バイクのスペック表の見方は?項目ごとに内容を解説!
公開日:2023.12.23 / 最終更新日:2023.12.23
バイクを選ぶときや比較するときに、その性能や特性の目安になるのがスペックです。
バイクメーカーのカタログには必ずスペック表(諸元表)のページがあり主要なものが明記されています。
近年では主要緒元の他に排出ガス規制や騒音規制への対応といった環境仕様が掲載されたものもあります。
それぞれのスペックにどのような意味があるのかがわかれば、カタログを見ただけでバイクの特性や選択のポイントがイメージできるようになりますよ。
バイクのサイズに関するスペック
バイクの大きさ・サイズに関するスペックを紹介します。
大きい、小さいといった感覚はライダーの体格にもよりますから、あくまでもひとつの目安として考えましょう。
また、バイクのサイズの表記単位には一般的にミリ(mm)が使われています。
全長(ぜんちょう)
バイクの前端から後端までの長さです。フロントタイヤからリヤタイヤ、またはバイクのデザインによってはフロントタイヤからリヤフェンダーやナンバープレートステーなどとなります。
全幅(ぜんぷく)
バイクの左端から右端までの長さです。ミラーを除いて幅が最も広い部分となります。
たいていはハンドルバーエンド間の長さとなりますが、サイドケースを標準装備したモデルはケースの側端間で計測される場合もあります。
全高(ぜんこう)
バイクを垂直に立てて、保安部品やミラーを除いて、地面から車体の一番高いところまでの高さです。
シート高(しーとこう)
バイクを垂直に立てて、地面からシート座面の最も低いところの高さです。
なお、足つき性の目安となる数字ですが、実際にはシート幅も大きく影響するので、シート高イコール足つきの良さとは限りません。
ホイールベース
軸距(じくきょ)とも言い、フロントホイールの中心(前車軸)からリヤホイールの中心(後車軸)までの距離です。
長いほど直進安定性が増し、短いほど旋回性が増す傾向にあります。
一般的にはバイクが大きくなるほどホイールベースも長くなります。
最低地上高(さいていちじょうこう)
バイクを垂直に立てて、タイヤを除いて、地面から一番近い部分から地面までの距離で、車高(しゃこう)と呼ばれることもあります。
オフロードモデルなど不整地走行を前提としたバイクは高くなり、足つき性も悪くなる傾向となります。
車両重量(しゃりょうじゅうりょう)
車体全体の重さです。
ガソリンやオイル類を除いた場合の乾燥重量と、ガソリンやオイル類を加えて走行できる状態の装備重量がありますが、通常は装備重量を指しています。
最小回転半径(さいしょうかいてんはんけい)
車体を垂直にした状態でハンドルを目いっぱい切って(ハンドルフルロック状態)小回りをした際の半径で、車両を取り回す時の目安になる数値です。
ホイールベースが短くてもハンドルの切れ角が少ないと大きな半径になります。
カスタムパーツ装着後の寸法と車検について
新車は問題ないですが、車検の必要な中古車(250cc超)を購入する時は、念のためお店の人に「カスタムパーツ装着状態で車検に通るかどうか」を確認してください。
なぜなら、カスタムパーツを装着することで全高・全幅・全高などが大きく変わると車検に通らない場合があるからです。
規定値は以下です。
車検証の数値からの許容範囲
全長:プラスマイナス3cm
全幅:プラスマイナス2cm
全高:プラスマイナス4cm
例外となるパーツ
以下のパーツは許容範囲を超えても除外されます。
キャリアについては道路交通法施行令の範囲(積載制限の寸法に注意)であれば車検に通ります。
・スクリーン
・グラブバー
・バックレスト
・レバー類(バーエンドはNG)
・キャリア
バイクのエンジンに関するスペック
バイクを構成するパーツの主役がエンジンです。
クルマと違ってエンジンが見えることが多いバイクでは、エンジンの種類がバイク全体のデザインや設計にも大きな影響を及ぼします。
スペックごとに概要を紹介します。さらに詳しいことはリンク先の【関連記事】を参照ください。
燃料供給方式(ねんりょうきょうきゅうほうしき)
燃料供給方式とは、昔からある機械式のキャブレターまたは電子制御化されたフューエルインジェクション(略称FI・電子制御燃料噴射装置)のことです。
エンジンの燃焼室に燃料を送る際には、ガソリンと空気を混ぜて霧状にして爆発を促しますが、その役割を担う部品です。
なお、排出ガス規制が厳しくなった現在は、国内販売モデルでキャブレターを採用したバイクはありません。
原付一種スクーターから大型バイクまですべてFI(下写真)が採用されています。
原動機種類(げんどうきしゅるい)
エンジンにも様々な種類がありますが、バイク用としては構造により4ストロークエンジンと2ストロークエンジンに大別されます。※上図はスズキジクサー150の4ストロークSOHC単気筒エンジン
エンジンの作動行程に違いがあり、4ストロークは吸入、圧縮、爆発、排気と4つの行程で行われますが、2ストロークは吸入・圧縮と爆発・排気の2行程で行います。
それぞれ、4行程で1サイクルなので4サイクルエンジン、2行程で1サイクルなので2サイクルエンジンとも呼ばれます。
どちらにもメリット・デメリットがありますが、現在は排出ガス規制等の問題により2ストロークエンジンを採用したバイクは競技用などわずかしかラインナップしていません。
気筒数(きとうすう)
気筒とはエンジン内部のシリンダー(英語で円柱のこと)のことで、この筒の中をピストンが高速で往復しています。
シリンダーが1つなら単気筒、2つのものは2気筒と呼び、3気筒、4気筒のほか国内現行モデルで言えば6気筒が最大数となっています。
気筒数が増えると高回転時にスムーズにパワーが出せるようになり、バイクの最高速度も上げることができます。
ただし、エンジン自体が重くなり燃料もたくさん使うので燃費も悪くなります。
シリンダー配列(はいれつ)
シリンダーの並べ方が変わると、エンジンの見た目も出力特性も大きく変わります。
エンジンの前後長が短くトルクとパワーのバランスも取りやすいため主流となっている並列(メーカーによっては直列とも)、エンジン幅をスリムにできトルク感も出しやすいV型、全高が低いため車両の低重心化がはかれて振動も打ち消しやすい水平対向というのが主なタイプです。
配列が同じでも気筒数によってベースのポテンシャルが変わりますし、クランクの位相によって各気筒の爆発のタイミングなどが違えば乗り味は全く別物となります。
さらに、搭載コンピュータのセッティング(走行モードなど)によっても細かい味付けや大きな変化を出すことが可能となっています。
冷却方式(れいきゃくほうしき)
エンジンは熱を持ち続けるとオーバーヒートなどで壊れてしまいますので冷却機構を持っています。
表面積を増やすためのフィン(ひだ)を外壁に持ち走行風でエンジンを冷やす空冷式、冷却水をシリンダーの内側(ウォータージャケット)に流しラジエーターで冷やしながら循環させる水冷式、冷却水の代わりにエンジンオイルを流しオイルクーラーで冷やして循環させる油冷式があります(スズキ ジクサー250などの油冷エンジン)。
なお、油冷式はシリンダーヘッド上にポンプでくみ上げたエンジンオイルを直接噴射する方式もあります(1980~2000年代のスズキ油冷エンジン)
バルブ駆動方式
バルブとは「弁」のことで、エンジン内部燃焼室に開いた吸気ポートと排気ポートの2つの穴(流路)を開いたり(吸気・排気時)、密閉したり(燃焼時)しています。
バルブはラッパのような形(上写真)をしていて、吸気用と排気用の2種類があり、末端(上部または端部)に連結されたカムシャフトにより動作しています。
この2種類のバルブを1本のカムシャフトで動かす機構がSOHC(OHC)で、小さなエンジンに用いられます。
2種類のバルブにそれぞれカムシャフトがある機構がDOHC(下図)で高回転・高出力型のエンジンに採用されます。
また、プッシュロッドによりロッカーアームを動かしてバルブを開閉させる方式のOHV方式もあります(1950年代のホンダ・スーパーカブ、1930年代~のハーレーダビッドソンなど)。
バルブ駆動方式の主な種類
SOHC:シングル・オーバー・ヘッド・カムシャフト。OHCと同義
DOHC:ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト
OHV:オーバー・ヘッド・バルブ
バルブ数
バルブ数とはひとつの気筒に対して何本のバルブがあるのかを示しています。
2本(吸気側1本と排気側1本)の場合は低回転でもトルクが得やすい構造で、4本(吸気側2本と排気側2本)の場合は構造が複雑になりますが高回転・高出力が得やすい構造となります。
上図はスズキKATANAの水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒エンジンで、1つの気筒につき4つのバルブ(吸気用2本・排気用2本)があり、合計16本のバルブが並んでいます。
【例】表記が「水冷 4ストローク DOHC 4バルブ 直列 4気筒」の場合
バルブを動かす機構がDOHC方式で、4つのバルブを持つシリンダー(気筒)が、横(バイクの進行方向に対して直角)に4つ並んでいる、水冷式の4ストロークエンジンであることを示しています。
最高出力
出力とはそのエンジンが出せるパワーのことです。
単位は国や時代の表記によって違いますが、
・kW(キロワット ※1馬力=0.7355kW)
・PS(ドイツ語のPferdestärke(馬力)の略)
・HP(英語のHorse Power(馬力)の略)
で出力を示し、その後にエンジン回転数が記載されます。
つまり「エンジン回転数がこれくらいの時にこれだけの最大出力を出せますよ」という情報です。
表記単位はさまざまですが、kWでもPSでもHPでも、エンジンパワーについて話す時は「このバイク、何馬力?」という会話ですから「41kWです」でも「56PSです」でも良いのですが、
日本では馬力の単位がPSで表現されることが多いため、その他の表記より馴染み深いと言えるでしょう。
【例】表記が「41 kW[56 PS]/11,000rpm」の場合
エンジン内部のクランクシャフトが1分間に11,000回転の時に41kW(56PS)を発揮するという意味です。
カタログではkWとPSが併記されることが多く、その後ろに回転数(rpm)が示されます。
カタログの数値はエンジン単体のカウンター軸で測定された出力(スクーターならエンジン側プーリーで測定)なので、シャシダイナモなどにバイクを乗せて駆動輪(リヤタイヤ)で測定した場合(後輪出力)はたいてい数値が小さくなるものなので、不安になったりがっかりしないでください。
なお、最高出力は一定環境条件時で測定されたものです。気圧や気温、湿度などが変われば値が変化します。
また、そうした状態を長時間続ければオーバーヒートでエンジンは壊れてしまいます。
長時間回し続けても安心できる出力の状態は「定格出力」というスペックになり、電動バイクのカタログには表記されることが多くなっていますし、車両区分の基準単位にも使われています。
最大トルク
トルクとはエンジン内燃焼室での爆発によりクランクシャフトを回す力のことです。
クランクシャフトはピストンの往復運動を回転運動に変えている棒状のパーツで、その力が最終的にリヤタイヤを回しています。
基本的にエンジンの排気量が大きくなればトルクは大きくなります。
トルクの単位にはN・m(ニュートン・メートル)とkgf・m(キログラム・メートル)がありますが、日本国内ではkgf・mが長く使われてきたので、そちらのほうが馴染み深いかもしれません。
「エンジンが最も効率よく回転した時に発生するトルクの最大値」ということです。
【例】表記が「39 N・m[4.0 kgf・m]/9,500rpm」の場合
エンジン内部のクランクシャフトが1分間に9,500回転の時に39 N・m(4.0 kgf・m)を発揮するという意味です。
2つの単位が併記されることが多く、その後に回転数(rpm)が記載されます。
昔のカタログには「性能曲線」があった
近年のカタログにはほとんどありませんが、昔のバイクやクルマのカタログにはエンジンの性能曲線が掲載されていました。回転数を横軸とし、パワーカーブとトルクカーブが描かれていて、出力特性がイメージしやすくなっていました。
その他の重要なスペック
その他にも、知っておいた方がよいと思われるスペックを紹介します。
バイクを買ったら1人乗り専用車だったなんてこともありますから、購入時には念のため確認してください。
乗車定員
運転者を含め、そのバイクに乗れる人数です。サイドカー・トライクなどの特殊な車両を除けば、バイクは1~2名の乗車定員です。
2人乗りができる車両にはタンデムステップ、タンデムシート、タンデムバーまたはタンデムベルトが備えられています。
法律上、原付一種(50cc以下)のバイクは2人乗りできません。
また、それ以上の排気量の1人乗り用バイクを2人乗りできるようにするためには上記の装備を車両に備え、管轄の運輸支局等で構造変更手続きを行う必要があります。
燃料タンク容量
そのバイクの燃料タンクで、満タン時にガソリンが何リットル入るかの表記です。
この数値が大きければ1回の給油で走れる距離〈航続距離〉が長くなります。
なお、ガソリン1リットルは約0.75kgです。
燃料消費率
ガソリン1リットルで何km走れるかの目安となるものです。
カタログには、平坦路を一定の速度で走行した時の定地燃費値と、発進・加速・停止などを含んだ公道走行時に近い計測方法によるWMTCモード値の燃費が書かれています。
実際には走行環境はもちろんのこと、ライダーのスロットル操作(特に加速時)ひとつでも大きく燃費が変わってきますので、あくまでも目安ですが、WMTCモード値のほうがより現実的な数字だと言えます。
スペック表の数字でバイクの特性が見える
バイクの主なスペックについて説明しました。
それぞれの数値がどのような意味や効果を持っているのか、その特性が何となくわかって頂けたかと思います。
まったく同じ並列4気筒エンジンでも、スーパースポーツモデルでは高回転型にセッティングされ、カウルを外したネイキッドモデルでは低・中回転重視のセッティングになることもあります。
エンジンタイプごとにレンタルバイクを借りるなどして意図的にいろいろなバイクに乗ることで肌感覚のデータとして自分自身に蓄積させていくと、バイクの性能や特性のパターン化が身につき、スペックや機構がどういうものかの理解も進むと思います。そういう楽しみ方もありですね!