となります。
自賠責保険の証明書を所持していなかっただけでも30万円以下の罰金が科せられます。
自賠責保険は加入時にナンバープレートに貼るためのステッカーが渡され、その表示で加入期限(~年~月まで)がわかるようになっています。
任意保険
言葉の通り、加入するかどうかは任意なので、未加入でも公道を走ることはできます。ただし、交通事故の際の補償金額は高額になることが多く自賠責保険ではまかないきれないこともあり、そうした補償に備えるためのものが任意保険です。
様々な種類の保険があり、特約も含めて、契約内容を決めます。多くの保険を選べばそのぶん保険料は高額になりますが、安心も増えます。
バイク任意保険の基本的な補償
対人賠償保険 | 相手や歩行者などを死傷させた場合に、自賠責保険の補償額を超える時に使用し、その差額を補てんするための保険。 |
対物賠償保険 | 自車両以外の物(相手のクルマ、建物、道路構造物など)を壊した時の修理・交換費用等を補償する保険。 |
搭乗者傷害保険 | 搭乗者(運転者と同乗者)が死傷した時に入院・通院費用などをまかなうための保険。 |
人身傷害補償保険 | 契約車両に乗っている人が死傷した場合に、損害額に対して支払われる保険。 |
その他の補償
自損事故保険 | 単独事故や相手の過失がゼロのとき、搭乗者が死傷した場合に支払われる。 |
無保険車傷害保険 | 相手が対人賠償保険に加入していなかった等の理由で十分な補償が受けられない場合に支払われる保険。 |
車両保険 | 事故で壊れた自車両の修理代などが支払われる保険。盗難保険も車両保険の一種。 |
知っておきたい「特約」の契約とは?
忘れてはならないのが任意保険の特約です。特約とは上記保険の約款の内容を変更するもので、追加や削除により保険料が増減します。
特に重要な2つの特約について紹介します。
ファミリーバイク特約(クルマの任意保険の特約)
車の自動車保険に付帯できる特約で、所有する125cc以下のバイクにも、クルマと同じ補償が受けられるものです(車両保険やロードサービスを除く)。
車と125cc以下のバイクの両方を持っている人はぜひ活用しましょう。単独でバイクの任意保険に入るよりもかなりお得です。
ファミリーの言葉通り、クルマの契約者本人だけでなく、その家族が乗る場合でも補償されるので安心です。
実は、他者から借りた125ccバイクも補償されるので、適用範囲の広さも魅力です。
弁護士費用特約
とても重要な特約です。保険会社によって内容に差はありますが、入るべき理由は「もらい事故」でも弁護士に動いてもらえることです。
自分が停止している所に後ろからクルマが突っ込んできたといった事故は、過失割合が10:0であることが多く、自分は何もしなくても保険会社が動いてくれると思いがちです。
しかし、もらい事故の場合は相手への損害賠償が発生しないため、保険会社は無関係となり動けません。相手との示談交渉など自分で動かなければいけないのです。これがとても大変で、示談金や賠償金について相手の保険会社の担当者に言いくるめられる恐れもあります。
にっちもさっちもいかず、仕方なく弁護士を雇うはめに… なんてケースがよくあるのです。
相手から賠償金を受け取ったとしても、結局、弁護士費用で目減りしたなんてことにならないように、弁護士費用特約に入っておきましょう。
費用の心配がなく、相手側との交渉も弁護士が行ってくれ、日々の生活への影響も最小限で済みます。これは本当に重要な特約ですよ。
なぜ任意保険への加入が必要なのか?
前述したように、任意保険に加入すべき理由は、交通事故の際の相手方への高額な賠償金に備えるためです。
自賠責保険で支払える対象は相手のケガのみで、相手の車両や事故で壊してしまった道路構造物などへの支払いもできません。
相手のケガがひどく後遺症を負わせたり死亡させてしまった場合のほか、相手の車両が高級車だったり、道路構造物やロードサイドの店舗を壊したりといった場合は、損害賠償金はあっという間に数千万~数億円となってしまいます。
自賠責保険の限界とは?
自賠責保険の対人補償における最高金額は、相手を死亡させた場合で3,000万円、相手に後遺障害を負わせた場合で4,000万円、ケガを負わせた場合で120万円となっており、現実的ではありません。
実際には被害者に対して数億円の損害賠償金を支払うケースもあります。自賠責保険だけでは、相手のいる交通事故には対応できないことが多いのです。
バイクの任意保険の加入率は?
バイクに乗る以上は任意保険に加入しておくべきです。しかし、バイクの任意保険加入率は約4割と言われています。
自家用自動車の加入率が約8割ですから、ライダーはドライバーの半分くらいしか任意保険に加入していないことになります。
バイクの加入率が低いのにはさまざまな要因がありますが、最も言われているのは保険料が高いということです。
特に10~20代といった比較的事故発生率の高い若年層がバイクに乗る場合は、年間保険料が10万円を超えることも珍しくありません。
任意保険料を月額1万円以上支払っているライダーも多く、バイクのローンと合わせると負担が重いのも事実です。
二輪業界団体もバイクの任意保険料を引き下げるよう要望しています。
バイクの任意保険加入率 (2021年3月末時点)
対人賠償 | 対物賠償 | 搭乗者傷害 | 人身傷害 | 車 両 | |
自動二輪車 | 44.8% | 45.7% | 26.4% | 15.5% | 1.8% |
自家用普通乗用車 | 83.0% | 83.0% | 29.8% | 81.9% | 62.8% |
軽四輪乗用車 | 77.6% | 77.6% | 24.2% | 76.2% | 48.4% |
※「2021年度 自動車保険の概況」(発行:損害保険料率算出機構)より引用
バイクの事故発生率は1,000人に1人?
保険への加入は「万が一に備えて…」と言われますが、実際はどうでしょうか。
調べて計算してみると、自動二輪車(51cc以上)でだいたい1,000人に1.1人、原付バイク(50cc以下)ではおよそ1,000人に1.4人が交通事故の第1当事者となっていました。
万が一ほどではありませんが、1,000人に1人は第1当事者として事故を起こしているのです。
第1当事者とは、交通事故における過失が重い者を言います(過失が同程度の場合は人身損傷の軽いほうの者)。
よって、保険の補償範囲をより広く使うことになる者です。
第1当事者となった場合の交通事故発生率(2020年)
保有台数 | 事故発生件数 | 発生率 | |
自動二輪車 | 548万台 | 5,914 | 0.11% |
原付一種 | 485万台 | 6,660 | 0.14% |
普通乗用車 | 1992万台 | 132,607 | 0.67% |
軽乗用車 | 2285万台 | 80,112 | 0.35% |
※「2020年度 第1当事者別交通事故件数の推移」(警察庁 統計表)より試算。※年月が揃わないデータがあるため目安とお考えください。
バイク事故の発生率を見ると「それほど多くない」と感じるかもしれませんが、この数字は、警察署や消防署に連絡が行き、公的にカウントされた数字です。
救急車を呼ぶほどではないと判断され、どこにも連絡されていない単独転倒や軽い接触事故を含めると、実際の数はかなり多いという試算もあります。
未加入で交通事故を起こすとどうなる?
バイクは4割程度しか任意保険に加入していないという数字がありますが、任意保険に加入せずに事故を起こした場合はどうなるのでしょうか?
普段はイメージしないことだと思いますが、下記のようなケースは実際には数多く起きています。
バイクで交差点に入ったら、高級車と出会い頭で衝突。はじかれたバイクは周囲の物を壊し、自身も相手もケガを負ってしまう。
自分がバイクで走っていて高級車と衝突し、はじかれたバイクがガードレールや自動販売機に当たって破損させたというケース。
エアバッグのおかげでドライバーには外傷がないように見えても、むち打ちなどの後遺障害が残ることが考えられますし、高級車やガードレール、自動販売機の修理・交換代も高額です。
ちょっとした衝突事故でも損害賠償金はあっという間に数百万円になる可能性があるのです。
自賠責保険だけでは対物補償は一切できませんし、あなたのケガの治療費も任意保険または医療保険等に入っていなければ、自身の負担としてのしかかります。
また、壊れたバイクを修理するのにもお金がかかりますが、これは車両保険に入っていなければ自身の負担となってしまいます。
相手のいない単独転倒でもガードレールなどの道路構造物を壊すということはよくあることです。
ガードレールは1mあたり5,000~10,000円と言われています。
実際には設置のための人件費などの費用が高く、ガードレール1本の相場は10万円を超えてしまいます。
もちろん、自賠責保険は使えませんので、任意保険に未加入であれば自費となります。
バイクの任意保険に安く入る方法は?
任意保険の保険料比較サイトは数多くありますが、各社の補償内容は全く同じではありません。
保険内容や特約の内容まで見極めて、自分のバイクライフにあったものを選びましょう。
その上で、安く済ませたいのであれば、代理店を通さないダイレクト型保険がオススメで、インターネットで手軽に見積もりできるのも魅力です。
ただし、補償や特約についてしっかり説明やアドバイスを聞きたい、手続きを代行してほしい、加入時のプランから加入後のアフターサポートまでしっかりお願いしたいといった方になら、代理店経由での加入にもメリットはあります。
まとめ
バイクの任意保険とそのポイントについて紹介しました。
「バイクの任意保険は金額が高いから」と未加入で事故を起こすと、取り返しのつかないことになるかもしれません…
任意保険に加入して安心・安全のバイクライフを送りましょう!