‘21年9月、アップルから「iPhoneのカメラが故障するので、バイク装着時は対策を」という注意喚起が発表されました。故障の原因は、エンジンの振動による高周波! 対策するには防振マウントの使用が最適なんです。

1.アップルが示した解決方法は「防振マウント」の使用


‘21年9月15日、アップルは自社のサポートサイトに「オートバイの高出力エンジンなどの振動を受け続けるとiPhoneのカメラに影響することがある」というタイトルで注意喚起のリリースを掲載しました。

これはどういう事かというと、バイクのハンドルバーなどにiPhoneをマウントしながら走っていると、光学式手ぶれ補正(OIS)やクローズドループ方式のオートフォーカス(AF)といったシステムの性能が低下し、写真や動画の画質低下や故障につながる恐れがあるので、注意ならびに対策をしてくださいというものでした。

実際に、アップルからリリースが出る以前からSNSでは「画像全体が波打ったような写真しか撮れなくなった」「ズームを使うと画像がぼやける」といったカメラ機能のトラブルを指摘するユーザーの声が目立っていました。


リリースでは、「高出力または大排気量のオートバイのエンジンは、振幅の大きい激しい振動を生じ、シャーシやハンドルを通じて伝わります。高出力または大排気量のエンジンを搭載したオートバイは、特定の周波数範囲で振幅の大きい振動を生じるため、そうしたオートバイに iPhone を取り付けることは推奨されません。原動機付自転車やスクーターなど、低排気量のバイクや電気エンジンを搭載したバイクに iPhone を取り付けた場合、振動の振幅は比較的小さくなる場合がありますが、iPhone 本体や OIS/AF システムの損傷のリスクを軽減するため、防振マウントの使用をおすすめします。また、損傷のリスクをさらに回避できるよう、長期にわたる常用は控えた方がよいでしょう。」(※原文を転載)と書かれています。

つまり、「バイクにiPhoneを装着する時は、防振マウントを使ってね」と言っているのです。アップルがこのようなバイクに関するリリースを出したのは初めてではないでしょうか。

2.半年間で、多くの用品メーカーから防振マウントが発売!


アップルの注意喚起があってから、バイク用品メーカーは相次いで対策品を発表しています。その多くは、アップルが指摘するように「防振マウント」の開発・販売でした。各社ともにバイクの振動をスマホ用ホルダーにいかに吸収させるかが製品開発のポイントとなっています。

さて、防振マウントとはどういうものでしょうか。まずは、故障の原因としてアップルも指摘する「特定の周波数での高振幅の振動」について知っておきましょう。この「高振幅の振動」とは、大型バイクなどの高出力エンジンにより生じる、振幅が大きく激しい振動のことです。なお、中型バイクでも単気筒エンジンの振動は大きいことが知られているので注意が必要です。また、カメラ性能の一部を低下させる「特定の周波数」とは高周波振動のことを意味します。


高周波振動とは、1秒間に10,000回以上の振動を繰り返すような状態のことで、単位はHz(ヘルツ)です。とにかくものすごい数の振動を発生している状態になり、これがiPhoneのカメラ機能を低下または破壊してしまうのです。よって、この振動数をいかに少なく、さらには振動の大きさを小さく抑えるかが、防振マウントの性能を示すことになります。

3.サインハウスでは、高周波を低周波に変換!


ここでは、サインハウスが‘22年2月に発売したスマートフォン専用衝撃振動吸収ユニット「VIBRATION GUARD(バイブレーションガード)」を取り上げます。バイブレーションガードは、衝撃・振動吸収性に優れた防振ゴムをアルミ製のトライアーム(三つ又形状)で上下に挟みこんだもので、衝撃や振動を受けると、そのエネルギーを分散・吸収させる機能を持っています。

●高周波振動を低周波振動に変換
エンジンから発せられる高周波振動(危険ゾーン)を低周波に変換し、道路の段差などの瞬間的な強い衝撃にも効果を発揮します。


バイブレーションガードは、サインハウスから発売されているバイク専用デバイスホルダー「MOUNT SYSTEM(マウントシステム)」のホルダー本体とボール部の間に追加装着することで使用できます。


●振動吸収ユニット「バイブレーションガード」の効果映像
左は一般的なバイク用スマホホルダーで、右はサインハウス「マウントシステム」に「バイブレーションガード(下写真の赤丸内)」を追加装着したものです。

右側の「マウントシステム」+「バイブレーションガード」のほうが黄色いボールの跳ねる動き(振動幅)が小さいことがわかります。

●「VIBRATION GUARD(バイブレーションガード)」
■DATA
価 格:5,280円
構 成:サインハウスの高強度バイク用デバイスホルダー「MOUNT SYSTEM(マウントシステム)」に装着して使用
対 応:M8シリーズスマートフォンホルダー(A-32、A-37、A-38、A-44、A-45、A-46)
URL:https://sygnhouse.jp/products/mount-system/vibration-guard/

いかがでしたか。手ぶれ補正やオートフォーカスなど、スマホのカメラ機器が精密になるほど振動や衝撃によって故障しやすくなります。カメラ機器が故障すると修理代は数万円にもなります。防振マウントを装着して、大切なスマホを守りましょう!

筆者プロフィール

田中淳磨

二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。