実は難しい!? バイクのタイヤはこう選べ!
公開日:2020.02.12 / 最終更新日:2020.02.11
タイヤは走れば走るほど減っていく消耗品。いざ交換しようと思ったら、何を買ったらいいかわからないという声もよく聞きます。バイク用品の中でもけっこうわかりづらいタイヤ選びのポイントをご紹介します。
1.まずは純正タイヤを確認し、タイヤの種類も知っておこう
「タイヤを交換しようかな」と思ったら、まずは、いま履いているタイヤのサイドウォール(タイヤの側面)を見てみましょう。そこに、そのタイヤに関するほぼすべての情報が刻印されています。中でも確認すべきは【タイヤのメーカー、品名、サイズ】の3点です。なお、バイクメーカーの車両紹介ページにある仕様(スペック)項目でもタイヤのサイズを確認できますが、メーカーや品名までは記載されていないことが多いので、意外と確認の難しい用品だと言えます。
タイヤというものは、基本的にはサイズが合っていれば、履くことができます。ただし、タイヤのへん平率、ロードインデックス、スピードレンジ、チューブタイヤなのかチューブレスなのかといった点が乗り味や走行性能に大きく影響します。タイヤを選ぶときには、自分の普段の走り方や用途まで考える必要があります。
また、バイク用のタイヤには、構造上の違いとして「ラジアルとバイアス」の2種類があります。内部構造が全く違うのですが、ラジアルタイヤは耐久性や剛性が高く、グリップ性能に直結するコンパウンドという表面素材にも高性能なものが使われるため、値段も高価です。ただし、用途によってはオーバースペックということもあります。毎日、通勤・通学で走り、たまにツーリングに出かけるような使い方には、比較的安価で乗り心地の良いバイアスタイヤがむしろ最適と言えます。
なお、オフロードバイク用のタイヤの中には、自転車のタイヤと同じように、中にチューブを入れて使うものがあります。こうしたタイヤをチューブタイヤと呼び、対して、チューブの入っていない一般的なタイヤをチューブレスタイヤと呼んでいます。
2.タイヤサイズを見れば、タイヤの性格が推測できる
さて、タイヤ選びでぶつかる壁と言えば、肝心かなめのサイズ表がとてもわかりづらいことです。タイヤサイズの表記には、ミリメートル(メトリック)表記とインチ表記がありますが、日本人には普段から使い慣れているミリメートル表記の方が感覚的にわかりやすいと思います。さて、なぜこんなにサイズ表記が乱立しているのかはさておき、現在のISO表示を例にすると、リヤタイヤではこうなります。
いろいろと書いてありますが、自分のバイクのホイールが17インチであれば、まずはリム径のところで17の文字を探します。次にタイヤの幅やへん平率(タイヤの高さ÷タイヤの幅×100=へん平率 ※単位は%)を見ることでタイヤのトレッド面(地面と接触する面)のラウンド具合がわかり、基本的な性格が予測できます。とにかく、まずは、赤色のタイヤ幅の文字と青色のリム径の文字を探せるようになってください。
ちなみに、バイクのタイヤはトレッド面がラウンド形状なので、へん平率の数字が70など大きければ「取り回しが軽くなるし乗り心地も向上しそう。旋回性や燃費も上がりそうだ。スポーツ性が高まるな」なんてことがわかります。
一方、へん平率の数字が50など小さければ「平らに近いタイヤで旋回時も穏やかに切れ込みそう。ツーリング用途やクルーザーモデル向きかな?」などとそのタイヤの性格が推測できます。
ただ、実際にはへん平率の数字がタイヤの性格を決定的に決めるわけではありません。あくまでも参考にする程度です。以下は、バイアスタイヤとインチ表記の場合です。
ロードインデックス(タイヤ1本で支えることができる最大負荷能力)や速度記号(スピードレンジ:そのタイヤが走行できる最高速度)については、きっちりと覚える必要はないでしょう。なぜなら、タイヤサイズや構造によって、通常想定される範囲の性能が与えられているからです。それでも、必要だと感じたら下記サイトを参照ください。
●ダンロップ/タイヤの基礎知識/タイヤサイズ、表示の見方
https://tyre.dunlop.co.jp/tyre/products/base/size.html
3.目的や用途に合わせて候補を選ぼう
サイズが合っていれば履けてしまうのがタイヤですが、ここでは、目的や用途に合わせて候補を選ぶという考えで、タイヤメーカーの老舗であり、ラインナップが豊富なダンロップ(https://dunlop-motorcycletyres.com/)製タイヤを例にご紹介したいと思います。
こうした用途の場合、ストップ&ゴーの連続でタイヤの減り(摩耗)が速くなるので、比較的安価なバイアス仕様のスタンダードタイヤが選択肢に上がります。乗り心地も重要ですが、それ以上に、対候性や耐久性、雨天でも走行することを考えて排水性も考慮します。
□ダンロップで言うと下記タイヤが該当 ※写真はリヤタイヤ
国内メーカー車両の純正タイヤにも採用された実績を持つ、扱いやすくバランスの取れたスタンダードタイヤです。摩耗に強い長持ちタイヤのイメージですが、クセのない旋回性でスポーツ走行だって楽しめます。
■DATA
品 名:GT401
価 格:オープンプライス
サイズ:
○フロント
110/70-17M/C 54H
○リヤ
130/70-17M/C 62H
140/70-17M/C 66H
URL:https://dunlop-motorcycletyres.com/products/bias/gt401.html
高速道路からワインディングまでを想定し、全天候性が高く、接地感やグリップ性能にも優れるラジアルタイヤが最適です。
□ダンロップで言うと下記タイヤが該当 ※写真はリヤタイヤ
ダンロップが開発した最新の高性能ツーリングタイヤ。シリカ重点比率を従来比150%に高めた新たなコンパウンド「ハイ・シリカ・エックス」を搭載して雨天時のグリップ性能を高め、ロングライフ性能と両立させています。疲労・ストレス度を検証し従来モデルよりも快適な乗り心地としている。
■DATA
品 名:SPORTMAX ROADSMART Ⅳ/GT ※GTはFJR1300、1400GTRなど重量車向け
価 格:オープンプライス
サイズ:
○スタンダード フロント
120/60ZR17 M/C (55W)
120/70ZR17 M/C (58W)
130/70ZR17 M/C (62W)
110/80R18 M/C 58V
120/70ZR18 M/C (59W)
○スタンダード リヤ
160/60ZR17 M/C (69W)
160/70ZR17 M/C (73W)
170/60ZR17 M/C (72W)
180/55ZR17 M/C (73W)
190/50ZR17 M/C (73W)
190/55ZR17 M/C (75W)
190/60ZR17 M/C (78W)
140/70R18 M/C 67V
150/70ZR18 M/C (70W)
170/60ZR18 M/C (73W)
○GT フロント
120/70ZR17M (58W)
○GT リヤ
180/55ZR17M (73W)
190/50ZR17M (73W)
190/55ZR17M (75W)
URL:https://dunlop-motorcycletyres.com/lp/rs4/
サーキット走行を安心して楽しみたいならグリップ性能第一のラジアルタイヤが最適です。ラジアルタイヤの中でも上位ランクのタイヤとなり、剛性の高さと接地感の良さがポイントです。また、サーキットでタイムアタックをしたり本格的なレースに参戦したいならレーシングタイヤ(公道走行不可)が適しています。
□ダンロップで言うと下記タイヤが該当 ※写真はリヤタイヤ
ダンロップ社のアメリカ拠点で開発されたハイパースポーツラジアルタイヤ。スリックタイヤ・テクノロジーを駆使し、グリップ性能が高く、フロントに荷重をかけて曲がるような豪快なライディングが想定されています。公道走行可能なので、自走でサーキットに行きたい方には特にお勧めです。
■DATA
品 名:SPORTMAX Q4
価 格:オープンプライス
サイズ:
○フロント
120/70ZR17 (58W)
○リヤ
180/55ZR17 (73W)
180/60ZR17 (75W)
190/50ZR17 (73W)
190/55ZR17 (75W)
200/55ZR17 (78W)
GSX-R125、NS-1、TZR125など小・中排気量バイクでサーキットを本格的に走ることに適した公道走行不可のレーシングタイヤ。普段は大型バイクでツーリングしてるけど、たまにはミニモトで練習走行やレースを楽しみたいという方に最適です。
■DATA
品 名:Moto3
価 格:オープンプライス
サイズ:
○フロント
90/80R17
○リヤ
115/75R17
いかがでしたか。タイヤの世界はとても奥深いものです。自身の技量や感覚、車両によっても、何が最適なのか、どういうタイヤが好みなのかが分かれます。
ただ、ひとつ言えることは、タイヤは消耗品だと言うことです。高いラジアルタイヤを買い、真ん中だけしか減っていないからと無理して履き続けるよりは、安いバイアスタイヤをちゃんと履き替えたほうがバイクの挙動もスムーズで走りを楽しめます。
数が多いので迷ってしまいますが、ぜひ自分に最適な一本を見つけて下さい。