バイクにかかる税金は排気量・種別によって決められています。原付一種・二種の場合は毎年納める軽自動車税のみですが、車検のない126~250ccのバイクは新規登録時の重量税と毎年納める軽自動車税、車検のある250cc以上のバイクには重量税と軽自動車税が毎年かかります。

軽自動車税は毎年5月末日までに納めますが、小型二輪車の重量税は2年分をまとめて納めます。今回はバイクの所有者が対象となる軽自動車税と重量税について、いつ、いくら、どこにどのように納めるのかについて解説します。

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軽自動車税


バイクの所有者に課せられるのが軽自動車税です。そのバイクに乗っていなくても、廃車にしていなければ毎年納税義務が発生します。

軽自動車税とは

毎年4月1日の時点でバイクを所有する全ての人にかかる地方税(市町村税)です。1年分の税金が課税され排気量別に税額が異なります。複数台を所有しているユーザーはその台数分を納めます。そのバイクを利用していなくても廃車しないまま所有していれば課税の対象となるので注意しましょう。

軽自動車税の金額

区 分 排気量 金 額
原付一種 50cc以下 2,000円
原付二種 51~90cc 2,000円
91~125cc 2,400円
軽二輪 126~250cc 3,600円
小型二輪 251cc以上 6,000円

軽自動車税の支払い方法

4月上旬~5月上旬くらいに市町村の役所から納税通知書が郵送されてくるので、5月末日までに納めます。
自治体によって異なりますが、コンビニエンスストア、郵便局、各種金融機関等で早めに納付しましょう。

自動車重量税


自動車重量税は原付一種・二種にはかかりません。126cc以上のバイクが対象となりますが、排気量によって額面や納税方法が変わります。

自動車重量税とは

自動車重量税は、クルマの重量、区分、経過年数に応じて徴収される国税です。バイクの場合は125cc以下の原付一種・二種のバイクは対象となりません。

126~250ccのバイク(軽二輪)の場合は、新車登録時のみ所有者に対してかかります。
そのため、軽二輪の中古車を購入する時には重量税はかかりません。

251cc以上の車検のあるバイク(小型二輪)の場合は、新車登録時のほか、初年度登録からの経過年数に応じて額面が変わり、車検ごとに2年分をまとめて納めます。

また、車検の有効期限が残っていない中古車を買う時には重量税を納める必要がありますが、車検が残っている中古車を買う時には重量税を納める必要はなく、次回、改めて車検を受ける時に2年分の重量税を納めます。

なお、車両の売却や中古車の購入時に車検がどれだけ残っているかは、次のオーナーの初期費用にも影響するので、買取・購入価格にも反映されます。小型二輪の中古車売買時には車検の残り期限も確認してタイミングも見計らって売買するのがおすすめです。

ちなみに、バイクを譲ってもらった時など名義変更だけをするタイミングでは課税の対象にはなりません。

新車登録時の重量税

区 分 排気量 金 額
軽二輪 126~250cc 4,900円(初回のみ)
小型二輪 251cc以上 5,700円(3年分)

※自家用車両の場合

継続車検時の重量税(2年分)

初年度登録後の経過年数 金 額
12年まで 3,800円
13~17年 4,600円
18年以降 5,000円

※自家用車両の場合
 

自動車重量税の支払い方法

新車登録時(新車購入時)の重量税は3年分が見積もりに含まれていることが一般的です。ユーザーとしては、一括・ローンなどは気にせずに購入時に3年分を先払いします。

車検(継続検査)時の重量税は2年分をまとめて先払いします。購入したバイク販売店や車検代行店などにまかせる場合はお店に支払います。

自分自身でユーザー車検をする場合は、陸運局(運輸支局または自動車検査登録事務所)で印紙を購入して支払います。

バイクの税金に関する注意点


バイクの税金には注意すべき点が多く、納税を忘れてしまうと大変なことになる恐れも。
軽自動車税は毎年春に、重量税は車検ごとと決まっているので、予めお金を用意しておきましょう。

引越しをしたが住所変更手続きを行っていない場合

引越した場合は、なるべく早く住所変更手続きを行なわないと納税通知書が手元に届かない恐れがあります。気づかないうちに軽自動車税を延滞してしまう可能性があるので、住民票などの必要書類を準備して市町村の役所や管轄の陸運局で手続きをしましょう。

なお、陸運局で住所変更をする場合は、下記の書類が必要となります。
・車検証または軽自動車届出済証
・新住所の住民票
・印鑑
・自賠責の保険証書
・ナンバープレート(同じ市区町村内での転居の場合は必要なし)
・委任状(代理人が手続きを行う場合)

廃車をしたのに軽自動車税の支払い通知が来た場合

廃車の手続きは、125cc以下のバイクは市町村の役所で、126cc以上のバイクは陸運局で行います。
軽自動車税は4月1日時点の所有者が対象となるため3月中に廃車手続きを済ませていれば新年度での納税は必要ありません。

ただし、3月以前に廃車手続きを済ませていた場合でも、手続きのミスなどにより納税通知書が届くことが稀にあります。
その場合は廃車証を用意して役所や管轄の陸運局に問い合わせましょう。

ちなみに、バイクを廃車しても残存期間分の軽自動車税は還ってきませんが、重量税については小型二輪のみ条件付き(廃車が永久抹消かつ残存期間が1か月以上)で還付されます。還付手続きは陸運局で行います。

また、税金未納状態でも廃車手続きはできますが、税金を支払う義務はなくならないので注意しましょう。

バイクを売ったのに納税通知書が届いた場合

3月末日以前にバイクを売却したのに4月以降に納税通知書が届いた場合は、税止めをする必要があります。役所はバイクの売却を把握できないので、ネットオークションなど個人売買をした際には必ず役所に証明書類(下記のいずれか)を持参して税止めをお願いします。
・軽自動車税申請書
・自動車検査証返納証明書
・車検証または軽自動車届出済証(コピーでも可)

軽自動車税の納付期限を過ぎてしまった場合

まずは納税通知書の使用期限と裏面に書かれている納付場所を確認します。
使用期限内であれば、その通知書を使って指定の金融機関やコンビニエンスストアなどで納めましょう。

納付期限から20日以上が過ぎていると督促状と新たな納付書が送られてきます。
コンビニなどで支払いできない場合もありますので、その場合は金融機関の窓口で支払いましょう。

納税通知書が手元に届かない場合

5月上旬を過ぎても納税通知書が届かない場合は、市区町村の納税課に問い合わせてみましょう。すぐに再発行手続きをしてくれます。なお、考えられる原因としては次のものが挙げられます。

住所変更(転出・転入・転居)手続きが済んでいない

3~4月は慌ただしい引越しシーズンです。転出届は出したけど引越し先の役所で転入届を出し忘れていたなんてケースが考えられます。

車両の名義変更手続きが済んでいない

中古車購入時にありえるケースです。特にネットオークションや個人売買の場合には注意しましょう。
車両の名義変更は125cc以下は市町村の役所で、126cc以上は陸運局で行います。
名義変更時に必要となるので、前のオーナーから廃車証明書と譲渡証明書(要署名捺印)を受け取ることを忘れないでください。

郵便事故

誤配達などの郵便事故も稀にあります。納税通知書が届かないと思った場合は、郵便局ではなく市町村の役所に電話してみましょう。

納税通知書を紛失してしまった場合

市区町村の役所に電話をして再発行手続きをお願いします。

税金を滞納した場合

重量税は新車購入・車検時に支払わらないと登録できないものでから、ここでは軽自動車税について紹介します。なお、軽自動車税を納めていないと車検は受けられません。

軽自動車税の納期限は一般的に5月末日ですが、滞納したままにしていると完納までの日数に応じて2.4~8.7%(2023年)の利率で延滞金が上乗せされてしまいます。

軽自動車税の延滞金の割合

納期限の翌日から 金 額
1か月まで 2.40%
1か月以降 8.70%

※2022年1月1日から2023年12月31日まで

延滞状態を続けていると、督促状、催告書、差し押さえ予告通知書と送付されてきて、最終的には給与または預金口座が差し押さえられます。口座に預金がある場合はその際に軽自動車税と延滞金が引き落とされ、口座に預金がない場合には自宅、車両、ぜいたく品などが代わりに差し押さえられます。

また、軽自動車税の延滞には刑法96条に基づく罰則があるため、差し押さえに抵抗するなどすれば、「3年以下の懲役または250万円以下の罰金」に処せられます。

軽自動車税を払えそうにない場合

災害に遭った、空き巣の被害に遭ったなどの影響でどうしても支払えそうにない場合は市町村の役所窓口に相談しましょう。
分割払いなど別の支払い方法を提示してもらえる場合もあります。

税金を支払うことはバイクを持つことの義務


バイクに乗っていなくても、バイクを所有していればかかってくるのが税金です。税金を納めることはバイクを持つことの義務ですから、軽自動車税および重量税は維持費と考えてしっかり納めましょう。

特に軽自動車税は地方自治体の一般財源になるものです。バイクを所有することが地域の教育・医療・福祉・公共サービスに貢献するという考え方もできます。

また、重量税は3/4が道路建設費用などの国の財源に、1/4は市町村の一般道整備費などに充てられます。買い物やツーリングで心地よく道路を走れるのも我々が税金を支払っているからです。納税は国民の義務ですが、前向きに捉えてバイクライフを楽しみたいものですね。

筆者プロフィール

田中淳磨

二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。