1885年、ゴットリープ・ダイムラー(ドイツ・現ベンツ)がガソリンエンジンのバイクを作ってから2025年で140年になります。
いまでは中国やインドといった国々にもバイクメーカーが数多く誕生しており、電動バイクに特化したメーカーも増えています。
日本には4大メーカーと呼ばれるメーカーがあり国内外でも高い人気を得ていますが、世界には様々なバイクメーカーがありそれぞれに良さや特徴があります。

そこで本記事ではバイクメーカーの特徴や、数あるラインナップの中から人気車種をピックアップして紹介していきます!

※本記事内に掲載されている画像はメーカーオリジナルの状態と異なる場合があります。

国内4大バイクメーカー

ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキと、日本には世界を代表する4大メーカーがあります。4社の販売台数を合わせた世界市場シェアは約5割にもなり、日本のモノづくりを代表する一般向け輸送機械となっています。
電動バイクも含めればバイクメーカーは近年増えていますが、初心者の方のはじめの1台としては信頼性の高い国内4社のバイクを選ぶのが安心ですよ。

HONDA (ホンダ)

本田技研工業株式会社が開発・製造するバイクです。ホンダは、国内シェア1位、世界市場でもシェアNo.1(約3割強・2022年)のバイクメーカーで、50ccクラスの原付スクーターからゴールドウイングといった1800ccクラスの大型クルーザーまで多種多様なラインナップを展開しています。

高性能ながら扱いやすさを重視したモデルが多く、その品質の高さや燃費の良さなどが新興国から先進国にまで広く支持され、バイクのことを“ホンダ”と呼ぶ国もあるほどです。
特に新興国では “こわれない”丈夫なバイクとして圧倒的な信頼性を誇ります。

スーパーカブシリーズ(50~125ccクラス)に代表されるようなビジネス用途のバイクも多数ラインナップしており、これは世界市場でも同様です。
自動車教習所の教習車や白バイに採用されるモデル(CBシリーズなど)が多いのも、その素直な乗りやすさと信頼性の高さによるものです。

なお、創業者である本田宗一郎氏がつくり上げたスーパーカブ(1958年発売)シリーズは2017年に全世界累計生産台数が1億台を突破し「世界で最も売れたバイク」としてギネスブックにも登録されています。

HONDAの人気車種

  • スーパーカブ50スーパーカブ50

  • レブル250レブル250

  • CB400SFCB400SF

  • CBR1000RR-RCBR1000RR-R

  • GoldWingGoldWing

  • NSR250RNSR250R

YAMAHA (ヤマハ)

ヤマハ発動機株式会社が開発・製造するバイクです。国内シェアは2位、世界市場でも約1割弱を占める3位(2022年)と人気の高いメーカーです。
ホンダ同様に50ccクラスのスクーターからFJR1300シリーズといった1300ccクラスの大型ツアラーまで多様にラインナップするほか、トヨタやレクサスブランドといったクルマのエンジンも開発・生産するなど部品メーカーとしての強みも持っています。

もともとは1889年に楽器製造からスタートした会社で、1955年に日本楽器製造株式会社(現 ヤマハ株式会社)から分離したオートバイ部門が現在のヤマハ発動機株式会社であり、両社は兄弟関係にあります。

ヤマハ車両の特徴としては、Good Design Award(国内)やRed Dot Design Award(ドイツ)といった世界的なデザイン賞を多数受賞するほどのデザインの良さが挙げられます。
1950年代から外部のGKダイナミックス社にデザインを依頼することで、時代を先取りしたオシャレな名車を生み出してきました。

また、乗り味としては「ハンドリングのヤマハ」「コーナリングのヤマハ」と言われるように、旋回時のスムーズな気持ち良さが特徴です。
クセのない素直な特性、誰が乗っても、どの速度域でも自然な応答性が変わらないことで評価されています。

YAMAHAの人気車種

  • VINOVINO

  • SR400SR400

  • ドラッグスター400クラシックドラッグスター400クラシック

  • YZF-R1YZF-R1

  • FJR1300AFJR1300A

  • RZ350RZ350

SUZUKI (スズキ)

スズキ株式会社が開発・製造するバイクです。国内シェアは3位、世界市場でもインド・中国勢が伸長するなか8位(0.3割強)と健闘しています。
国内メーカーらしく50ccクラスの原付スクーターから1300ccクラスのHayabusa(ハヤブサ)まで多種多様にラインナップしています。

スズキは個性的なバイクを生み出すことで知られていて、欧州や北米など世界中に熱狂的なファンが大勢います。
特に、1980年代にバイクデザインに革命をもたらしたKATANAシリーズ、1990年代に量産車として初めて時速300キロオーバーを実現したHayabusaシリーズ、1980年代に“クチバシ”デザイン(DR-Z)で一世を風靡し現行ラインナップとして継承しているV-ストロームシリーズなどは有名です。

また、スズキ車両の特徴のひとつに油冷エンジンの採用があります。多くのバイクが空冷式から水冷式に変わっていくなか1985年のGSX-R750に油冷エンジンを採用して以降、現在でも油冷エンジン採用車(ジクサー250シリーズ)がラインナップしています。軽さと冷却効率のイイとこ取りを求めた油冷エンジンはスズキの開発設計思考を表したものと言ってよいでしょう。

SUZUKIの人気車種

  • ジクサー250ジクサー250

  • Vストローム250Vストローム250

  • GSX-R1000GSX-R1000

  • HayabusaHayabusa

  • GSX1100S KATANAGSX1100S KATANA

  • GSX-R750GSX-R750

Kawasaki (カワサキ)

カワサキモータース株式会社が開発・製造するバイクです。カワサキは原付一種などのコミューターを作っていないので、国内シェアでは4位、世界市場ではトップ10圏外となりますが、ファン市場に特化した製品づくりにより、NINJAシリーズなどのスポーツバイクメーカーとして高い知名度と人気を誇ります。

母体となる川崎重工グループは、1896年創業で、陸・海・空どころか宇宙産業にまで至る幅広い事業分野を持っており、近年では航空機関連技術をスポーツバイク(NINJA H2シリーズ)の開発に取り入れるなど総合的な開発力が活かされており、高性能化が顕著です。

1970年代には4ストローク4気筒の大排気量エンジンを搭載した900SUPER4(Z1)で北米市場を席巻し国産大型バイクの進化を牽引。
スーパーバイク世界選手権といったレースでも数々のタイトルを獲得する一方で、2008年、排ガス規制で失われていた国内250ccスポーツクラスにNinja250Rを投入し250ccスーパースポーツのムーブメントを作るなど市場創造にも積極的です。

2023年のジャパンモビリティショーでは、HEV(ストロングハイブリッド)のNinja 7 Hybrid、BEVのNINJA e-1も展示し、2024年1月にはNINJA e-1 、Z e-1も発売となりました。

Kawasakiの人気車種

  • Ninja250Ninja250

  • ゼファー400χゼファー400χ

  • ZRX1200DAEGZRX1200DAEG

  • Ninja H2Ninja H2

  • GPz900RGPz900R

  • Z1Z1

海外バイクメーカー

日本国内でよく知られた海外バイクメーカーとしては、輸入バイクとしての国内シェアNo.1のハーレーダビッドソンのほか、BMW、ドゥカティの3メーカーが長らくシェア争いをしてきましたが、近年はトライアンフなどの古豪と呼ばれるメーカーもシェアを伸ばしています。

Harley-Davidson (ハーレーダビッドソン)

1903年、アメリカのウィスコンシン州ミルウォーキーで創業し、Vツインエンジンを搭載したアメリカンタイプのバイクを代表するメーカーがハーレーダビッドソンです。
メーカー名は、創業者のウィリアム・S・ハーレーとダビッドソン兄弟の苗字から取られています。

第一次世界大戦(1914~1918年)や第二次世界大戦(1939~1945年)でも軍用車両として活用されるなど、激動の歴史と共に歩んできたハーレーダビッドソンはキング・オブ・モーターサイクルとも呼ばれ、世界中に根強いファンを持ちます。

フラットヘッド(1920年代)、ナックルヘッド(1930年代)、パンヘッド(1940年代)、ショベルヘッド(1960年代)、エボリューション(1980年代)、ツインカム88(1990年代)、レボリューション(初の水冷化・2000年代前半)、ツインカム96(2000年代後半)、ツインカム103(2010年代前半)などエンジンタイプで分類して呼ばれることが多く、それぞれに熱狂的なファンがついています。
日本国内では比較的軽量でスポーティなスポーツスターシリーズを中心に数々のロングセラーモデルをリリースしています。

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Harley-Davidsonの人気車種

  • XL883NXL883N

  • XL1200XXL1200X

  • FXBRS1870FXBRS1870

  • FLFBS1870FLFBS1870

  • FLTRXS1870FLTRXS1870

  • FLHTCUTG1860FLHTCUTG1860

Ducati (ドゥカティ)

1926年、ドゥカティ兄弟によりイタリア北部エミリア=ロマーニャ州のボローニャで電子部品製造メーカーとして創業され、自転車にエンジンを載せたモペッドの生産で成功し第二次世界大戦後は通信機器部門(現ドゥカティ・エネルジア社)とバイク部門に分割されました。
レース活動を通してバルブスプリングを持たないデスモドロミック機構を採用した高出力エンジンで知られていき、マン島TTレースでも優勝(1978年)するなど活躍します。

1980年代からはカジバ社など複数社に買収され、現在はフォルクスワーゲングループのアウディ傘下のブランドとなっています。
市販車においてはデスモドロミック機構を採用した90°L型2気筒エンジンで長く知られていましたが、モトGPマシンで採用されていた90°V型4気筒のデスモセディチ・ストラダーレ・エンジンを採用したパニガーレV4なども人気です。

Ducatiの人気車種

  • スクランブラーSixty2スクランブラーSixty2

  • パニガーレV4パニガーレV4

  • Super Sport SSuper Sport S

  • MONSTER1200SMONSTER1200S

  • ストリートファイターV4ストリートファイターV4

  • XディアベルXディアベル

BMW (ビーエムダブリュー)

ドイツの自動車メーカーであるBMWのバイク部門がBMWモトラッドです。1923年に最初のバイクであるR32の生産を始めましたが、搭載されていた水平対向ボクサーエンジン(愛称はボクサーツイン)は進化を続け、現在でも同社を代表するパワーユニットとして人気です。

エンジンの他にも車体に独自の機構を多数搭載することでも知られ、メンテナンスがほぼ不要なシャフトドライブ機構、テールリフトを抑えるパラレバーリヤサスペンション、急減速時のノーズダイブを防ぐテレレバーフロントサスペンションなどが有名です。

なお、速度無制限のアウトバーンを安心して走れるほどの高速巡航性能が与えられていて、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)をバイクに初めて採用したのもBMWです(K100・1988年)。
アドベンチャーバイクの最高峰でありツーリングライダーの憧れでもあるGSシリーズやネオクラシックタイプのRnineT、スーパースポーツタイプのS1000シリーズなどが人気です。

BMWの人気車種

  • R1250GS adventureR1250GS adventure

  • R18R18

  • S1000RRS1000RR

  • RnineT RacerRnineT Racer

  • RnineT ScramblerRnineT Scrambler

  • K1600GTK1600GT

Triumph (トライアンフ)

1885年、シーグフリード・ベットマン貿易会社が自転車を取り扱うようになり、その後自社生産を始めたことが始まりです。
1900年代初頭にはオートバイの生産を開始するようになり、1907年に開始されたマン島TTレースに参戦すると信頼性の高さで評判となり第一次世界大戦では連合軍の軍用バイクにも採用されました。

その後、世界恐慌(1929年)による業績悪化、買収などもありましたが、第二次世界大戦でも軍用バイクに採用。
1950年代にはBSA社(イギリス)の傘下となりますが、合弁会社が倒産するなど波乱万丈の歴史を刻みながらも1984年にトライアンフ・モーターサイクルとなって再生しました。

1990年代からは本格生産を開始して往年の名車であるボンネビルやスーパースポーツのデイトナシリーズなどで人気を博し、現在ではアドベンチャータイプのタイガーシリーズなどラインナップを充実させています。

Triumphの人気車種

  • Bonneville T120Bonneville T120

  • Daytona675Daytona675

  • Tiger900GTTiger900GT

  • StreetTripleRSStreetTripleRS

  • Rocket3R.jpgRocket3R

KTM (ケーティーエム)

1934年、オーストリアのオーバーエスターライヒ州マッティクホーフェンでハンス・トゥルンケンポルツが自動車修理工場を創業したことに始まります。
第二次世界大戦後の1953年にロータックス社のエンジンを搭載したバイクを発売し、以降はオーストリア国内や欧州のオフロードレースシーンで活躍し、エンジンも自社で生産するようになります。

1954年には現在のブランド名であるKTM(Kronreif&Trunkenpolz Mattighofenの略)に変更。主要株主となったエルンスト・クロンライフと創業者の苗字から命名されています。

その後は破産危機を買収されることで乗り切り、1996年にデザイン企業のキスカデザイン(オーストリア)が車体色にオレンジカラーを統一採用したことで、いまではKTMデザインの象徴となっています。
なお、現在はピエラ・モビリティAG社の完全子会社ですが、1995年にはフサベル社を、2013年にはハスクバーナ社を買収してオフロードレース界のライバルだったメーカーを傘下に収めています。

近年は、オフロードカテゴリーに留まらずオンロードバイクも生産し、モトGPにも参戦するなど世界的なメーカーに成長しています。
独特なデザインを採用したロードスポーツのDUKEシリーズが若年層にも人気で、ブランドを牽引する人気モデルとなっています。

KTMの人気車種

  • 390DUKE390DUKE

  • RC390RC390

  • 890ADVENTURE890ADVENTURE

  • 890SMT890SMT

  • 1390SUPERDUKER EVO1390SUPERDUKER EVO

  • 1290SUPERADVENTURER1290SUPERADVENTURER

Husqvarna (ハスクバーナ)

スウェーデンのハスクバーナ社のバイク部門として1903年にバイクの製造を開始し、エンデューロやアウトドアモトクロス、スーパーモタードといったレースシーンで活躍しました。
その後、カジバ社、BMW社など複数の企業に買収されたのち、現在はKTMと同じくピエラ・モビリティAG社の傘下となっています。

こうした状況もあり、現在はKTMマシンのプラットフォームを用いて製作されています。
モト3、モトGPといったロードレースにも参戦しており、オンロードスポーツバイクのSVARTPILEN(スヴァルトピレン)やVITPILEN(ヴィットピレン)は北欧デザインを感じさせるもので日本でも人気が高いモデルです。

Husqvarnaの人気車種

  • VITPILEN-401VITPILEN-401

  • SVARTPILEN-401SVARTPILEN-401

  • 701SUPERMOTO701SUPERMOTO

Aprilia (アプリリア)

1945年、バリエ・アルベルト・ベッジオがイタリアのヴェネチア県ノアーレで自転車メーカーを創業したことに始まります。
その後、モペッドやスクーター、小型バイクでシェアを伸ばし1970年代にはモトクロスレースに参戦、1980年代にはオンロードなど他カテゴリーにも拡充しそれぞれのレースにも参戦したが、2004年にピアッジオグループ(イタリア)の傘下となりました。

1990年代にはWGP(現モトGP)の125・250ccクラスで優勝を重ね、日本人レーサーの坂田和人さん、原田哲也さんが乗って活躍したことでも知られています。
2000年代のアプリリアはスーパーバイク世界選手権でも活躍し、現在はモトGPクラスにも参戦しています。RSVシリーズやTUONOシリーズなどがイタリアンデザインと相まって人気の高いシリーズです。

Apriliaの人気車種

  • RSV4 RFRSV4 RF

  • RS660RS660

  • TuonoV4 1100 FactoryTuonoV4 1100 Factory

  • RX125RX125

Piaggio (ピアッジオ)

Piaggioはスクーターのベスパを販売するメーカーで、1946年、トスカーナ州ピサ県ポンテデーラにおいて航空機メーカーのピアッジオ社創業者であるリナールド・ピアッジオが第二次世界大戦後の復興期に開発した小型スクーターがベスパの始まりです。
スチールモノコック構造やタイヤ交換がしやすいフロントの片持ちサスペンションなど航空機設計の技術が多数採用され、スイングアームとエンジンを一体化したスイングユニットデザインなどエポックメイキングな造りとなっていました。

1953年公開の映画「ローマの休日」でオードリー・ヘプバーン演じるアン王女がベスパ(125cc)を運転するシーンが話題となり、その後もドラマやアニメ、マンガにもたびたび登場するなど長きにわたって日本でも人気のブランドです。
50ccや125ccのかわいいデザインのスクーターが主流ですが、近年は高速道路も走れるGTSシリーズ(150~300ccクラス)なども人気です。

ベスパの人気車種

  • LX125 i-GETLX125 i-GET

  • Primavera125Primavera125

  • GTS Super150GTS Super150

  • LX150ie 3VLX150ie 3V

  • GTS300ieGTS300ie

バイクのメーカーはどんどん増えています

グローバルでは中国やインド、アセアンなどで今後もバイクの需要拡大が見込まれています。
電動バイク市場への新規参入もあってバイクメーカーの数はどんどん増えていて世界シェアも激しく動いています。

インドにはヒーロー(世界シェア2位)やバジャジ(世界シェア5位)、中国にもHaojue(大長江集団有限公司・世界シェア7位)や電動モビリティメーカーのYADEA(雅迪科技集团有限公司・世界シェア4位)などがあります。
インド・中国メーカーの性能や品質は年々向上していますし日本への輸入も増えています。日本では想像できないような機構やパーツを持つバイクも増え、EVも含めれば百花繚乱という時代が続くでしょう。

もちろん、パーツの供給やメンテナンス体制までを考えれば国内4メーカーのバイクを購入するのが安心かつおすすめですが、海外メーカーに目を向けてみるのも楽しいものですよ。

筆者プロフィール

田中淳磨

二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。