ツーリングや通勤・通学に便利なアイテムなど、バイクライフをより豊かに快適にしてくれる便利グッズが各社から販売されています。
そうしたアイテムの多くは、バイクをカスタムしていく上でも優先順位の高いものとなります。
バイクを買ったらまず装着したい、これが着いていれば便利だろうというアイテムをピックアップして紹介します。
愛車のカスタムを考えている方やこれから中古車を買おうといった方にも参考になる内容ですよ。

スマホに関するバイクのカスタム

いまや日々の生活に欠かせないツールであるスマートフォン(スマホ)。バイクに乗車している時でもスマホを使うためのアイテムです。

バイクに乗っている時でも、電話を受けたり、音楽を聞いたり、マップアプリのナビ機能を使ったりとスマホは大活躍してくれます。バイクにスマホを装着するためのアイテムを紹介します。

スマホホルダー

掲載モデル:デイトナ スマートフォンホルダー3+(クイックタイプ)

スマホをバイクに装着する場合、一般的な取付場所はハンドル周りとなります。
バーハンドルの場合はクランプやバンドを用いて固定します。
セパレートハンドルの場合は、トップブリッジのハンドルポストやステムホールなどを利用します。
また、ミラーのアダプターやブラケットのネジにマウントステーをかませて共締めするという方法もよく使われます。

ハンドル周りのボルトやネジにマウントステーやクランプバーがかませられれば、たいていのスマホホルダーは装着できるのですが、締め付けトルクや寸法を調整するためのスペーサーなど、経験とコツが求められる所でもあります。
不安な方はバイク用品店や二輪車販売店に相談しましょう。

また、近年、スマホのカメラ機能がバイクの振動で壊れてしまうケースが報告されています。
スマホホルダーを選ぶ際には振動吸収機能があるものを選びましょう。振動軽減ユニットのみを後付けできるものもありますよ。

USB電源

掲載モデル:デイトナ USB TypeA 1ポート(USB 5V2.1A)

USB電源はソケットタイプのものが多く、TypeAやTypeCといった規格に対応するものが出ているほか、Power Deliveryに対応したものやワイヤレス給電のQi規格に対応したものもあります。

バイクから電源を取るには、バッテリーに配線を直接つなげるものとアクセサリー電源などから取る(メインキーに連動する)ものがありますが、バッテリー上がりを防ぐためにも後者のほうが安心です。

性能的には、最大出力が大きい方が様々な機器に対応できます。なお、出力時に2A(アンペア)以上の性能がないとスマホの使用状況によっては充電が追い付かず、スマホのバッテリー残量がどんどん減ってしまうことがあります。

特にマップアプリでナビ機能を使っている時、動画再生時、リアルタイムでの動画撮影時などに起こりやすいので、USB電源を買う時は定格出力電流量(アンペア数)に注意してください。2.1A~2.4Aくらいあれば安心です。

また、USB電源の多くは雨天走行中の使用を想定していないので、雨天時用のソケットカバーを備えています。ソケット内に雨が浸水すると壊れてしまうこともあるので注意しましょう。

掲載モデル:デイトナ ワイヤレス充電器(Qi規格対応) 15W

クランプバー

掲載モデル:デイトナ マスターシリンダークランプ

スマホホルダーやUSBポートなどバイク用機器マウントの多くはクランプ式ですから、まずはバイクにクランプバーを装着すると便利です。クランプバーのパイプ径は一般的なバーハンドルと同じで22.2mmであることが多く、これにより汎用性を高めています。

クランプバーには、マスターシリンダー部に装着するもの、ステムホールに装着するもの、ミラーアダプターに装着するものなどがありますが、ボルトや取付穴の径さえ合えば、バイクの様々な部位に装着することができます。

製品によっては、クランプバーの内部にUSB電源を備えたものもあります。ハンドル周りをすっきりさせたい方にお勧めです。

掲載モデル:デイトナ マルチバーUSB電源5V2.1A  ステムクランプタイプ <ショート>

安全性や快適性に関するバイクのカスタム

バイク乗車時の安全性や快適性を高めるためのアイテムも豊富です。快適性については暑い・寒い・雨天といった周囲の環境に対応したアイテムが発売されています。

万が一の事故・転倒時に周囲の状況を自動で記録してくれる機器がドライブレコーダーです。
ドライブレコーダーはアクションカムにもなるので、ツーリング中の走行シーンを見て楽しむこともできますよ。
また、スマートモニターはスマホを連携させることで様々なアプリが使えるようになり、その機能によってドライブレコーダーなどのハードウエアを制御できます。拡張性に優れた機器と言えるでしょう。

ドライブレコーダー

掲載モデル:デイトナMiVue® MIO M820WD

2020年6月の改正道交法により、あおり運転を取り締まるための妨害運転罪が創設されました。
以降、ドライブレコーダーは急激に普及しています。あおり運転から自分を守るため、また交通事故の際の証拠を残すためにも装着しておきたいアイテムです。

なお、ドライブレコーダーはアクションカムのようにツーリングシーンを記録することもできるので、日常的にも楽しく使うこともできます。

ETC車載器同様、バイク用のドライブレコーダーには耐水・耐振性能が必要となるため、クルマ用よりも少し割高ですが、安全運転のためにも前後2カメラのものを選んでおきましょう。

また、事故時の証拠で重要なポイントとなるLED信号機に対応したもの、衝撃を感知して自動で録画ファイルをロック・保存してくれるもの、GPS機能を搭載したもの、HDR機能で白とびしないものがお勧めです。

スマートモニター

掲載モデル:タナックスSRS-001スマートライドモニター AIO-5 Lite

クルマでは一般的になりつつあるスマートモニターのバイク版です。
スマホの「CarPlay」(iPhone)や「Android Auto」(Android)を利用してOSやアプリと連携させて様々な機能を使えるようになります。
AIO-5 Liteはドライブレコーダー機能や死角検知システム(BSD)を搭載するため前後カメラも同梱しています。

本体はIP67(水深1mまで最長30分間水に耐える)相当の防水・防塵性能を持つので雨天走行も可能で、放熱性や耐振性も確保されています。
また、オプション品としてタイヤ空気圧センサーも用意され、モニター上でリアルタイム表示できます。

スマートモニターは、雨や振動で壊れたら嫌なのでスマホを車体に取り付けたくないという人にもお勧めです。

グリップヒーター

掲載モデル:デイトナHOT GRIP ヘビーデューティー ビルトイン4Sn

グリップゴムの内側に発熱体を内蔵し、スイッチを入れることで手全体を温めてくれるのがグリップヒーターです。冬場や雨天時に効果的で、体の冷えを防いでくれます。最近のものはグリップ部の太さも純正グリップと変わらないほどに薄く作られていて、操作に違和感のないものが増えています。

グリップゴム部をまるっと交換するタイプと、グリップの表面に巻きつけるタイプがあります。冬場の間だけ装着したいという方は簡易な巻き付けタイプでもよいでしょう。

デイトナHOT GRIP 巻きタイプEASY2 USB

ETC車載器

掲載モデル:ミツバサンコーワアンテナ分離型ETC車載器 MSC-BE61

高速道路を走る機会があるなら、ぜひ装着しておきたいのがETC車載器です。
車載器には一体型と別体型(分離型)がありますが、近年は別体型が主流となっています。
高速道路の料金所をノンストップで通過できるメリットはとても大きいものですよ。

クレジットカードでのETCカード取得、車載器の購入とセットアップ・登録など使い始めるまでには少々面倒なこともありますが、装着してしまえばその恩恵はかなり大きなものとなります。

近年は、ETC装着車両でないと利用できないスマートインターチェンジも増えていますし、二輪車向けの割引プランであるツーリングプランや二輪車定率割引といったサービスもETCがなければ利用できません。ぜひ装着を検討してみてください。

ミラー

掲載モデル:タナックス カウリングミラーリブラ3L_NC-005L

バイクの見た目を変えるだけでなく、ギラツキやまぶしさを抑える、純正品よりも広いエリアが見えるようになるといった高機能ミラーも人気です。
衝撃緩和機構を持ったミラーであれば、振動で見づらかった後方視界のストレスも緩和することができます。

スクリーン

掲載モデル:タナックス カウリングミラーリブラ3L_NC-005L

スクリーン(ウインドシールド)は走行風から体を守るアイテムで、主に高速道路で効果を発揮します。
スクリーンが大きいほど防風範囲が広がり、胸元や肩、頭部、頭頂部と拡大させることができますが、そのぶん走行時の空気抵抗は増えますし、横風などの影響も受けやすくなります。
まずは小さく短めのものをつけてみて、その効果を実感してみることをお勧めします。

スクリーンには車種専用品と汎用品があります。汎用品をつける場合は、ステーやスペーサーなどのフィッティングパーツを使って装着します。

バイクに荷物を積むためのカスタム

バイクには積載スペースがほとんどありません。
ツーリングの携行品などを積載するためにはソフトバッグまたはハードケースを車体に装着する必要があります。

バイクにモノを積みたい場合は、リュックやウエストバッグなどを使って自分の体にまとわせるか、車体にシートバッグなどを装着して収納するかの2択になります。
ロングツーリングの場合はなるべく体に負担をかけないようバイクに装着したバッグを活用し、レインウェアや工具なども携行するようにしましょう。

タンクバッグ

掲載モデル:タナックス ライトスポルトタンクバッグ_MFK-258

タンクの上面に装着する小ぶりなバッグで、財布やスマホ、モバイルバッテリーなどの小物の収納に便利です。バイクにUSB電源がなくても、タンクバッグ内のモバイルバッテリーから電力を取り、ハンドルマウントしたスマホにつなぐことで走行中の充電切れを防ぐことができます。

タンクバッグの装着にはマグネット式と吸盤式がありますが、近年のバイクは樹脂製タンクカバーを備えるものが多いので、吸盤式のほうが汎用性は高いと言えるでしょう。

タナックスでは、樹脂製タンクに貼りつけることでマグネット式タンクバッグが取付けられる「マグベース」も発売しています。

サイドバッグ・サイドパニア

掲載モデル:タナックス カービングシェルケース_MFK-273

パッセンジャー(タンデム)シートの左右に装着するのがサイドバッグです。
その形状から、かつては振り分けバッグなんて呼ばれていました。
近年のバイクはリヤカウルが小さいものが多いので、あまり大きなバッグだと物理的にうまく装着できないこともあります。

そうした場合は別売りのサイドバッグサポートなどを装着し、サイドバッグが傾いたりタイヤに巻き込まれたりしないようにバッグを固定します。
また、ウインカーやテールランプが隠れてしまうと危険ですし、警察の取締りを受ける可能性もありますので装着は慎重に行いましょう。

サイドパニア(サイドケース)は、ABS樹脂などのプラスチック製ケースです。
形が崩れない、防水・密閉効果が高い、脱着や持ち運びが容易、鍵が掛けられるといったメリットがあります。
装着用のフレームやステーも必要となるため、サイドバッグよりは高価になりますが、頻繁に使う方にはお勧めです。

掲載モデル:プロト ヘプコ&ベッカーサイドケース エクスプローラー 30 左 シルバー

シートバッグ

掲載モデル:タナックス ミニフィールドシートバッグ_MFK-100

パッセンジャー(タンデム)シートの上やリヤキャリアなどに装着するのがシートバッグです。
大小さまざまなサイズのものが発売されていますが、最も小さいもので5Lほど、キャンプツーリング用の大きなもので70Lほどとなっています。

キャンプツーリングを頻繁に行うといった場合には、バイクにリヤキャリアを装着し、そこにシートバッグを載せることをお勧めします。
キャンプ場での脱着がラクに行なえますしバッグ落下の恐れも少なくなり安心です。

トップケース

掲載モデル:プロト ヘプコ&ベッカートップケース エクスプローラー 45 シルバー

ABS樹脂などのプラスチック製の箱で、シートバッグに比べて型崩れしない、防水・密閉性能が高い、鍵があることにより防犯性能も高いといったメリットがあります。
また、ケースの上にさらにソフトバッグを積むといったやり方で、安定して積載量を増やすこともできます。

トップケースを装着する場合は、まずリヤキャリアや専用のフレーム・ステーといったパーツをリヤ回りに装着する必要があります。
購入時はそうしたフレーム・ステーとケース本体を合わせた費用が必要になるので比較的高価になりますが、使い勝手や安心感は抜群です。

定番のマフラーカスタム


マフラーはバイクカスタムの定番です。
見た目はもちろんのこと、パワーアップや軽量化などバイクの運動性や取り回しのしやすさにも影響します。

マフラーは排気音のみならず、バイクの外観に大きな影響を与えるパーツです。
また、純正のスチール(鉄)製マフラーをアフターパーツメーカーのアルミ製、ステンレス製、チタン製、カーボン製のマフラーに交換することで、軽量化やパワーアップにつなげることもできます。

日本ビート工業 NASSERT Evolution Type II(チタン+ブルーチタンサイレンサー仕様)

マフラーはサイレンサー(消音器)部のみのもの(スリップオン・タイプ)と、エキゾーストパイプとサイレンサー部がすべて一体となったもの(フルエキゾースト・タイプ)の2タイプで販売されています。

スリップオン・タイプのほうが価格が安く手軽にカスタムできます。フルエキゾースト・タイプはネイキッドバイクなどエキゾーストパイプがむき出しになっているものに装着するとより一層引き立ちます。

購入時の注意点は、JMCA(全国二輪車用品連合会)の保安基準を満たしているかどうかです。
マフラーのサイレンサー部にJMCAマークがあることを確認してください。
それがないマフラーは音量規制による整備不良で検挙されたり、二輪車排出ガス規制により車検を通らなかったりする場合があります。

ネットで安価に売られているマフラーには保安基準を満たしていないものや有名メーカーの模造品(コピー商品)もあるので購入時には注意しましょう。

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バイクのマフラーの違いと交換時に知っておきたいこと

バイクのカスタム、どこからやるのか?

バイクをカスタムしたいと思う理由や動機は人それぞれで、カスタム自体を目的としている人もいれば、何らかの目的のための手段としてカスタムをする人もいます。

例えばマフラー交換の場合、のぺっとした純正の見た目がカッコ悪いから社外品のカッコいいものに交換したいという人もいますし、音質向上やパワーアップ、走行時や取り回しでの軽量化を目的に交換する人もいます。

カスタムの理由や目的はそれぞれでいいのですが、“何のために”の部分をよく考えると、カスタムの優先順位が見えてきますよ。カスタムにはお金もかかりますからね。

ちなみに、私個人の優先順位は“ロングツーリングでの快適・安全性のために”ETC車載器やUSB電源の装着となります。
皆さんもぜひ自身の用途にあったカスタムで、バイクを便利かつ快適にしてください。

※製品写真及びディティール写真は各社公式サイトより引用

筆者プロフィール

田中淳磨

二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。