バイクに乗っていて困ることと言えば「バイクを停める場所がない」「どこに停めたらいいのかわからない」ということです。
特に都市部では放置駐車違反の取締りが厳しく、出かける前にバイク駐車場を調べておくことが必須となっています。

本記事では原付バイクと大型バイクで法律や条例が違うなど、わかりにくいことも記載しました。
ぜひ、マナーや注意点と一緒に頭の片隅に入れて頂き、安心のバイクライフを楽しんでください。

バイクは駐車場と駐輪場のどっちに停める?

単に「バイク」と書かれているなどバイク専用の駐車場ならば、原付バイクから大型バイクまで、全てのバイクが停められます。

バイクを停めることにおける法律は主に2つです。路外においては、まずはバイク専用駐車スペースがないかを探すことが第一ですが、そう簡単には見つからないことが多いので、以下のケースについて頭に入れておいてください。

路上(車道や歩道など)に停める場合

道路交通法などに従って、道路標識や道路標示を確認してからバイクを停めましょう。
バイクを路上に停める場合、停車と駐車のどちらかに該当しますが、勘違いしている人も多いので、その内容についても触れておきます。

駐車の場合

駐車とは継続的に停止することで、道路交通法における駐車の定義は以下になります。
道路標識や道路標示のほか、以下の定義を頭に入れておいてください。

第2条の18 駐車
車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)、
又は車両等が停止し、かつ、当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。

なお、「5分以内なら駐車違反にならない」といった解釈は誤りです。
正しくは、貨物の積み降ろしの場合が5分以内で、それ以外の目的では5分以内であっても駐車違反となる可能性があります

バイクから離れていて、すぐに発進できない状態は駐車状態となり、即「放置駐車違反」となる恐れがあるので、その点に注意してください。バイクから離れている時間や距離に定義はありません。

停車の場合


停車とは、道路交通法において駐車の定義に当てはまらない状態でバイクを停めることです。バイクにまたがっている、またはバイクのそばにいる状態です。ただし、駐停車禁止の場所・区間にはバイクを停めないように注意しましょう。

なお、エンジンを切れば(電動の場合は電源オフ)バイクは歩行者扱いになりますので歩道上に押していって停車することもできます。ただし、バイクから離れてしまうと放置駐車違反となりますので注意してください。

路外に停める場合は、排気量により変わる

路外というのは、車道や歩道といった道路から外れた場所です。多くの場合、民有地や公有地に停めることになります。この際に基本となる法律や条令は主に2つで、排気量によって変わることを知っておいてください。

50cc超のバイクは「駐車場法」

2006年に駐車場法が改正され、50cc超の自動二輪車もクルマと同じように駐車場法に含まれることになりました。それまでグレーゾーンとして扱われ、歩道などに停めていても警告や撤去扱い(原付)で済むことが多かったバイクは、駐車場または指定の駐車スペースに停めなければ放置駐車違反の取締りを受けることになりました。

しかし、ユーザーの需要にバイク専用駐車場の供給が追い付かず、バイクの販売台数が減ったりバイクを降りてしまう人が出るなど、大きな問題を引き起こしました。都市部においては現在も供給は足りていませんが、ライダーやバイク利用者の間に放置駐車違反に関する認知が行き届き、都心に出る際にはバイクを選択しないという人が増えています。

50cc以下の原付バイクは「自転車法」と「自転車条例」等

50cc以下の原付バイクは、道路運送車両法では第一種原動機付自転車となり、バイクではなく自転車と同じ扱いとなります
ですから、正確には駐車場ではなく、駐輪場に停めることになります。

これにならい、駅前の自転車置き場(駐輪場)などでは「自転車等駐車場」といった表記をされ、原付一種バイクまで停められる所が多くなっています。

昨今は、原付一種バイクの販売減少、原付二種バイクの販売増の状況を反映して、各自治体(市区町村)が自転車の利用に関わる条例を改正して、自転車置き場に125ccまでのバイクを停められるようにするケースも増えています
中には、大型バイクまで停められるように条例改正をした自治体もあります。

それでも… 停める場所は絶対ではない

駐車場法や自転車法、各種条例によりバイクを置く場所の大枠は指定されていますが、実際には民有地でも公有地でも、施設の所有者や管理者が指定したスペースに置くことになります

例えば、商業ビル、スーパー、コンビニ、役所、公園などでは排気量の区別なく「バイク」と指定されていることが多く、その場合は原付一種バイクも大型バイクもそのスペースに停めることになります。

原付一種バイクと自動二輪車(50cc超のバイク)の駐車場が分けられていることが多いのは、駅近の駐車場や自治体管理の駐車場です。

50cc超のバイクは自動二輪車であり、自動車と同じ区分になるので、駐車場法的には四輪車が停めるスペースに停められるはずなのですが、コインパーキングにはゲートバーがある場合が多く、その場合はバイクで近づいても機械が反応しない場合がありますし、バイク進入禁止となっているパーキングも多くあります。

ちなみに、路上に設置されているパーキングメーターはバイクでも利用することができます。
その場合は、機器のセンサーに車体が反応するように、道路の側端に道路と並行になるように停めましょう。なお、一つの枠に複数台を停めることはできません。

もし、どこに停めたらよいのかわからない場合は警備員や交通誘導員に聞き、その指示に従いましょう

歩道には駐車しない

街中で歩道に原付バイクやバイクが停まっているのを目にすることがありますが、歩道も路上のため、バイクを駐車してしまうと、その時間や運転者がバイクから離れている距離に関係なく放置駐車違反を切られる恐れがあります。

2006年に始まった放置駐車車両確認事務の民間委託によって、都市部では駐車監視員(通称、緑のおじさん)により放置車両が厳しくチェックされています。

道路交通法上は原付一種バイクも免許の必要な「車両」という区分(自転車は軽車両)ですから、取締りを受ければ違反点数の加算と反則金が課せられます。

また、マナーやモラルといった観点からも、バイクを歩道に停めることは推奨できません。
特にマフラーやエンジンといったパーツは走行後はかなり熱くなっていて、歩行者にやけどを負わせる恐れもありますし、バイクが倒れた際にケガをさせてしまう可能性もあります。

ライダーとして知っておきたいバイクを停める際のマナーや注意点

バイクの停め方にもマナーは必要です。特に人通りに近い場所に停める時には以下の点に注意してください。
また、歩行者へのケガにつながらないように配慮しましょう。

ここでは、バイクを停める際の注意点やマナーについて記載します。

車いすスペースや思いやり駐車場には停めない

SNSなどで度々話題になりますが、高速道路のサービスエリアや道の駅、公共施設やショッピングモールなどに停める時は、できるだけ指定された場所に停めましょう。
特に、障がい者等用駐車スペースや思いやり駐車場には短時間であっても停めないようにしましょう。本当に必要とする方が使えずに困ってしまいます。

マスツーリング時にはまとめて駐車を

サービスエリアや道の駅などでバイク用駐車場が満車の時は、レーン上に停めるのは接触事故の可能性もあり危険なので、クルマ用のスペースに停めましょう。
ただし、複数人でツーリングしている場合は、1つのクルマ用スペースに可能な限り複数台のバイクを詰めて停めるようにしましょう。

駐車場所の路面を確認

バイクを停める際には、駐車場所の路面をしっかり確認しましょう。
傾いていたりぬかるんでいたり、穴が開いていたりしてバイクが転倒する恐れがあります。
特に、炎天下での柔らかくなったアスファルトや砂利、土の場合は目で見ただけではわからない場合があるため、自分の足で踏んでから地面の固さや傾きを確かめておきましょう。

事前にバイク駐車場を調べると安心

特に、都市部にバイクで出かける時には、走り出す前に目的地にバイクが停められるのか、周辺にバイク駐車場はあるのかをスマホで確認しておきましょう。

2006年の駐車場法改正、放置駐車車両確認事務の民間委託以降、バイク用駐車場は増えてはいるものの、クルマに比べるとまだまだ足りているとは言えません。バイクで出かける際は、目的地の周辺のバイク用駐車場を事前に調べておくと安心です。

バイク用駐車場を調べるには以下の2つのサイトが便利です。現在地から近いバイク駐車場を探すこともできるためスマートフォン上でブックマークしておくとよいでしょう。

全国のバイク駐車場が一目瞭然!「全国バイク駐車場・駐輪場案内」

一般社団法人日本二輪車普及安全協会が運営しているサイトで、全国のバイク専用駐車場を目的地や自治体といった範囲で検索できます。原付一種、原付二種、126cc以上など排気量で絞ったり、時間貸しと月極のほか、予約制駐車場も検索することができ、バイクが停められる駐車場・駐輪場がかなり網羅されています
https://www.jmpsa.or.jp/society/parking/

東京都内で探すなら!「s-park」

公益財団法人東京都道路整備保全公社が運営しているサイトで、東京都内のバイク専用駐車場を地名や駅名、地図上などから検索できます
24時間営業、最大料金設定の有無、提携店舗割引の有無、支払い方法、屋根やゲートバーの有無、有人か否かなどかなり細かく絞って検索でき、ニーズに合った駐車場を探すことができます。
https://www.s-park.jp/

バイク専用駐車場は車用駐車場と比較すると安い場合が多く、2時間までであれば利用料金が無料といった駐車場もあるため、目的地周辺の複数の駐車場を比較して選んでコストを抑えることもできます。

ただし、駐車台数が少ないことが多いので、満車で停められないこともあります。出かける前には目的地周辺のバイク専用駐車場をいくつかピックアップしておくと良いでしょう。

さまざまなバイク駐車場がこれからも増えていく


都市部で余りつつあるクルマ向けの駐車場と比べるとバイクの駐車場はまだまだ少ないのが現状ですが、akippa(あきっぱ)やトメレタなどの予約制駐車場は今後も増えていくと思われます。

いわゆる駐車場然とした施設が急増することはないかもしれませんが、こうした軒下や空き地を活用した駐車サービスも念頭に入れて駐車場を探していけば、意外とお気に入りの停め場が見つかるかもしれません。

ただし、軒下などに停める場合は、空ぶかしをしない、床を汚さないなど駐車マナーにも気を付けましょう。
せっかく、家主さん、オーナーさんがバイクに理解を示してくれているのですから。

省スペース、省エネルギーでエコな乗り物というのがバイクの魅力でもあります。
今後、電動化も進んでいけば、駐車スペースの多様性はさらに広がっていくと思いますよ。

筆者プロフィール

田中淳磨

二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。