バイクの燃費の計り方と燃費を良くする方法を解説!
公開日:2024.02.28 / 最終更新日:2024.02.28
バイクを選ぶときはパワーを示す最高出力や足つき性の目安になるシート高といったスペックに目が行きがちですが、ガソリン1Lで何km走れるのかという「燃費(電動バイクなら電費)」も重要な情報になります。
高速道路を使ってロングツーリングをよくする方、スクーターで毎日のように通勤通学をするといった方なら、バイク選びの際には燃費とガソリンタンクの容量から航続距離の目安を計算しておくと安心ですよ。
バイクの燃費の種類
「燃費」とは燃料消費率の略語で、1Lの燃料で走ることができる距離(km数)を示しています。
1Lの燃料でより長い距離を走れるバイクは燃費が良いバイクということです。
現在、バイクの燃費には3種類の測定・表示方法があります。
定地燃費値
平坦な直線舗装路を法定速度60km/h(50cc以下は30km/h)で走った時の燃費です。
国土交通省にニューモデルの型式指定・認定を受けるときの届出値となっていて最も基本的な測定法であり、長い間カタログ表記の基本となってきました。
ただし、実際に乗車・走行しているときは坂道や信号、渋滞などもあるため実燃費とは差が開きやすい値です。
WMTCモード値
2013年7月から定地燃費値と併記されるようになった燃費で、WMTC測定法(後述)で排出ガス認証取得を行ったモデルにのみ表記されています。
測定はシャーシダイナモ上で車両を走らせて行われ、発進・加速・停止などのパターンも含み、実際のバイク使用実態(市街地・郊外・高速道路など)に近い方法で計算されています。
GTR(世界統一基準)で制定されている走行モード試験法で、気温25℃で1名が乗車しメーカー指定のタイヤ空気圧で実施され、排気量や最高速度によって5つのクラスに分類されています。
WMTCモードのクラス分類
※二輪車の燃費「WMTCモード値」(一般社団法人日本自動車工業会作成パンフレット・2013年7月発行)より引用
実燃費
オーナーが乗車して実際に走行した後、走行距離と燃料消費量をもとに計算された燃費です。
同じバイクでも乗る人の体重や運転の仕方で燃費は変わります。
バイクの燃費はどうやって確認する?
バイクの燃費を知るには、メーターに表示される燃費計を見ること、自ら満タン法で計算して求めることの2通りがあります。
メーターで確認する
比較的年式の新しいバイクだとメーターパネル内に燃費計や航続距離計などが装備されています。
表示される位置はトリップメーターなどと兼ねている場合もあるので、セレクトボタンを押して表示を切り替えて確認します。「Km/L」と表記されている数字が燃費です。
満タン法で確認する
燃費計が装備されていないバイクの燃費は、昔ながらの満タン法で計算します。計算法は以下になります。ただし満タン時の給油量などに誤差が出るためあくまでも目安としておきましょう。
①ガソリンを満タンまで給油する
②トリップメーターを0kmにリセットする
③ガソリンが少なくなるまで走る
④ガソリンを満タンまで給油する
⑤トリップメーターの走行距離(km)÷給油量(l)=燃費(km/l)を計算する
燃費が良いバイクはどのようなバイク?
あくまでも目安ですが、比較的燃費が良い、燃費が良くなるバイクの特徴は以下になります。
車重が軽い
ライダー自身の体重も大きく影響しますが、エンジン形式と排気量が同じであれば、車体が軽いほうがエンジン回転数を低く抑えることができ、そのぶん燃費も良くなる傾向にあります。
気筒数が少ない
排気量が同じであれば、4気筒などの多気筒エンジンよりも単気筒エンジンのほうが燃費が良い傾向にあります。
単気筒エンジンは構造的に低速トルクが得やすく常用回転数を抑えやすいためです。
排気量が小さい
排気量が異なる場合は、1000ccを超えるような大型バイクよりも50ccや125ccのような小さいバイクのほうが燃費が良くなる傾向にあります。燃焼時の爆発規模が小さく燃料消費量が少ないからです。
4ストローク
エンジン形式と排気量が同じであれば、2ストロークエンジンよりも4ストロークエンジンのほうが燃費がよくなります。2ストロークエンジンのほうが燃焼効率が悪いためです。
中古の原付スクーターを購入するとき車両本体価格が安いからと2ストローク車両を選んだとしても、長く乗ることでガソリン代やエンジンオイル(※)代に差がついて、トータルで見ると4ストローク車両のほうが安上がりになるということもあります。
※2ストローク車両にはガソリンだけでなく2ストローク(サイクル)用エンジンオイルを補給する必要があります。
アイドリングストップ機能が付いている
原付一種・二種などのスクーターにはアイドリング時に自動でエンジンを停止するアイドリングストップ機能がついているモデルもあり、燃料消費を抑えて燃費を向上することができます。
同じ排気量帯でも車種により燃費が大きく異なる例
ホンダの400ccクラスのCB400SFとGB350を比較するとWMTCモード値に大きな差が発生しています。
車種(年式) | Honda CB400 SUPER FOUR(2022年式) | Honda GB350(2023年式) |
排気量 | 399cc | 348cc |
車両重量 | 201kg | 179kg |
エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒 | 空冷4ストロークOHC単気筒 |
WMTCモード値 | 21.2km/L(クラス3-2)〈1名乗車時〉 | 39.4 km/L(クラス2-1)〈1名乗車時〉 |
なお、燃費の良いバイクとして有名なHondaスーパーカブ50はWMTCモード値で69.4km/L(クラス1)となっています。
バイクの燃費を良くするには?
例に挙げたCB400SFとGB350のような燃費差を埋めることはできませんが、ちょっとした心がけで燃費を改善することはできます。
しっかり整備された車両で、スロットルやブレーキなどで「急」のつく操作をしなければ、燃費は驚くほど伸びることもあります。バイクの長持ちにも繋がりますよ。
メンテナンスを行う
各部のメンテナンスをしっかり行うことは燃費改善の第一歩です。
また、エンジンの性能を最大限に発揮するためにも定期的なエンジンオイルの交換をしっかり行いましょう。
特に空冷エンジンの場合はオイルの減りが早い傾向にあるので、まめにオイル量を点検し早めにオイル交換を行うことをおすすめします。
タイヤの空気圧
タイヤの空気圧が低下していると転がり抵抗が大きくなってしまいます。そのぶんスロットルを開けてしまうので燃費が悪くなります。
チェーンの汚れ
チェーンに汚れが溜まったり錆びていたりすると駆動の抵抗となって、そのぶんスロットルを開けてしまい燃費が悪くなります。
エアフィルターの汚れ
エアクリーナーボックス内に設置されているエアフィルターも定期的に点検し汚れがひどい場合は交換しましょう。汚れているとエンジンの調子や燃費が悪くなります。
点火プラグの消耗
点火プラグの電極がすり減っていたり錆びていると不完全燃焼につながって燃費が悪くなります。
運転の仕方に注意
走り方は燃費に大きく影響する
燃費をよくする走り方、操作のコツについてお教えします。
①急のつく動作をしない
②高い回転数では走らない
③合っていないギアで走らない
④アイドリング状態で放置しない
特にスロットルの操作には気を使ってください。加速時はじわ~っと雑巾をしぼるように開け、巡行速度に達したら一定のスロットル開度を維持するのがコツです。
こうした点に注意して走れば、燃費が良くなるだけでなく愛車の各部にも優しい運転となります。
マフラーは純正が良い
パワーアップや音質向上を狙いとしたマフラー交換はバイクカスタムの定番のひとつですが、社外製マフラーは純正マフラーと比べると燃費が悪くなることが多いとされています。
燃費を気にするならマフラーは純正のままが良いですが、もし交換する場合はポン付け(装着するだけ)で終えるのではなく、キャブレターやフューエルインジェクションのセッティングまで行うのがよいでしょう。二輪販売店や二輪用品店におまかせすればバッチリですよ。
馬鹿にならないバイクの燃費
2024年2月現在ではレギュラーガソリンもリッター160~170円以上で高止まりしています。
トリガー条項(※)が発動されれば上乗せ課税分の25.1円が安くなると言われていますが、いまだに発動の気配はありません。
ロングツーリングによく行く方、毎日の通勤通学などでバイクに乗る方は、ガソリン代も馬鹿にならない額となってしまいます。
私の知人にも、通勤のために125ccスクーターからスーパーカブ50に乗り換えた方がいます。
125ccスクーターでもリッター50km以上の実燃費を達成することはできますが、毎日片道30~40kmの通勤をしているその方はスーパーカブ50の実燃費がリッター65kmに達することを喜んでいます。
使用目的にもよりますが、ガソリン代がまだまだ高騰する可能性もあるいま、少しでも燃費のよいバイクを選ぶことはバイクライフを長く楽しむためにも重要なことかもしれませんね。
※ガソリンの小売価格が高止まりした際にガソリン税を引き下げてガソリン価格を下げる仕組み