バイクはオービスで捕まらないって本当?オービスについて解説!
公開日:2024.03.31 / 最終更新日:2024.03.31
普段道路を走っているとき「スピード違反」を意識する人は多いと思います。
一般的に検挙数の多い交通違反は一時停止違反、最高速度違反(スピード違反)、通行禁止違反の順となっています(2021年「道路の交通に関する統計」)。
この中でも運転者にとってスピード違反が強く意識されているのは、幹線道路や高速道路などに自動で取り締まりを行う機械「オービス」が設置されている事も関係しているのではないでしょうか?
今回はオービスの種類や機能、バイクも検挙されるのか?などについて説明します。
オービスとは
オービス(ORBIS)の正式名称は「速度違反自動取締装置」です。
道路上の支柱に懸架されていたり道路わきに建てられている機械で、対象車両を撮影するためのカメラ、対象車両の速度を測定するレーダー、通信装置などを備え、スピード違反をしながら迫ってくる対象車両を自動的に検知、測定、撮影、記録、送信などしています。
なお、撮影しているのは車両のナンバープレートと運転手です。
フラッシュライトを光らせることもできるので夜間でも鮮明に撮影することが可能です。
その場で検挙されるのではなく、後日車両の所有者に出頭通知書が送付されてくる仕組みです。
オービスの設置場所
なお、オービスは次のような場所に設置されることが多くなっています。
①幹線道路の長い直線区間
②高速道路の直線区間
③事故が多発する区間
④スピード違反が多発する区間
また、近年は小型軽量化された可搬式オービスを次のような場所に設置することも増えています。
①小学生などの通学路
②ゾーン30(最高速度30 km/hの区域)
③見通しの悪い道路
オービスの種類
オービスは大きく分けると3種類に分類されます。
固定式
路上や道路わきなどに常設されているオービスです。機能や形状などにより種類は多岐にわたります。
レーダー式
1980年代に登場。最も旧式のオービスでマイクロ波レーダーを対象車両に照射することで速度を計測するタイプです。
道路の真上にレーダー照射機器が懸架され道路わきにカメラが設置されています。
カメラがフィルム式でメンテナンスが難しいこともあり他のシステムに置き換わりつつあります。
Hシステム
1992年に登場。レーダー式オービスのカメラをデジタルCCDカメラとしたもので四角い白いアンテナが特徴です。
こちらもメンテンナンス上の理由などで撤去が進んでいます。諸説ありますがHはHIGHSPEEDのHとされています。
ループコイル式
1980年代に登場。路面に埋設された3つのループコイルセンサーで通過車両の速度を計測する仕組みです。
フィルムカメラが使用されていましたが、現在は仕組みがLHシステムに受け継がれて更新中です。
LHシステム
1994年に登場。ループコイル式の進化版で、現在固定式オービスでは最も設置数が多いタイプです。
カメラは道路わきなどに設置されています。名称については、LはLOOPCOILのLで、HはHシステムのHとされています。
レーザー式
最も新しいタイプです。レーザー光を照射し対象車両を立体的にとらえることで速度を計測するタイプです。
従来の電波を用いる方式から光を用いる方式となり計測の正確性が向上しており、今後はレーザー式オービスが主流になりそうです。
移動式
持ち運びが可能で設置場所を自由に変えられるオービスです。
照射方式によりレーダー式とレーザー式がありますがレーザー式が主流となっています。
また、近年は市販のレーダー探知機が探知できない光電管方式のものが使われることもあります。
可搬式
2016年に登場。街頭での速度取り締まり(ネズミ捕り)に使われるオービスです。
三脚を使ってわずかなスペースに設置できるので、ゾーン30や通学路、抜け道などの歩道上で使われています。
対象車両の速度を測定し運転手の撮影をしますが車両を停止させないことも多く、その場合は管轄の警察署などから車両の所有者に後日出頭要請の連絡があります。
半可搬式
可搬式よりも大型で重いためトラックやワンボックスカーなどの荷台に乗せて移動させるものを半可搬式と呼んでいます。
可搬式と違い、大きめの土台にバッテリーが搭載されているのが特徴です。
半固定式
固定式と移動式のメリットを併せ持ったタイプです。
高速道路などの道路わきに電源設備を備えたケージを複数設置し、オービス本体をその時々によって移動させて計測拠点(ケージ)を変えながら運用されるものです。
事故発生状況などを踏まえて定期的に撮影場所を移動させているようです。
オービスとNシステムの違い
外見はよく似ている2つの機器ですが用途が異なります。Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置 ※上写真)は走行中のナンバープレートを自動的に読み取り、手配車両と照合するためのシステムです。交通検問のように渋滞を引き起こす心配がなく追跡車両を探すことができます。NシステムのNはNumberのNです。
なお、オービスの場合は撮影区間の手前に「速度自動取締機設置路線」といった案内看板が設置されていることがありますが、犯罪捜査に活用されるNシステムには当然そのような看板はありません。
オービスが光るとどうなる?
オービスが反応する速度
一般的に、オービスが作動する速度は一般道で30km/hオーバー、高速道路で40km/hオーバーと言われています。
どちらも検挙されてしまうと一発免停(1回の違反で免許停止処分)となる数値で、前歴がなくても30日間の免許停止処分および刑事処分(6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金)が科され、前科としての記録も残ってしまいます。
免許停止処分は、過去3年以内に免許停止・取り消し処分を受けていない人が累積で6点以上14点以下となった時点で受ける処分で一定期間運転ができなくなるものです。
オービスが作動すると言われている速度違反の数値はどちらも1回の速度超過違反で6点となるため、いわゆる赤キップ(告知票・免許証保管証)が交付され、免許停止となります。
また、超過速度が50km/h以上の場合は違反点数が12点となるため、過去3年以内に免許停止などの前歴がある場合は免許取り消しとなってしまう場合もあります。
速度超過違反の処分・違反点数・反則金(二輪車・原付の場合)
速度超過違反
(km/h) |
違反点数 | 反則金 | ||
一般道路 | 高速道路 | 二輪車 | 原付 | |
1~14 | 1 | 7,000円 | 6,000円 | |
15~19 | 1 | 9,000円 | 7,000円 | |
20~24 | 2 | 12,000円 | 10,000円 | |
25~29 | 3 | 15,000円 | 12,000円 | |
30~34 | 6 ※1 | 3 ※1 | 高速道路なら20,000円。
一般道路なら赤キップ ※2 |
反則金ではなく刑事罰 ※1 |
35~39 | 3 ※1 | 高速道路なら30,000円。
一般道路なら赤キップ ※2 |
||
40~49 | 6 ※1 | 反則金ではなく刑事罰 ※1 | ||
50~ | 12 ※1 |
※1
一般道で30kmオーバー、高速道路で40kmオーバーで検挙されると赤キップ(刑事罰の対象)となり、免許停止(または免許取り消し)に加え、刑事処分(6ヵ月以下の懲役刑、または10万円以下の罰金刑)が科せられ、前科もつきます。
※2
高速道路を走れる二輪車(126cc超)の場合です。
バイクもオービスで捕まる可能性はある
オービスの多くはオービスに向かってくる車両を前方から計測・撮影する方式です。
ですから、ナンバープレートが後ろにしかついておらず、運転手の顔もヘルメットで判別しにくい(確認できない)バイクは捕まらないのでは?という話があります。
しかし、結論から言うと捕まる可能性はあります。
移動式オービス
移動式オービスによる取り締まり(ネズミ捕り)の場合、基本的には警察官が立ち会うためナンバープレート等が目視確認されその場で検挙となるケースです。
オービス検知後のパトカー追跡
高速道路などでよく行われている、オービス測定からのパトカー追跡による取り締まりです。
駐車スペースやインターチェンジなどで待機しているパトカーが追いかけて取り締まります。
オービス画像から逮捕された例も
オービス画像をもとにバイクで速度超過を繰り返していた人が逮捕された事例もあります。
2012年11月、京都府警がオービスの設置区間で90回以上も速度超過を繰り返していたライダーの男性を逮捕しました。
最終的には捜査員が張り込んで39km/hオーバーで現行犯逮捕となりました。
極端な例ですが、こうしたオービス撮影画像をもとにしたバイク運転者の逮捕は近年でも確認されています。
オービスで車両や運転者を特定できなくても、速度超過を繰り返していると管轄の警察署や交通機動隊で共有され、やがては手配が回るようになります。
通勤・通学で毎日のようにオービスの前を通る人も多いと思いますが、日常的なスピード違反は検挙につながる可能性があることを知っておきましょう。
クルマ以上に事故時の死亡率が高いバイクの挙動は警察も重点的に見ています。
ある日、張り込みで捕まって「ほかのクルマもやってるじゃん!」は通用しないのです。
オービスはバイクも含めた道路上の安全を守る機械
速度超過は多くの交通事故の要因です。速度を抑えているだけで死亡事故が重傷や軽傷で済むこともあります。オービスがある区間は周囲のクルマも自重します。オービスが交通安全に果たす役割は想像以上に大きいのです。
必要以上に怖がる必要はありませんが、道路上の安全を守るための機械と思い、素直にスピードメーターに目をやってスロットルを戻し、速度を落として安全運転を意識しましょう。