ヘルメットの被り心地はどうでしょうか?
用品販売店などで試着してから購入する人が多いと思いますが、違和感や痛みがあるようなら早めに内装調整などで対応したほうがいいでしょう。筆者による実例も紹介します。

1.ヘルメットを購入する時は必ず試着をしてから


頭の形は人それぞれです。前後に長く、楕円形の欧米型(コーカソイド)に近い人もいれば、全体的に丸みのあるアジア型(モンゴロイド)の人もいます。
これにより、欧米メーカーのヘルメットと国内メーカーのヘルメットでは基本的な形状が異なっています。

なので、なるべく自分の頭の形にフィットしたヘルメットを被るためにも、購入時のフィッティングはとても重要です。
バイク用品販売店に行って実際に被ってみることはヘルメット選びの第一歩と言えるでしょう。

特に、ヘルメットメーカーから認定を受けたプロショップであれば、なお安心です。
フィッティングから内装調整、パーツの交換修理までおまかせすることができます。


アライヘルメットの場合は、認定販売員試験をクリアした「A.C.E.認定スタッフ」が全国の「アライ・テクニカルプロショップ」に常駐しています。
アライ・テクニカルプロショップとは、アライヘルメット特別技術講習を受講修了した専門店のことで、全国の用品販売店でサービスを実施しています。

購入時にしっかりフィッティングできれば、その後のトラブルはほとんど防ぐことができます。
ヘルメットのサイズ選び、装着感にお悩みの方は、まずはこういったサービスを利用することが確実です。

●アライ・テクニカルプロショップ 店舗一覧
URL:https://www.arai.co.jp/jpn/topics/shoplist/ace.html

2.痛みやゆるみなど違和感があったら内装調整を考える


もしヘルメットを被っている時に下記のような違和感を感じた場合はどうすればいいのでしょうか。

 ヘルメットを被っている時の違和感 
①30分以上被っていると痛みを感じる
②被っている時に隙間を感じる所がある
③眉毛が隠れるほど深く被れてしまう
④首を大きく振るとぐらつく

「少しキツいから」といきなりひとつ上のサイズに買い替えるなんてことはやめましょう。
お財布に優しくありませんし、それでは解決しないこともあるからです。

まずオススメしたいのは、先に紹介したようなプロショップに相談することです。
キツい、ゆるい、痛い、重い(どこかに重さを感じる)といった問題の全てに対応してくれます。


一方で、ヘルメットの内装を自分で微調整することもできます。
アライヘルメットであれば、ヘルメットの規定サイズによって定められている内装のサイズを一段階ずつゆるめたりキツくしたりできます。
システム内装(ハチ回りのサイズ変更)とシステムパッド(ほほ・あご回りのサイズ変更)などが市販されています。ヘルメット売り場に置いてあるので探してみてください。

こうした内装調整をまず自分でやってみるというのも手です。多くの違和感はこれだけで解決するはずです。

ただし、内部に大きな隙間があり、普通に被っている状態でもぐらつく、ヘルメットが落ちてくる(深くかぶりすぎる)といった場合は、内装のスポンジやウレタンを盛るという作業が必要になるので、こうした場合はプロショップに持ち込んで、内装の加工作業をお願いしましょう。

ヘルメットのサイズ微調整は、最終的には被っている本人の感覚によります。
これらの手段を活用しながら違和感のない状態を目指しましょう。

3.実例! ヘルメットの内装調整をやってみた


今回は、筆者が実際にヘルメットの内装調整をやってみました。装着時の状況はこんな感じでした。

 筆者のヘルメット装着状況 
モデル:アライ「ラパイド-ネオ ビスタ」
サイズ:59~60cm ※一般的にはLサイズ
状 況:短い時間であれば問題ないが、ロングツーリングなどで長時間かぶっていると、こめかみやほほ・あごのあたりに少し痛みを感じる。

このように、長時間かぶっていると全体的に少しキツいのかなという感覚がありました。最近、少し太ったのも原因かもしれません(笑)。

そこで、以下のような調整を行いました。

 行なった内装調整 
①システム内装(ハチ回り):標準「Ⅲ-7mm」⇒ 1段階ゆるく「Ⅲ-5mm」に交換

②システムパッド(あご回り):標準「15mm」⇒ 1段階ゆるく「12mm」に交換

今回の調整では、ヘルメットの内側にセットされている内装パッドのスポンジの厚みを少し薄くしたことになります。わずか数mmの違いですが、これにより装着感が大きく変わりました。

特に、システムパッドのスポンジを片側3mmずつ薄くしたことで、ヘルメットを被った時のあごやほほへの圧迫感が大きく改善されました。
下の写真は、左右に別々のシステムパッドを装着した写真です。交換後のシステムパッド(12mm)のほうがほほのふくらみが少ないのがわかります。


しゃべりやすくなったし、気のせいか呼吸もしやすくなった感じがします。プレッシャーやストレスを感じなくなったとも言えます。
自分にとって、標準採用のシステムパッドはわずかに厚すぎたんだなと思いました。

今回参考にしたのは、アライの公式サイトに掲載されている以下の表です。
スポンジを盛ったり削ったりといった作業はプロショップにおまかせすべきですが、内装交換によるちょっとした微調整なら自分でもできることがわかりました。
今回は、表の通りに、オレンジ色の丸で囲んだ内装に交換しました。どちらも「ゆるくする」方向ですね。


●アライヘルメット サイズ調整表
URL:https://www.arai.co.jp/jpn/faq/fq_size_top.htm

また、微調整に関する説明も下図のように詳しく書かれています。ぜひ参考になさってください。

購入時にフィッティングをせずに、ネットでいきなり買ってしまって違和感に悩んでいる人や、長時間被っていると徐々に痛くなってくるなんて人は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

■DATA「ラパイド-ネオ の場合はXシリーズ用が適合」
【NEO AMシステム内装】
●サイズ:II-10mm(54)、II-7mm(55-56)、III-10mm(57-58)、III-7mm(59-60)、IV-7mm(61-62)
●税込価格:4,070円 ※今回はⅢ-5mm(受注生産・税込4,070円)を使用

【NEO AMシステムパッド】
●サイズ:12mm(今回使用)、15mm(標準サイズ・59-60/61-62)、20mm(55-56/57-58)、25mm(54)
●税込価格:3,080円

URL:https://www.arai.co.jp/jpn/faq/fq_model.htm

筆者プロフィール

田中淳磨

二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。