オイル交換 オイル排出

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エンジンオイルはいつ交換すべきでしょうか。車種ごとに用意される取扱説明書には初回交換時と2回目以降の交換時期について書いてあります。
不純物を取り除くオイルフィルターの交換時期についても同様です。

ただし、それらはあくまでも目安です。普段から自分自身で量や色といったエンジンオイルの状態を点検しておくことも大切です。
エンジンオイルは潤滑以外にも様々な役割を担っていて、汚れのひどい状態で使い続けるとエンジントラブルの原因にもなりますから気を付けてください。

目次
バイクのオイル交換時期の目安
  エンジンオイル交換時期の3つの基準
  初回のオイル交換のタイミング
  オイルフィルター(オイルエレメント)は2回に1回の頻度で交換
  交換タイミングを忘れないための工夫
  車検では審査されない
オイル交換時期の目安を考えるときの注意点
  オイル交換の時期は条件によって異なる
  メーカー発表の情報はメーカー純正オイルの使用を前提としている
  オイル量が少ないバイクは早めの交換が望ましい
  エンジンオイルはバイク用を使う。クルマ用だとトラブルの可能性も。
バイクのオイル交換が必要な理由とオイルの役割
  定期的にオイル交換が必要な理由
  エンジンオイルの主な役割
バイクのエンジンオイルの種類と特徴
  鉱物油
  化学合成油
  部分合成油
バイクのエンジンオイルの粘度
  低温粘度の見方
  高温粘度の見方
オイル交換は目安に加えてセルフチェックも!

バイクのオイル交換時期の目安

メンテナンスノート オイル交換時期の記載

エンジンオイルの交換時期の目安として、走行距離、交換頻度、オイルの色の3つの基準があります。自分のバイクの目安は取扱説明書に記載されています。

エンジンオイル交換時期の3つの基準

原則的には取扱説明書(WEB閲覧できる車種もある)の通りに行うことですが、交換時期の目安には3つの基準があります。

メンテナンスノート

走行距離

一般的なモデルでは3,000~5,000kmごとのエンジンオイル交換を推奨しています。なお、早く交換するぶんにはデメリットはありません。

交換頻度

バイクにあまり乗らない場合でも6か月に1度はエンジンオイルを交換することが望ましいとされています。
走行距離や乗る頻度が少なくても外気温や湿度などの環境変化によってエンジンオイルが劣化していくからです。

オイルの色

エンジンオイル 色
オイルの色はクランクケースの窓からのぞく、またはオイルレベルゲージを使って確認します。
上の写真は3,000km走行後のエンジンオイル(左)と新品時のエンジンオイル(右)を並べたものです。走行後のオイルが黒いのはエンジン内部の汚れを取り込んで酸化・劣化した状態だからです。

初回のオイル交換のタイミング

多くのモデルでは、新車購入後の初めてのオイル交換は1,000km走行時または1か月点検の時に行います。
慣らし運転の期間中に金属同士が擦れて当たりが出ていく過程でオイル内に金属粉が混ざりやすいからです。

オイルフィルター(オイルエレメント)は2回に1回の頻度で交換

オイルフィルター
オイル内の不純物を取り除くためのオイルフィルターはクランクケースに装着されています。
フィルターの汚れがひどくなる前に定期的な交換が必要です。
フィルターの交換頻度も取扱説明書に従いますが、一般的にはオイル交換の2回に1回の頻度で交換します。

交換タイミングを忘れないための工夫

オイルステッカー
次回のオイル交換を忘れないために、作業が終わったら、日にち、走行距離、オイルフィルターを交換したのかどうかを記録しておきましょう。下の写真は「ヤマルーブ オイルチェンジキット」に同梱されていた便利なオイルステッカーです。

車検では審査されない

ちなみに、車検をお店にお願いするとオイル交換を勧められることも多いですが、オイルに関する項目は車検では検査されません。

オイル交換時期の目安を考えるときの注意点

オイル交換 準備
メーカーが指定している交換時期の目安は純正オイル使用時が前提です。
気温などの環境条件、バイクの走行・使用状況によっては早めの交換がおすすめです。

オイル交換の時期は条件によって異なる

取扱説明書に記載されているオイル交換時期はあくまでも目安です。気温や湿度などの環境条件や走行・使用状況によっては早めに交換するなど気を使いましょう。

例えば、サーキットや高速道路などで高回転域まで使うことが多い場合は1,000~1,500kmごとの交換が安心です。
なお、レーサーマシンをベースとした公道走行可能モデルだとオイル交換の走行距離は短めに設定される傾向にあります。

メーカー発表の情報はメーカー純正オイルの使用を前提としている

取扱説明書に記載されている走行距離などの条件は、メーカー指定の純正オイルを使っている場合です。他のオイルメーカーのオイルを使っている、グレードを変えている、粘度を変えているといった場合は、オイルの色や減り方に気を配りましょう。

オイル量が少ないバイクは早めの交換が望ましい

オイル交換の頻度で気を付けたいバイクは、オイル量が少なく汚れやすい50~250ccといった排気量の小さなクラスです。中でも、オイルが減りやすい傾向にある空冷エンジンや油冷エンジンを搭載しているバイクは2,000kmごとなど早めの交換がおすすめです。

夏場や梅雨時、冬場には頻繁に確認を

炎天下での走行となる夏場はオイルが減りやすい季節です。
オイル窓からのぞくなどしてオイル量が規定の範囲内にあるかをこまめに確認し、減っているようなら補充します。

なお、オイル窓をのぞく時は車体をなるべく直立させてください。
LOWERレベルとUPPERレベルの間、適切な位置に油面があればOKです。

ちなみに、オイルを入れすぎるとクラッチが切れなくなるなどトラブルの元になります。
入れすぎた場合はドレンボルトから少し抜くなどして調整しましょう。

オイル窓

また、湿度の高い梅雨時や寒暖差の激しい冬場はオイルに水分が混入しやすい季節なので、色をこまめに確認しましょう。

水分が混ざるとオイルは乳化してコーヒー色になってしまいます。

エンジン内部のサビの原因にもなるので、ストップ&ゴーが多い50~125ccスクーターや長い間乗っていない車両は特に注意です。

エンジンオイルはバイク用を使う。クルマ用だとトラブルの可能性も

オイルを買う時は必ずバイク用のエンジンオイルを選んでください。
バイクはエンジン内部と同じオイルでクラッチ(湿式)も潤滑しているからです(※乾式クラッチは除く)。
バイクはクルマよりも高回転を使うため高熱・高負荷になり、クルマ用オイルだと耐えられない可能性があります。

バイクのオイル交換が必要な理由とオイルの役割


エンジンオイルはエンジンの血液です。エンジンオイルが汚れれば、円滑、洗浄、冷却、密封、防錆といった5つの作用が弱まってエンジン内部のトラブルにつながります。

定期的にオイル交換が必要な理由

エンジンオイルは使えば使うほど汚れていきます。汚れたエンジンオイルは性能が落ちていき、やがてエンジン性能の低下、異音発生などのトラブルにつながります。

エンジンオイル交換をしないでいるとオイル内の不純物が多くなりエンジン内部が摩耗して動きを鈍らせ、加速が鈍くなったりパワーが落ちたり燃費が悪くなるほか、冷却効果も弱まって、最悪の場合エンジンが焼きつく可能性もあります。

エンジンオイルの主な役割

エンジンオイルには以下のような役割があります。エンジンオイルはエンジンにとっての血液のようなものですから、血液が汚れれば病気をするように、オイルが劣化していくとエンジンもコンディションを保てなくなります。

円滑作用

エンジン内部の金属同士の摩擦を減らして、各部の動きを滑らかにします。
部品の摩耗を防ぐことでパーツの寿命を延ばしてエンジンの好調さを保ちます。

洗浄作用

エンジン内部を循環して燃焼時のスラッジ(燃えカス)や金属粉などの汚れを吸い取ります。
吸い取った汚れはオイルフィルターがキャッチする仕組みです。

冷却作用

エンジン内部を循環して燃焼や摩擦で発生した高温の熱を吸収し各部の温度を下げます。
熱を持ったオイルはエンジン下部のオイルパンで冷やされて、また循環していきます。

密封作用

シリンダー内に位置するピストンとピストンリングの隙間を油膜で覆って密封することでガス漏れ(燃焼ガスが漏れること)を防ぎます。
ガス漏れがあるとエンジンが不安定になり本来の性能を発揮できなくなります。

防錆作用

エンジン内部に油膜を張ることで、金属部品が空気と触れて酸化することを防ぐとともに、エンジン停止後の結露による水分発生も防ぎます。
結露は寒暖差の激しい冬場に起こりやすく、内部に水分が発生すると各部の錆や腐食につながってしまいます。

バイクのエンジンオイルの種類と特徴

エンジンオイル

エンジンオイルには、鉱物油、化学合成油、それらの中間的な部分合成油と3つの種類があります。
高性能なエンジンオイルは高温耐性や油膜強度に優れますが高価です。

最も大きな違いはそれぞれのベースオイルで、それらに様々な添加剤を加えることでエンジンオイルが作られています。

鉱物油

原油を蒸留してできたベースオイルを基に作られ、ミネラルオイルとも呼ばれます。
最も基本的なエンジンオイルで純正指定されることも多く安価です。
通常の使用であれば必要十分な品質と性能を持っています。

化学合成油

高温耐久性が高く油膜強度にも優れたポリマー系ベースオイルまたはエステル系ベースオイルを基に作られ、シンセティックオイルとも呼ばれます。
低温時の流動性、高温時の油膜強度など過酷な条件にも対応できます。

高回転域を多用し、比較的エンジンへの負荷が大きいスーパースポーツモデルなどでは純正指定されることもあります。
価格は鉱物油の2倍以上と高価です。

部分合成油

鉱物油と化学合成油の中間的存在です。
化学合成油のベースオイルに鉱物油を混ぜているため半化学合成油とも呼ばれ、性能と価格のバランスがよく人気です。
スポーツバイクで純正指定されることも多いオイルです。

バイクのエンジンオイルの粘度

エンジンオイル 粘度

エンジンオイル選びで頭を悩ませるのが規格のひとつである粘度です。
外気温への対応力と高熱になるエンジン内部での油膜せん断性によって定められています。

エンジンオイルには粘度という規格が設定されています。
「10W-40」のような表記がされており、低温粘度(10W)と高温粘度(40)が表示され、適応する外気温環境とエンジン内が高温時の油膜せん断性を示しています。
エンジンオイル 粘度

低温粘度の見方

数字が小さいほど寒さに強くなり、オイルは柔らかくなってエンジン内部での抵抗が減り、極寒時の始動性や燃費が高まります。
冬場の始動性を良くしたい旧車の大型バイクなどに適しています。
Wの文字は「Winter」のWから取っていて、10Wの場合で-25℃(厳寒期早朝の北海道くらい)まで対応できます。

高温粘度の見方

オイルの温度が100℃の時の油膜のねばり具合を示しています。
数字が大きいほど油膜が切れにくく(油膜のせん断安定性が高い)、高出力エンジンに適しています。

少し難しい話になっていますが、自分のバイクの状態や使い方が特殊でなければ、メーカー指定の粘度を使っておくのが安心です。

参考までに特殊な例を紹介すると、ボア(排気量)アップなどエンジン回りに大きな改造をしている、旧車の大型バイクの始動性を良くしたい、定期的にサーキット走行をしたいといったものです。
こうした場合は、バイクの好調を維持するためにもオイルの粘度にまで気を使いましょう。

オイル交換は目安に加えてセルフチェックも!

エンジンオイル

バイクのオイル交換の目安について解説しました。
交換のタイミングについては、取扱説明書に記載されている走行距離や期間を目安に行い、さらに日常的にオイル窓などからオイルの状態をセルフチェックしていれば問題ありません。

さて、街乗りとツーリングなど普通の使い方であれば鉱物油でも十分です。
オイル交換は用品店にお願いしても数千円程度と費用的に安価ですし作業時間も長くはかかりません。

では、普通のバイクユーザーが価格の高い部分合成油や化学合成油に交換することのメリットは何でしょうか。

それは「エンジンをいたわること」です。

鉱物油に比べて高温耐性や油膜安定性のマージンを大きく広げられるので、単気筒での高速道路走行(全開走行に近い)や街中でのスクーターのチョイ乗り(エンジンが暖まり切らない)など、実はエンジンにとって負荷が大きい使い方でも、エンジンへのダメージを抑えてくれるんです。

バイク販売店や用品店のスタッフに相談して決めるのもよいと思います。
ちゃんとオイルに気を使っていればバイクの寿命は間違いなく延びますよ。

筆者プロフィール

田中淳磨

二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。